ファッション

パリコレ勝手にケータリングランキング! 1位は“おもてなし”100点満点の日本ブランド

 6月18~23日に開催された2020年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイーク。連日熱気を帯びた今シーズンも、各ブランドが独自のクリエーションを世界に発信しました。コレクションに対して甲乙つけるのは難しいのですが、バックステージのケータリングには(ずうずうしくも)ランク付けさせていただきます!審査基準は食事の種類の豊富さや栄養バランス、味のクオリティー、そして私の独断です。バックステージでつまみ食いをしながら楽しく真剣に調査していると、新たな気付きがありました。前シーズンのベストケータリング賞「ジャックムス(JACQUEMUS)」に続くのは、どこのブランド?

“ベストケータリング賞”に輝くブランドは!? パリコレのバックステージでつまみ食い調査

最下位:1017 ALYX 9SM

ケチりすぎ!お菓子盛り合わせ

 残念ながら最下位は、迷わず「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」です。用意されていたのは、フランスの大手スーパーのモノプリ(MONOPRIX)で購入したお菓子の盛り合わせとリンゴ、そして数種類のフルーツジュースでした。バックステージでモデルやスタッフらが準備が進めていたのは14時から19時ごろで、昼食と夕食の間の時間帯ということもあったからかもしれません。とはいっても、せめて一口サイズのサンドイッチやマフィンなど、もう少しお腹を満たせる軽食を用意して、バックステージで働く人々への配慮が感じられたらポイントが上がったのに……。そんなことを思いながら後日「アリックス」の展示会場に行くと、しっかりしたカフェスペースが設けられ、フィンガーフードやソフトドリンクが来場者に提供されているじゃないですか!決して配慮が足りないブランドではなさそうなので、次回以降のケータリングに期待します。

3位:OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH

ガッツリ系!種類は少なく減点

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」が用意したのはベーカリーレストラン、ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)のパンやマフィンといったガッツリ系の炭水化物が中心でした。ヨーロッパの朝食らしいレパートリーで食べ応えがあり、味も悪くありません。ただ、前シーズン取材した「ベルルッティ(BERLUTI)」も同じレストランのケータリングを用意していて、フルーツにキッシュやタルティーヌと「オフ-ホワイト」よりも種類が豊富だったことを思い出すと……やや物足りないかも。

2位:KIDILL

等身大!でも思いやりある豊富さ

 パリでコレクションを発表するのは今シーズンで2度目の「キディル(KIDILL)」。出資のサポートはなく、自費で海外のショーを開催するということは予算に余裕は全くないはずです。でもケータリング代をケチることはせず、大手スーパーのモノプリやショー会場近くのブーランジェリーで購入したパン、フルーツ、サラダ、お菓子、ジュースがいろいろ並んでいました。ドカンと数種類のパン類だけが並んでいた「オフ-ホワイト」に対して、選択肢がいくつもある豊富なレパートリーは、バックステージで働いているスタッフらへの思いやりを感じます。

1位:SACAI

100点満点!完璧な“おもてなし”

 審査基準の全項目で満点を叩き出したのは「サカイ(SACAI)」でした。用意されていたのはパリにあるケータリング会社のテス・アン・キュイジーヌ(TESS EN CUISINE)によるオーガニック食材のみを使用した食事です。一口サイズのクラッカーの上に、野菜などのペーストがのったフィンガーフードが5種類ほどと、ヨーグルトやチョコブラウニーが並んでいました。同ケータリング会社は旬の食材を使った創作料理が評判で、「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」なども顧客に抱えています。

 食事というのはどんな場面においても、提供する側の“おもてなし”の心が表れるものだとあらためて感じました。モデルやスタッフにとって、体力勝負であるファッション・ウイークの数日間に栄養バランスがとれた食事を取るのは重要なことです。高価か安価かは関係なく、購入先がたとえスーパーだとしても、ヘルシーで種類豊富な食事を用意した「キディル」には確かな“おもてなし”の心がありました。そして今季のベストケータリング賞は、食材と味と栄養バランスのクオリティーが高く、最高の“おもてなし”を感じた「サカイ」に贈らせていただきます!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2024-25年秋冬パリコレ特集 デザイナーたちからの提案「何気ない日常を特別に」

3月18日発売号の「WWDJAPAN」は、2024-25年秋冬パリコレクション特集です。2月末から3月にかけて約100ブランドが参加して開催されたパリコレを現地取材し、その中で捉えた次なる時代のムード、デザイナーの視点をまとめました。ファッションデザイナーたちから届いた大きなメッセージは「何気ない日常を特別に」。戦争、物価高騰、SNS疲れと私たちを取り巻くストレスはたくさんありますが、こんな時代だ…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。