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「ショーが必要な時代が来る」 9年目の「ザ・リラクス」が東コレに参加した理由

 「ザ・リラクス(THE RERACS)」は3月20日、「アマゾン ファッションウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で初のランウエイショーを行う。2010年のブランド設立から9年。現代的な解釈を加えたベーシックなアイテムを提案し続けてきた。その実用性やメイド・イン・ジャパンのモノ作りによるクオリティーで、ファンを着実に獲得。現在、国内で約60社で取り扱われている。「ザ・リラクス」はなぜこのタイミングでランウエイショーの開催を決めたのか?同ブランドの倉橋直実デザイナーと倉橋直行代表に聞いた。

WWD:初のランウエイショーをAFWTで行う理由は?

倉橋直実「ザ・リラクス」デザイナー(以下、倉橋直美):数年前からランウエイショーの話は度々出ていて、可能性は探っていました。ですが、当時はまだ内部が未熟で、体制が整っていなかった。今はメンバーがそろい内外の体制が整い、代表の倉橋とも「そろそろランウエイ」を始めてもいいんじゃないかと話し合いました。AFWTに参加したのは、モデルさんのスケジュールなど、タイミング的な理由からです。

WWD:チームが整ったというのは?

倉橋直行ザ・リラクス代表(以下、倉橋直行):内部としては設計(パターン)チームが整い、モノづくりの面で充実してきたことが1つにはあります。外部も演出チームとは長く話してきているし、撮影やヘアメイクの方などもブランド設立から9年間、ほぼ同じ人です。コレクション制作以外の負荷が減り、ショーを開催しても他のことがおざなりにはならない状況になりました。

WWD:ブランドとして、順調に成長しているイメージだが、この成長速度は想定の範囲内?

倉橋直行:全然。当時は目の前のことに必死で、ショーをやろうと考える余裕もなかったほどでした。

倉橋直美:ブランド自体はスタート時から今まで何かを変えていったことはなかったんですが、想像していたよりも、卸先の方々が継続してくれていることが大きかったですね。もっと移り変わりが激しいかと予想していたので。取引先数としては決して多くはないかもしれませんが、1社1社の方との付き合いは深いと思います。

WWD:ランウエイ形式でコレクションを発表することのメリットは?

倉橋直美:今まではデジタル上でルックを見せていましたが、違う形で「ザ・リラクス」のイメージを見せたいな、と思って。音楽や演出などで、五感、六感でブランドを感じてもらいたいな、と考えています。

倉橋直行:ランウエイに関してはビジネスが主体というよりもショーをするのはビジネス拡大のためというよりも、今までの取引先や顧客、工場やPRの方など関わっている人たちへの感謝と、ブランドを楽しんでもらいたいという思いが強いです。

WWD:今回のショーをきっかけにビジネスを急拡大するつもりはない?

倉橋直行:ショーで何もかも拡大しようとは思っていないですね。ただ、今後はランウエイショーが必要な時代がふたたび来るんじゃないかなと感じています。ショーに価値を見出さないブランドも増えている一方で、パリやミラノでコレクションを発表しつつ、いつもと違うロケーションでショーを行うブランドも出てきている。表現やPRの方法が過激化しているんだと思います。そのような状況下では、SNSでも分かりやすいように、表現やPRをどんどん過激化させて目立とうという流れもあるけれど、そういう方向を選ばないなら今いるお客さまたちに対して深く刺さるような体験を提供できないと、ブランドとして成立できない。そういう意味でショーを行うことが、最先端なことになるのかな、と。

WWD:ショーのみどころは?

倉橋直行:全体的には「リラクス」らしく、クリーンに作りこむ形になると思います。今回、重要視したのが音響やライティング。特に音響はブリティッシュテイストの音楽で、トラディショナルな雰囲気や、ミュージシャンの感情などを伝えられたらな、と感じています。コレクションのインスピレーションの上でも、音楽が重要な役割を果たしましたね。

WWD:今シーズンのテーマは?

倉橋直行:テーマは“ニューモダン クラシック”です。以前、とある人に「リラクス」について同じことを言われたんですよ。今シーズンはジャストサイズの概念が久々に変わり、パターンの基準も大きく変わった。今まで作ってきたトラディショナルなアイテムを抜本的に作り直さなければいけないということから始まりました。

WWD:今後は海外でのショーも視野に入れている?

倉橋直行:入れていないわけではないですが、まずは東京でのショーをやってみないと分からないですね。海外は肯定的な目で見てくれるとは思うのですが、ダメなものを出してしまうと、反応がダイレクトに出る。そのため、海外でのショーに関しては慎重に考えていくつもりです。いずれは、もう一度海外にブランドの販路を広げたいですね。