ファッション

インスタ時代の正しい商品宣伝のあり方、RADWIMPSの新アルバムから考える

 RADWIMPSが5月30日にリリースした新アルバム「カタルシスト」のジャケットが話題になっています。なんの絵柄もないアクリルのCDケースには水滴のような加工が施されており、これをいろんな景色に重ねてみると、なんともきれいな絵になるのです。すでにインスタグラムには「#カタルシスト」というハッシュタグでジャケットを使ったさまざまな写真が投稿されており、RADWIMPSの野田洋次郎も自身の公式インスタグラムでその様子を伝えています。

 ある種、“参加型のCDジャケット”と言えるかもしれません。CDが売れない時代と言われますが、SNSに投稿したい、写真を撮りたいというモチベーションでCDを買った人も多いようです。これにあわせて、東急電鉄東横線でも水に濡れたような透明の電車広告が車両をジャックしており、実際に車内では年齢を問わず多くの人が話題にしていました。

 少し話は変わりますが、最近リアルな場でよく見る広告に、“ハッシュタグのテキスト”というのがあります。広告の文言などを細かくハッシュタグで区切ってSNS風に書かれてあるものです。ここにあるハッシュタグを調べると何かが分かるとか、ハッシュタグのツイートでプレゼントキャンペーンに参加できるとか、そういった導入があるならまだしも、SNSを意識しただけの意味のない広告も数多くあります。こういった広告にかなりの違和感を感じてきたわけです。どうせSNSを絡ませるなら、リアルな広告からSNSでの拡散まで動線を引くべきだろうと。

 そんな中で、電車広告はもちろんCDジャケットまでを自発的に投稿したくなるような仕掛けにした「カタルシスト」には、「まさにこれだ!」と感じたのです。リアルからSNSまでの動線をうまく引いているだけでなく、きちんと宣伝したい商品が宣伝されているのです。この例からも分かる通り、商品を“投稿のためのツール”とすることで、商品自体が何よりの広告材料になったわけです。

 これはアパレル企業にも当てはまることで、例えば、韓国のファッションブランドはおそろいのコーディネートを「#双子コーデ」ではなく「#シミラールック」と名付け、SNSで流行らせました。「#シミラールック」という投稿をしたいから、韓国ブランドのお洋服を買うんですね。まさに企業がトレンドを作り、商品が宣伝となるいい例だと思います。PR投稿が蔓延したことで、SNSで宣伝をするというのはなんとなく後ろめたいものでしたが、ユーザーとしても自分が本当にいいと思ったものを自発的に投稿するというオーガニックな動作が結果的に宣伝になっているのだとすれば、あまり恥ずかしさはありませんよね。

 ちょうど今月、インスタグラムからECサイトへのリンクが可能になりました。今まで以上にSNSが売り上げに直結するだけに、インスタグラムを使ったマーケティングが過熱することは間違いありません。その一つのヒントというか、当たり前のことではありますが、“SNSでは商品が広告宣伝の材料になる”ということをあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

表と裏の古着市場 米リセールECと日本の“川上”を徹底調査

「WWDJAPAN」1月17日号の特集は「表と裏の古着市場」です。中古品市場はのみの市や古着店、リサイクルショップなどの実店舗を中心に昔からあるビジネスですが、時代に合わせて大きく変化しています。特に米国の若者はサステナビリティへの関心も高く、節約やおしゃれのためだけでなく、環境保護の観点から古着を選ぶ人も多いそうです。

詳細/購入はこちら