ビジネス
連載 韓国ファッションの今

ソウルと京都は似ている? カフェから考える両都市の共通点

 韓国といえば、カラフルな建物や可愛いドリンクを扱うカフェなど、“インスタ映え”スポットが1つの特徴といえます。インスタグラムが発達した昨今においては、これが非常に有用な観光資源となっており、今ではK-POPではなくカフェを起点に韓国にハマる女子もいるほど。実際に弘大(ホンデ)や梨泰院(イテウォン)を歩いていると、カラフルでポップなカフェがいくつも軒を連ねています。

 ただ、ソウルの街を歩いていて感じたのが、「ソウルってもしや、大阪・京都に似ている?」ということでした。ソウル自体、ファッション市場・東大門や観光街・明洞の数駅先には李朝時代の正宮のある歴史的地区「景福宮(キョンボックン)」があって、まるで京都と大阪をぎゅっと凝縮したような街だというのが最初の印象だったのです。

 そもそも、大阪・京都自体も韓国人に人気の観光地。実際に韓国で聞いてみたところ、「大阪はLCCの発着便が多くて飛行機も安いし、airbnbが安くて空きも多い」とのこと。東京よりも近くて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや道頓堀など他にはない観光地も多いため、世代によっては東京よりも訪日韓国人の数が多いという統計もあります。「お節介で気が強かったり、せっかちだったり。韓国人は性格も関西人に似ている」との意見も。たしかに、日本人観光客が多い明洞では、街中で耳にする日本語が標準語よりも関西弁ばかりだったような気もします。

 日本に帰ってから、こうした視点を持って関西へ行くと、今度は「京都・大阪もソウルに似てきた……?」と感じることが増えました。というのも、内装がポップでかわいいショップが急増しているからです。京都の3店舗をはじめアジアにも店舗展開をする有名な「アラビカ 京都(% ARABICA Kyoto)」を皮切りに、「ルート2コーヒー(ROOT2COFFEE)」や「ウィズアウトスタンド 京都(W/O STAND KYOTO)」など、カラフルでポップなカフェが1つのカテゴリーになりつつあります。カフェではないですが、芸大出身の女子が運営するバー「みず色クラブ」や現役東大生が経営するソーシャルホテル「ホテルシー(HOTEL SHE)」なんかのカルチャースポットも若者に人気のポップなスポットになりつつあります。

 もちろん、これらのショップは決して韓国を意識しているわけではないでしょう。ショップの雰囲気が似ている1つの要因はインスタグラムだと思います。近年インスタグラムのタグ機能を使ってカフェなどを探す女子が増えたことで、“インスタ映え”するショップが急激に人気を集めているのです。日本だけでなく、インターネット先進国の韓国においても、同じようなムーブメントが起こっているんだと思います。

 そして、なによりソウルと京都に共通するのが、若い人の“勢い”ではないでしょうか。実際に京都で店舗経営をする知人と話すと、「東京と比べても地価は格段に安く、広い場所を借りて自由にスペースが使える。だから、若い人がショップを出してみる、ということが容易みたい」と言います。韓国でも、家賃更新の問題もあり、「まずは借りて店舗をやってみて、ダメだったら勉強と考えてすぐに退店する」という、良くも悪くもチャレンジ精神の強さを実感しました。

 ソウルと京都がSNSの隆盛を背景に、似通ったトレンドを持つことは大いにありえます。しかも、両都市とも若者が集まってきて、変わろうとする勢いがある街だとしたら、今後も両都市の行方を注視していたいなと思いました。

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