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大西洋・前三越伊勢丹HD社長が志す「羽田未来総研」のビジョン

 日本空港ビルデングの副社長就任が発表された前三越伊勢丹ホールディングス社長の大西洋氏(62)だが、一番のニュースは、7月2日付で設立する100%子会社の羽田未来総合研究所の社長に就くことだ。「既存の空港運営事業のさらなる価値向上、新規事業モデルの開発、シンクタンクとしての機能発揮」を事業内容に掲げる羽田未来総研だが、そこに込めた思いを、大西氏はこう語る。

 「自分としては、『小売りをもう一度!』との思いがあった。一方で、今のファッション業界の課題を解決したり、アートや文化などがオリンピック後の日本の経済を支えていくようになればと考えた。地方創生というと大げさだが、地方の良さを海外の方々に伝えていきたいとも思っていた。羽田というロケーションは十分ポテンシャルがある。グローバル、地方創生に加え、人材育成にも取り組んでいきたいと思い続けていた」と明かす。

 今は縦割りのファッション、テクノロジー、仮想通貨、ブロックチェーン、アート、それに携わる人々をフラットに集めたオールジャパンのチーム作りにも取り組む。「ファッション業界を憂いている優秀な人々や、テクノロジーを中心としたベンチャー企業を立ち上げているような日本の未来を担っていく優秀な若者たちはたくさんいる。将来の日本をどうすべきか、どう盛り上げていくのか。それを考え、実現するための役割を果たしたい。たとえば見識者に加わってもらい、『羽田アワード』のようなものを作り、すばらしいアートを選んだり、海外に出すサポートを行っていくことなどもできるはずだ」。

 3つ目はマーケティング・コンサルティング機能だ。「年間8000万人が利用する羽田空港で、どういう方々が利用し、何を期待されているのかをマーケティングし、利用者にマッチした情報発信やサービスを提供していく。まずは羽田のバーチャルサイトを作り、他にないオリジナリティーの高い情報を発信する。早速47都道府県を回り、地方や行政とつながって濃い情報コンテンツを作りたい。場所はもちろん必要だが、モノを売る会社ではなく、知識、知能などをマネタイズしていく知的産業としていきたい。将来的にはシンクタンク的なものや、コンサルティング事業なども構想している」。

 4つ目が、次世代型の小売り事業だ。食の部分にもフォーカスしていく。「3万~4万平方メートルのような大型のものは作れないが、5000~1万平方メートルといった規模で、これからの小売りが目指すスタイルを提案したり、新しい体験型の百貨店をパートナーと組んで作ることはできる。また、地方には“食のディズニーランド”といえるようなところも増えており、“食のエンターテインメント”が盛り上がり見せている。実際にそういった案件の話も来ている」。

 社員スタッフは内部(空港ビルデング)と新たに外部から採用するスタッフで構成する。「人数も少なく、自分たちだけではできないので、外部の優秀な方々やアドバイザーの方々などの力を借りていきたい。