ファッション

「90年代の“裏原”に似ている?」 雑誌「ナイロン」が感じた韓国ブランドの勢い

 “知られざる韓国アパレルの今”をテーマに、最前線にいるアパレル企業やEC業者に取材を続ける本企画。これまでビジネスに関わる企業にフォーカスを当ててきたが、“韓国ファッション”といって思いつくメディアが「ナイロン ジャパン(NYLON JAPAN以下、ナイロン)」だった。今回は、韓国ファッションに早くから注目してきた同誌が感じる“韓国アパレルの今”を取り上げる。

WWD:「ナイロン」と韓国ファッションの関わりについて、あらためて教えてください。

戸川貴詞カエルム社長(以下、戸川):雑誌では17年1月号で総勢117人の韓国の若者を取り上げた韓国特集をやりました。この時は撮影も全て韓国で行いましたね。その後はウェブで定例コンテンツとして韓国のコラムをやっていたり、1月号の付録にはアジアのファッション&カルチャーを取り上げる「ペイズリー(paisley)」という新雑誌を付録としてつけました。

WWD:いつから韓国カルチャーに注目していたのですか。

戸川:初めて韓国カルチャーを大きく取り上げたのは13年8月のアジア特集だったと思います。その前にも11年2月号では水原希子ちゃんの表紙撮影を韓国で行いました。10年頃からやっていたと思います。韓国の人は独特のスタイルを持っているんですよね。その時から韓国を大きくやりたいと思っていました。気づけば常に韓国の情報を扱うようになっていましたね。

関根さゆり「ナイロン ジャパン」編集部エディター(以下、関根):16〜17年の前半までの「ナイロン」は韓国色が強かったですね。

WWD:そもそも「ナイロン」のテイストやファン層と韓国トレンドは相性がいいのでしょうか。

戸川:もともと「ナイロン」はニューヨークやロンドンのカルチャーが中心なんですが、実際町のファッションはシンプルなんですよね。色使いとか表現の幅が狭くなってしまう。これに対して韓国のストリートはファッションの勢いが強く、彼らの新しいことにチャレンジするマインドが合っていたように感じます。

関根:当時は女の子がイケてましたよね。でも、それからストリート色が強くなって、男の子のファッションもぐっと盛り上がってきました。

戸川:ジヨン(G-DRAGON)の影響が強いよね。あと、当時はコレクションに出るようなブランドが流行の中心だったけど、「フライノック(FREIKNOCK)」とか「ジュスト(JUSTO)」とか、ストリートから出てきたトレンド感のあるブランドが一気に増えましたね。

WWD:なぜ日本で韓国カルチャーが流行るんだと思いますか?

戸川:日本だから、人気なんだと思います。ニューヨークではあまり聞かないですからね。ニューヨークやロンドンのファッションを最初は雑誌に落とし込んでいたんですが、シンプルだしどうしても欧米のスタイルに合わせたファッションなので、日本人が同じ服を着ても同じようにはならないんです。その点、韓国ファッションは同じアジアでイメージもしやすく、共感できるんだと思います。

関根:デザイン性が高いというのもあると思います。

WWD:日本での韓国ブームは今後どうなると思いますか?

戸川:越境ECがトレンドなので、ブランドはもっと入ってくると思います。洋服も安ければいいわけじゃなくて、デザイン性が高くて、意外と日本にはないものがそろってますよね。

関根:ECでいえば、「スタイルナンダ(STYLENANDA)」なんかはECサイトの作り方も上手ですよね。シーンが見えるような見せ方をしています。

戸川:あと、韓国自体がそもそも勢いがありますね。若い韓国の人の東京への観光も増えているし、それでファッションも東京とミックスされていたりして。しかも、ハイブランドでもストリートでもなんでも合わせるのがうまいんです。

関根:世代ごとの人口が少ないにもかかわらず、インスタグラムの影響力が強いイメージがあります。おしゃれでスタイルのいい子がモデルになって、有名になってテレビに出たり、とにかく勢いを感じます。ソン・ヘナちゃんとかまさにそう。しかも、日本でも人気なんです。

戸川:17年夏に「ナイロン」のアートイベントをやったんですが、韓国のモデルの人に来てもらったら、すごい列ができたよね。

関根:はじめは誰も来なかったらどうしようってドキドキしてました(笑)。

WWD:韓国ブランドの勢いも感じますか?

関根:「キッチワーク(KICHWORK)」というブランドなんかは1型のスエットしかないのに、スナップで着ているモデルが注目を集めたりして、有名になりました。韓国でリースをしていて感じたんですが、小さいブランド同士で盛り上げられるサイクルができているように思います。

戸川:1990年代の“裏原”の動きに似ていますよね。タイでも中心地のモールで若いブランドを扱っていて、その建物の前で個人デザイナーがフリマみたいに服を売ってるんです。それを見たモール担当者がデザイナーをピックアップしたりして。こういう動きが日本では少ないですね。日本でもやろうとしている子はいますが、熱量が違うように感じます。

関根:カッコつけているのではなくて、本気でやっていて、勢いがすごい。意識して競争し合っている印象があります。自然と熱のあるコミュニティーができているように感じます。

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