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14歳ロシア人モデルが中国で突然死 モデル事務所は“過労死”を否定

 14歳のロシア人モデル、ヴラダ・ジュバ(Vlada Dzyuba)が中国で突然死したことを受けて、中国におけるモデルの労働環境、特に子どもの労働環境について論争が起きている。

 ジュバが3カ月間の契約をしていた中国のモデルエージェンシー、ESEEは上海で10月30日(現地時間)に記者会見を開き、ジュバが27日に死去したことを認めたが、その死因は敗血症だと主張。さらに、過労死というこれまでの報道とは異なり、ジュバは2カ月間の中国滞在期間中16本の仕事をこなし、その多くが8時間以内に終了したものだったという。

 ESEEによれば、ジュバは24日、撮影のため浙江省中部の義烏市に滞在していた。同日夜ホテルで体調が崩れ始め、翌25日も体調不良を訴えたため、ESEEは仕事をキャンセルし上海に戻らせたが、同日18時に上海交通大学医学院附属瑞金医院(Ruijin Hospital)救急救命室に運ばれた。ロシア大使館が同日夜連絡を受け、翌26日には体調がさらに悪化して集中治療室に運ばれ、27日7時36分に息を引き取った。死因は、敗血症による多臓器不全だったという。なお、ジュバがロシアのSNS、VK.comに最後にログインしたのは25日の10時16分(現地時間)だった。

 ESEEは北京、上海、香港、厦門、杭州にオフィスを構える著名モデルエージェンシー。同社が米「WWD」に提供した労働許可通知書類のコピーには、ジュバのSNSアカウントでは姓のつづりが“Dzyuba”であるところを“Dziuba”と記載されていた。しかし、同社はジュバのパスポートのつづりをそのまま記載したと主張している。また、同社と契約したモデルは全員就労ビザで中国に入国しているという。なお、上海ロシア大使館からのコメントは得られていない。

 中国の労働法では、16歳未満の労働者をを児童労働と定めている。中華人民共和国労働法第15条によれば、雇用者は16歳未満の未成年者の募集は禁止されているが、文学、芸術、スポーツ、特殊工芸における従事は例外。例外の募集をする場合は、政府の調査と承認を得なければならず、未成年者の義務教育の保証が必須となる。

 「中国のモデル業界では、劣悪な生活環境を強いられるのはよくあること」と話すのは、上海・ファッション・ウイークでもコレクションを発表した「ポエジア(POESIA)」創業者兼デザイナーのクリス・チャン(Chris Chang)だ。「モデルは痩せていなければならないというプレッシャーや児童労働に対する甘い保護など、業界全体におけるこうした要素の全てが児童の精神的・身体的健康を損なう要因となる。中国での短期滞在を価値のあるものにするために、モデルとそのエージェンシーは可能な限り多くの仕事をこなさなければならない。食事も取れないほど働き、夜はパーティーに繰り出さなくてはならないこともある。こうした全てが合わさり、モデルの命を奪う可能性もある。業界全体として、金と名声のために若い美しい女の子たちを搾取するのはとても悲しい」とチャン創業者兼デザイナーは語った。

 モデルなどへのセクハラ疑惑がある大物写真家、テリー・リチャードソン(Terry Richardson)を今後起用しないというコンデナスト(CONDE NAST)の方針が明るみに出たり、ケリング(KERING)とLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENESSEY LOUIS VUITTON GROUP)が共同で、モデルのウェルビーング確保のための憲章を史上初めて共同で発表するなど、モデルの幸福や労働環境については世界的に関心が高まっている。