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連載 エディターズレター:VIEWS ON WWD U.S. 第80回

バーニーズのDNA

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アメリカで「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」が再始動します。場所はフロリダ。

2019年8月に経営破綻し、同年11月に米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)が買収。あれからもう7年です。まずはフロリダで小さく始めて、成功モデルを築いて、展開を広げる戦略でしょう。ライセンス権がフロリダ州限定というあたり、もしかしたら同時進行で他の州で別のモデルを試すのかもしれません。

ニューヨークでの復活がウワサになっていますが、記事を読む限り、マディソンアベニューへの再出店はハードルが高そうですね。高い家賃だけでなく、一度止めてしまったものを再開するというのは、並大抵ではないです。

「“バーニーズらしさ”を支えていたのは、高い美意識と先進性だ。そうした先見の明と審美眼を持つ戦略チームを構築するだけでも一仕事だろう」というコメントに深く同意します。

それでもバーニーズ復活を期待してしまうのは、日本のバーニーズにまだDNAが残っていると感じるからかもしれません。

伊勢丹の子会社だったバーニーズ ジャパン

バーニーズ ジャパンが1989年に伊勢丹(現三越伊勢丹ホールディングス)の子会社として立ち上がる際、伊勢丹の精鋭がバーニーズ ジャパンに出向し、創業一族のプレストン家の人々と共に仕事をして、そのセンスとビジネスマインドを“体得”しました。

その後、伊勢丹に戻った故・藤巻幸夫さんは「解放区」(懐かしい!)、「リ・スタイル(RESTYLE)」などを立ち上げ、カリスマバイヤーとして大活躍しましたし、初代社長の田代俊明さんはグッチ ジャパンやマイケル・コース ジャパンの社長を務めました。エルメスジャポンを長く率いている有賀昌男取締役会長も、ファーストリテイリングの勝田幸宏上席執行役員もバーニーズ ジャパン出身です。エストネーションも立ち上げメンバーは、バーニーズ ジャパン出身者たちです。皆伊勢丹出身でもあるのですが、とにかく卒業生の活躍ぶりが素晴らしい。それだけ多くの人材を輩出する磁場があったのだと思います。

私は駆け出しの頃、伊勢丹を辞めたタイミングの藤巻さんの連載を担当することになり、いかに藤巻さんがバーニーズで多くのことを学んだのかを、毎月のものすごい熱量の原稿に圧倒されながら感じていました。その後、田代さんの連載も担当し、冗談みたいな逸話をたくさん聞き、バーニーズ ニューヨークとの協業がいかに特別な体験だったのかを知りました。まぁ、平たく言うと、お二方とも、すごく話が面白く、私も大いに刺激を受けたわけです。

そんなバーニーズ ジャパンにも紆余曲折はありましたが、創業当初から続く“TASTE, LUXURY, HUMOR“のコンセプトをちゃんと引き継いでいるのは、世界に同社だけかもしれません。近年はペニー・ルオ(Penny Luo)社長の指揮のもと、スペシャリティーストアに回帰する展開をしています。「2030年のニューヨーク再出店」についても語っています。

日本で引き継がれてきた「バーニーズ ニューヨーク」が、ニューヨークに逆輸入されることがあればとても面白いですよね。期待します。

さて、今回で私からのレターは終了です。7年間読んでいただき、ありがとうございました。来月からは新たなレターがお手元に届きます。どうぞお楽しみに。

VIEWS ON WWD US:「WWDJAPAN」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙です。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。そんな米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説します。

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