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阪急うめだ本店が7階婦人服売り場を改装オープン 「暮らしの芸術」がテーマ

阪急うめだ本店の婦人服売り場「プレミアムワールド」が6階から7階に移転し、10月29日リニューアルオープンした。テーマは「アール・ド・ヴィーヴル(日常を美しく彩る暮らしの芸術)」。知性と感性を大切にし、暮らしやファッション表現を自分の美意識から追求する洗練された大人の女性に向けたフロアへと進化した。「本物志向」「品性」「現代性」の3つのキーワードを柱に、内装や品揃えを展開する。

改装の見どころの一つが売り場へのアートの導入だ。店内には絵画やアートピース、ビンテージ家具などを展示する。絵画は2000年生まれの注目の画家・真田将太朗氏と各ブランドとのコラボレーションによるもので、ブランドの世界観や思想が具現化された作品が各ショップの壁面や柱周りに飾られる。真田氏の作品は、落ち着いた筆致ながらも存在感や動きがある作品で、フロア全体を質の高い空間へと押し上げている。

同店婦人ファッション商品部MDの南野哲哉氏は「絵画の額縁のように日常の一瞬を額装するという考え方で、アートに囲まれた豊かな暮らしを感じてもらう空間を作った。これまでにない新たな体験価値を提供していきたい」と話す。

新規5ブランドの見どころ

既存ブランドに新規の5ブランドを加え、計34ブランドでプレミアムワールドを構成する。中でも注目はビギが展開する「デパリエ(DÉPAREILLÉ)」と、イトキンが2024年春から販売する「オーヴィル(EAUVIRE)」、「ロンハーマン」などを展開するリトルリーグが手掛ける「エブール(EBURE)」。いずれも現代女性の“上質な日常”に寄り添うブランドだ。

イトキンの「オーヴィル」は今回、常設店の1号店となる。「リラグジュアリー=ラグジュアリーの再解釈」をコンセプトに、高品質の素材とミニマルなデザインを追求するジャパンラグジュアリーなブランドとして位置づけられる。クリエイティブディレクターの川﨑瑶子氏が自ら産地に出向き、職人と協働して一からテキスタイルを作り上げるなど徹底した素材へのこだわりが特徴だ。また、日本人女性の体に合った着心地の良さなど、海外のハイブランドにも引けを取らないものモノ作りも好評だ。

これまで伊勢丹新宿本店などでポップアップを展開してきたが、初の常設店が阪急うめだ本店になった経緯について川﨑氏は振り返る。「デビューしてまもなく、阪急うめだ本店のコトコトステージ(ポップアップスペース)に出店したときの反響がとてもよく、今回の改装の話も早くから声をかけてもらった。ファッション感度の高い阪急の外商客やインターナショナルな感度を持つ新富裕層、外国人客がまさに求めているブランドだという評価をいただいている」。

デビューして4年目のビギの「デパリエ」は、ツイードのジレやジャケットがヴェリィ世代ママを中心に受け、大人の女性のデイリーユースとして支持を得たブランド。伊勢丹新宿本店、ニュウマン新宿、三越日本橋本店に直営店を持ち、今回が関西初出店となる。「4年目でようやく認知度も上がってきたところ。広域からの集客ができ、ファッション感度の高い顧客が多い阪急うめだ本店への出店で、さらに弾みをつけていきたい」とビギの販売マネージャーである島西美樹氏は話す。

リトルリーグが全国で10店舗展開する「エブール」は、長く愛用できる品質でミニマルなデザインを追求する大人の女性のためのブランド。ラグジュアリーな素材を使用しながらも、デイリーに着られるアイテムを多数そろえている。

大阪では大丸心斎橋店とグランフロント大阪店に続く3店舗目。「今回は阪急の顧客からの要望で出店することになった。やや高価格帯の限定商品をシーズンごとに投入しているが、阪急うめだ店で取り扱うことで近隣店舗と棲み分けを図っている。フロア全体がラグジュアリーなテイストを一つの軸にしているので、その世界観に沿ったアイテムを提案していきたい」(PR担当の澤田清美氏)。

アートを散りばめた新しい試み

今回の改装では、器やインテリアを扱うリビングの売り場に隣接してフロア構成しているのも新たな試みだ。

ライフスタイル感度の高い顧客が多いリビングフロアは、もともとプレミアムワールドとの親和性が高く、買い回りが期待できると判断した。店頭のVP(ビジュアルプレゼンテーション)にインテリア用品を展示するなどライフスタイル提案を重視し、これまでにない店舗づくりに挑戦する。

「ギャルリー・ヴィー(GALERIE VIE)」では、トゥモローランドホームのルームアイテムが初めて登場。また「45R(フォーティファイブ・アール)」では、茨城県・笠間で活動する陶芸家・阿部慎太朗氏とのコラボレーションによって製作された器を提案する。「食器などの日用品を取り扱う常設店は今回が初めて。阪急うめだ本店はリビングフロアのほうが圧倒的に客数も富裕層も多いので、45を知らない新規客にも訴求できると期待している」(45rpmスタジオの中島正樹氏)。

同店婦人ファッション営業統括部の武藤千香子ゼネラルマネージャーによると、繁忙期の異なるリビングフロアとファッションフロアを融合することで通年での来店が期待できるという。ライフスタイル提案を軸とした百貨店の売り場再編の模索は続くが、アートを活用した売り場空間演出がどんな効果をもたらすか注目していきたい。

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