ビジネス

「ビューティの東京」構想、アイスタイルが旗振り役に 日本のビューティ産業の底上げへ

アイスタイルは11月19〜25日の期間、原宿・表参道エリアで新たな大型ビューティイベント「東京ビューティウイーク(Tokyo Beauty Week)」を初開催する。国内外の約50のビューティブランドが参画し、同エリアのファッションのセレクトショップや商業施設、商店会、美容専門学校など多様なステークホルダーが協働する。

同イベントの目的は「次の時代のビューティカルチャーを世界に発信する」ことにある。「ファッションのパリ」にならい「ビューティの東京」を確立する構想のもと、アイスタイルが旗振り役となり、日本のビューティ産業の底上げを目指す。

プラットフォームの“外”で新たな接点をつくる

アイスタイルは、中長期成長の基盤形成を進めるために「“アットコスメ外”での出会いを生み出すこと」をテーマの1つとして掲げている。同社はこれまで、メディア「アットコスメ」、EC「アットコスメショッピング」、実店舗「アットコスメストア」を中核に、多くの生活者とビューティブランドをつなぐプラットフォームを構築してきた。

しかし、ソーシャルなどの情報接点が急速に広がる中、生活者とブランドをつなぐ場は従来の枠を超えつつあるという。遠藤宗アイスタイル社長は、「これからのアイスタイルは、従来のプラットフォームの枠にとらわれず、イベントやSNS、AIエージェントなど多面的な接点を通じて“出会い”を再設計していく」と話す。今回の「東京ビューティウイーク」は、その第一歩として位置づけている。

同イベントの特徴は、ブランド・メディア・行政・商店会・教育機関など、多様なステークホルダーが協働する“共創型”の構造にある。渋谷区や原宿表参道櫸会、原宿竹下通り商店会、穏田キャットストリート商店会などが後援するほか、「ヴォーチェ(VOCE)」「美的」「マキア(MAQUIA)」など複数のメディアパートナーや、ヘア&メイクアップアーティストの冨沢ノボルやイガリシノブなどのクリエイターが参画。また、ベル・エポック美容専門学校などの学生も関わり、「東京発のビューティカルチャー」をともに創り上げる。

「ファッションのパリ」にならい、「ビューティの東京」を世界へ

プロジェクトの根底にあるのは「ファッションのパリ」ならぬ、「ビューティの東京」という構想だ。

遠藤社長は「東京は、外資ラグジュアリーコスメやクオリティーの高い日本コスメ、中国や韓国コスメなど世界中のビューティブランドが集積している。流通チャネルも多岐にわたり、世界から評価されている。アイスタイルとしては、この特性を最大限に生かし、東京を“ビューティの聖地”として世界に発信していきたい」と意気込む。

大木秀晃アイスタイル執行役員CCOは、「パリが一朝一夕でファッションの都になったわけではない。10年かけてでも、“ビューティの東京”を作り上げていきたいという強い意志を持っている」と語り、長期的な視点で取り組む姿勢を示した。

一方で、日本における“ビューティ”の位置づけについても言及した。遠藤社長は、「これまで日本では、ビューティは重要なコンテンツとして十分に認識されてこなかった。しかしここ最近は、政府内でもビューティを日本の重要な技術・産業の一つとして捉えようという動きが出てきている」と述べる。

そのうえで、「僕らが関わりながら、日本におけるビューティを社会的にも意義のある産業として確立するには、業界全体で取り組みを進めていく必要がある」と強調する。

「自分らしい美」を探るイベント

「東京ビューティウイーク」では、原宿・表参道・キャットストリート周辺の約10会場で多様な体験プログラムを展開する。メイン会場となる「東京ビューティスタジオ」では、来場者が「自分らしい美」を見つけるコンテンツを用意。パーソナルカラー診断や約50ブランドの体験ブース、カウンセリングやメイクアップ体験、プロによる撮影などを企画する。

期間中には、例年よりも早い発表となる「アットコスメ ベストコスメアワード2025」や「ジャパンビューティテックアワード」の授賞式も予定しており、消費者体験から業界動向までを横断的に発信する。

地域に根差す世代を超えた取り組みへ

大木CCOは「ただ人を集めるだけでは意味がない。地元で暮らす人々にとっても意義のある取り組みであることが重要だ」と話す。「ビューティは老若男女のもの。メイクや化粧といった枠を超え、自分と向き合い、心身の健康をケアするという意味では年齢や性別を問わない」とし、イベントではヘア&メイクアップアーティストのイガリシノブ氏によるキッズメイク体験や、今後は渋谷区内の老人ホームとの連携企画なども予定し、幅広い世代に開かれたイベントとして発展させていく計画だ。

アイスタイルは、同催事を単発のイベントではなく、中長期的なビジョンとして位置づける。「2025年を出発点に、“ビューティの東京”を文化として根付かせたい。ブランドと生活者の多様な出合いが、日本の化粧品市場全体の活性化にもつながるはずだ」(遠藤社長)。「東京ビューティウイーク」は、その象徴的な試みとして、ビューティの新たなエコシステムを描き出そうとしている。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

“カワイイ”エボリューション! 2026年春夏ウィメンズリアルトレンド特集

「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。