「アットコスメ(@cosme)」を運営するアイスタイルは、「アットコスメ」の口コミデータを生かしたコンサルティング事業を強化する。このほどCXコンサルティング企業のNODEと合弁でコンサルティング会社アイスタイルデータコンサルティングを設立した。新会社の資本金1000万円でアイスタイルが66%、NODEが34%を出資し、社長にはアイスタイルの天野博之執行役員兼ブランド体験ユニット長が就任する。
新会社では、コスメブランドに「アットコスメ内」の口コミをAIが分析し、マーケティング施策の分析と提案、商品開発の支援につなげるAI分析ツール「アットコスメ コ・パイロット(copilot)」の提供のほか、「アットコスメ」のデータをベースにマーケティングや商品開発のスピーディー企画立案や意思決定を支援する。口コミサイト「アットコスメ」は2190万件の口コミを筆頭に月間ユーザーは1760万人、登録商品数は40万件に達する。天野執行役員は「『アットコスメ』には、購買だけでなく購買前後に関わる膨大で有用なデータがあり、すでにそれらを統合したデータベース基盤がある。データドリブンなコンサルティング事業をスタートすることで、これまで販促プロモーションに限定されがちだった当社の事業領域をマーケティング全般の支援や商品開発にまで広げられる」という。
口コミのAI分析ツール「アットコスメ コ・パイロット」は、属性やブランド、期間など細かい条件を設定し、口コミを分析したり、条件を設定しペルソナを生成できたり、施策やブランドなどについてチャット形式で相談したり、提案を受けたりすることもできる。同サービスの料金プランはライト(口コミ検索と分析のみ)が月額25万円、ペルソナ作成もできるスタンダードが55万円、30アカウントを使用できるビジネスが85万円になる。
先行してコンサルティングサービスに参加した資生堂ジャパンの松村美穂SHISEIDOブランドマーケティング部バイスプレジデントは「(コンサルティングを受けて)たとえPOSなどの豊富なデータを持っていても、実際には特定のデータに依拠したプランの実行に偏りがちだったことに気付かされた。情報の拡散が早く、生活者の気持ちが移りやすい現代は、施策も状況に応じて細かく見直すことが重要になっている。口コミデータを活用したコンサルティングを受けたことで、マーケティング施策の企画から実行までのPDCAをかなり早く回せる組織にパワーアップできた」という。
新会社アイスタイルデータコンサルティングはアイスタイルから10人、NODEから6人が出向し、16人でスタート。来年1月から本格的に始動、初年度は10クライアントの獲得を目指す。新会社では積極的に人材も採用し、5年後には20億〜30億円の売上を見込む。