
コスメ選びの指標として人気を集めるベストコスメランキング。香港のアットコスメストア2店舗(朗豪坊店と利舞臺店)の売り上げデータから算出した「アットコスメストア 人気賞 総合賞」では、日本とは異なるトレンドが浮かび上がった。現地マーケティングマネージャーと編集部に、香港で支持を集めるアイテムと市場の特徴を聞いた。
「アットコスメストア」香港での2025年上半期売り上げTOP10
1位「オペラ(OPERA)」“グロウリップティント”(全11色、各1980円)
2位「ケイト(KATE)」“リップモンスター ツヤバース”(全5色、各1650円)
3位「エナモル(ENAMOR)」“バイカラーアイズ”(全3色、各2420円)
4位「エナモル」“ジェリーグロウハイライター”(全2色、各2420円)
5位「キモチ(KIMOCHI)」“ネコのきもち ホットアイマスクアソートセット”(3枚入り、660円)
6位「ルルルン(LULULUN)」“ハイドラ AZ マスク”(7枚入り、770円/28枚入り、2420円)
7位「ビーグレン(B.GLEN)」“ドラゴンズシークレットマスク”(ジャー60枚入り、5500円)
8位「エテュセ(ETTUSAIS)」“アイエディション(マスカラベース)”(1320円)
9位「Nオーガニック(N ORGANIC)」“ブライト ホワイト メラノリーチ エッセンス マスク”【医薬部外品】(4枚入り、2090円)
10位「ビューティーワールド(BEAUTY WORLD)」“フェリセラテノン フィンガーマルチブラシ”(990円)
ーー香港のアットコスメストアの製品ラインアップは?
エイミー・オウ(Amy Wong)=アットコスメホンコン マーケティングマネージャー:「『アットコスメ』は日本発のビューティプラットフォーム兼ストア」というイメージが浸透しているのに加えて、香港の消費者は日本の製品や美容トレンドに強い関心を示しているため、Jビューティの取りそろえを強化している。最近は百貨店ブランドの取り扱いが増えているほか、韓国コスメも存在感を拡大している。
ーー香港と東京の売れ筋(集計期間:2025年1月1日~6月30日)の違いは?
ナンシー・トウ(Nancy Tung)=アットコスメホンコン 編集部(以下、トウ):保湿や艶を重視している点は共通する。高温多湿な香港では、持続力や皮脂コントロール、軽いテクスチャーが好まれる。一方日本では、スキンケア成分を配合した“美容液発想”の製品に支持が集まる傾向にある。
ーー香港市場における、2025年下半期トレンドの予想は?
トウ:スキンケアでは、天候や大気汚染といった外的要因から肌を守り、健やかに導くケアへの関心が一段と高まっている。メイクアップでは、軽やかで通気性に優れた使用感や、素肌のようなナチュラルな仕上がりを求めるトレンドが続きそうだ。
「アットコスメストア」香港でのTOP3ブランドが人気の理由を分析
香港のアットコスメストア2店舗の25年上半期売り上げランキングでトップ3に輝いたブランドに、香港市場で支持されている理由を分析してもらった。
1位「オペラ」“グロウリップティント”
玉川聡子「オペラ」PRは、「“グロウリップティント”は情緒的なビジュアルの世界観と、透け感のあるみずみずしい発色が支持されている。色の持続力やスルスルとした塗り心地、潤いなど、機能性の高さも高評価を得ている。香港人女性は一般的に『素肌重視』で、日本人女性ほどフルメイクはしないが、素肌を際立たせるためにリップへのこだわりが強い。透明感のある仕上がりを好み、ピンク系カラーが売れ筋という点は日本のトレンドとも共通している」と話す。
2位「ケイト」“リップモンスター ツヤバース”
青木若菜「ケイト」マーケティング担当は、「主な理由は3つあると考えている。第一に、通年湿度が高い香港では化粧持ちの良さが重視される。“リップモンスター ツヤバース”は発色の持続性やにじみにくさ、つけたての美しさが長く続く点が高く評価されている。次にみずみずしい艶感によって、唇を滑らかにふっくらと立体的に見せる仕上がりが好評だ。さらに唇に潤いを与えながら軽いつけ心地であることも、リピートにつながっている。
香港ではKビューティの影響が強く、艶感のあるリップが高い人気を誇る。一方でJビューティに見られる繊細で上品な仕上がりも高く評価されており、日本と韓国のトレンドを融合したスタイルが広がっている。日常使いしやすい自然なカラーが好まれ、中でも“G03”や“G04”が人気だ」と分析する。
3位「エナモル」“バイカラーアイズ”
小林菜穂「エナモル」PRは、「“バイカラーアイズ”の『時短・簡単・トレンド感』の訴求が自分ごととして受け止められたことが要因だろう。また、Jビューティが得意とする上品なシマー発色のカラー(右側)により、“日本コスメらしさ”を実感できる。高発色で、中華圏でトレンドの“ワンホンメイク(中国のインフルエンサー、ワンホンのように画面映えを重視した華やかで女性らしいメイク)”らしさを兼ね備えている点も支持された。
5月にアイスタイル香港支社へ訪問した際、『エナモル』の“手に届く洗練さ”が香港の顧客ニーズにマッチしていると評価された。製品の大半が2000円台と手に取りやすく、香港では特に学生から社会人まで、洗練さや上質感、大人っぽい姿に憧れる若者世代に支持されている。ヒットの最大の要因は、プレステージブランドに負けないクオリティーだと自負している。さらに、プロデューサーのかじえりは『メイクのプロ』『自立した女性』『活躍する母親』であり、憧れの女性像としてのポジションを獲得している。模造品や品質に不安がある製品も出回りやすい中で、作り手が見えて、かつメイクの使用方法までもがYouTube上で見られるという点も、顧客にとっての安心材料となっている」とコメントした。