ジュンの「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」が好調だ。デザインや素材のクオリティーを高めた比較的高価格の商品がよく売れ、客単価が上昇した。春夏商戦のプロパー売上高は2ケタ増で推移した。2024年9月期の売上高約90億円に対し、25年9月期は100億円の大台の目前まで迫り、過去最高を更新する。
昨年後半からMDを見直した。中心ターゲットをやや上に設定し、30〜40代の女性とした。目の肥えた大人の女性が満足するようなデザインと素材を充実し、価格帯を上げた。一方で価格訴求に頼らざるを得ないベーシックな服は集約した。例えばインラインブランドのバッグ「PFT」では、本革の3万〜6万円のハンドバッグを強化している。
同時に顧客化を進めた。会員登録したIDを持つ顧客とのコミュニケーションを深める。店舗スタッフはLINEワークスを用いて、新商品の入荷などきめ細かい情報を送ったり、顧客からファッションに関する相談を受けたりする。「アダム エ ロペ」へのロイヤリティーを高めて、来店頻度を上げる。
それらの結果、購買力のある30〜40代女性の購買額が今年の春夏で2割上がった。
「アダム エ ロペ」は現社長の佐々木進氏が立ち上げて今年35周年を迎える。全国のファッションビルなどに28店舗を展開し、そのうち18店舗がメンズ・ウィメンズの複合業態となる。売上高に占める割合はウィメンズ75%、メンズ25%。
もともとセレクトショップ業態としてスタートしたが、現在の仕入れ品の割合はウィメンズで2割弱、メンズで4割に過ぎない。今後は他店と差別化するため仕入れ品を増やす。春夏商戦では「ラコステ」「ハンター」「アニエス・べー」「グラミチ」といったブランドとの別注商品が人気を集めた。秋冬商戦ではオリジナル品でも仕入れ品でも10万〜20万円のアウターを拡充した。また村上亮太デザイナーによる「ピリングス」の最新コレクションも重点的に並べる。
ジュンは9月12日にアトレ恵比寿の西館3階フロアを改装オープンした。西館3フロア一面はジュンの複数のブランドで構成されており、改装後は「ロペ」「アダムエロペ」「サロン アダム エ ロペ」および飲食の「サロン ベイク アンド ティー」の顔ぶれになる。1968年に誕生した「ロペ」の姉妹ブランドを一堂にそろえて買い回り効果もねらう。