津森千里デザイナーによる「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」は9月4日、2026年春夏コレクションを発表した。ブランド設立35周年を記念し、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」に参加。ショー形式での発表は、パリでの2018-19年秋冬以来およそ7年ぶりとなる。会場は表参道にあるショールーム兼ショップ「TCハウス(TC HOUSE)」。アットホームな空間には、長年ブランドを見守ってきた業界人が多く集まり、コレクションを祝った。
今シーズンのテーマは、「35年分の感謝」。津森デザイナーは1976年文化服装学院卒業後、イッセイミヤケインターナショナルに入社。その後、90年に自身のブランドを立ち上げた。2003年からパリでコレクションを発表し、自ら描くイラストと実績を積んだ服作りで、「ツモリチサト」というブランドを確立してきた。今回はアニバーサリーに加えて、2年前に病気を克服した経験から「多くの方に支えられ、そして生かされている」との実感をコレクションに込めた。
ランウエイには、大きな白い花が壁一面に咲き誇るような幻想的なディスプレーを設置。コレクションもまた、透明感のあるシフォンやオーガンジーに、ピンクやイエローのペールカラーを重ね、花や植物、海洋生物を描いたイラストやアップリケをあしらった。津森デザイナーが描き続けてきた、楽しさと温かさのあるロマンチックな世界観をあらためて印象付けた。さらに虹やハート、地球のモチーフ、「Happy」や「Love」といったメッセージをのせ、感謝の思いを強調。津森デザイナーの変わらない“少女の心”とファッションへの愛情が伝わるコレクションとなった。
ショー後、津森デザイナーは「ここまでブランドを続けてこられたのは、多くの方に支えられてきたから。これからも大好きな服作りを、遊びながらリラックスしながら、続けていきたい」と涙ぐみながら語った。最後には、東京の若きデザイナーに向け、「服作りは大変なこともあるけれど、なるべく多くの経験を積んで、思い切り好きなファッションを楽しんでほしい」とエールを送った。
「楽天 ファッション ウィーク東京」のメーン会場である渋谷ヒカリエでは、8階の特設会場で、ブランドの歴史を振り返る展示イベントを開催している。100体以上におよぶアーカイブ作品のほか、独自の世界観を彩るプロップスが並んだスペシャルな空間を体験することができる。会期は6日まで。