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大蛇退治を間近で! 石見神楽を大丸松坂屋と島根県江津市がメタバース化

大丸松坂屋百貨店は、島根県江津市と連携し、同市が位置する石見地方の伝統芸能「石見神楽(いわみかぐら)」のメタバース化を実現した。完成した仮想空間は、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上の専用ワールド「島根県江津市 石見神楽『大蛇』」で5月28日から一般公開される。23日には先行お披露目が行われた。

メタバース化されたのは、30を超える演目の中でも人気の高い「大蛇(おろち)」と「鐘馗(しょうき)」。「大蛇」では、(すさのおのみこと)と八岐大蛇(やまたのおろち)が対峙する場面を3D空間で再現。八岐大蛇の鱗の質感や、須佐之男命に巻き付く様子などが臨場感たっぷりに描かれ、仮想空間ならではの多角的な視点からの鑑賞が可能となっている。

衣装データはBOOTHで無償配布

一方「鐘馗」では、登場する「鐘馗」と「疫神」の衣装を3Dデータとして再現。大丸松坂屋のオリジナルアバターはもちろん、他社の人気アバターにも対応した汎用性の高い設計となっており、BOOTH内の公式ショップで無償配布する。

大丸松坂屋百貨店デジタル戦略推進室DX推進部の岡崎路易(るい)部長は、江津市観光大使“GOTSU CREW”として、地域の起業家の方のビジネス・マーケティングのアドバイスをするマッチング会に参加。そこに市職員として事務局を務めていたVRChatヘビーユーザーの_FUKU_と出会い、メタバースの可能性を語り合うなかで、「石見神楽をメタバース化しよう!」と意気投合したことがきっかけだという。

石見神楽を演じる団体は非公式も入れると、石見地方だけでも60以上。その中の江津市波子社中の協力を得て、メタバース化を実施した。9人の演者が江津市でモーションキャプチャーを着用してVRChat内のスタジオワールドで1人ずつ舞踏。そのデータから3D化した。メタバースと3Dモデルの制作はV、ディレクションはJONERが担当した。

大蛇の胴体は和紙と竹でできており、鮮やかな鱗を表現しながら、迫力のある動きを可能にしている。そのダイナミックな動きと質感、錦糸銀糸を織り込んだ豪華絢爛な衣装を3Dで再現。メタバースで臨場感たっぷりに楽しめるだけでなく、デジタルアーカイブとしても貴重だ。

大丸松坂屋はこれまでにもメタバース領域で、3Dアバターや衣装制作、ワールド構築などを手掛けてきた。今回はその知見を活かし、「伝統文化×地域創生×メタバース」という切り口で文化的資産のデジタル化と地域プロモーションを両立。冒頭には英語での解説も入る。「この切り口で他の石見神楽の演目や、他の地域の伝統文化(伝統芸能)もメタバース化していきたい」と岡崎部長は意欲を語る。

あわせて、5月28日から6月1日まで、2025年大阪・関西万博の会場内「地方創生SDGsフェス」にも出展。「EXPOメッセWASSE」で、メタバース内の「大蛇」を体験できるほか、実際の神楽衣装も展示される予定で、リアルと仮想の融合を体感できる貴重な機会となる。

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