ファッション

ビームスとメタバースでコラボした「リアクロ集会」主催者に聞く バーチャルファッションの魅力とは?

 ビームス(BEAMS)は8月13〜28日に開催された世界最大級のバーチャルイベント「バーチャルマーケット2022年サマー」に出展し、バーチャルショップを開いた。4度目の出展となった同店では、リアルアパレル商品の3Dモデルを販売。試着ギミックも用意した。さらに20日夜には、アバターファッションの中でもリアル寄りのスタイルを楽しむユーザーによるVR交流イベント「Real Clothes Rally」(通称「リアクロ集会」)を誘致し、初めてバーチャルショップでイベントを開催。3つの会場インスタンスがオシャレなアバターで満員になる盛り上がりをみせた。「リアクロ集会」を主催するジョネ(Joner)に、バーチャルファッションの魅力を聞いた。

WWD:ビームスとコラボのきっかけは?

ジョネ:後から知ったのですが、3月の「リアクロ集会」初開催の時にビームスのVR担当者が遊びに来てくれていたんです。その後、僕にツイッターのDMが来たのがきっかけです。「クリエイターとコラボをしたい」「一緒に何かしたい」という内容でした。いきなりだったし、すごくよく知っているショップだったので、正直「うそかな、本当に?」と思いましたが、やれるなら絶対に面白いと、即OKしました。

WWD:それぞれに服やヘアを改変したり、アクセサリーに凝ったアバターが多数来場し、互いのコーディネートや改変をほめあったり、写真を撮ったりして楽しんでいたが、通常の「リアクロ集会」と内容は変わらず?

ジョネ:そうしたほうがいいと考えました。「リアクロ集会」をいつもと違う雰囲気で、ビームスも交えて一緒にやろう、みんなで交流しようという趣旨です。通常はテーマを設定しますが、今回は特に設けず、「ビームス」のアパレル3Dモデルも楽しんでもらえればいいなと。

WWD:3インスタンスが満員だったから、100人くらいが来場していたことになる。実際にやってみての感想は?

ジョネ:みんながお互いのファッションを見て刺激を受けたり、ビームスのスタッフさんたちともすごい近い距離感で楽しく話してるのが、すごくいいと思いました。リアルとバーチャルがクロスすることで、新しい距離感というか空気というか、僕自身、今までなかったような体験ができました。来場者が直接ビームスのスタッフさんに「こんなものが欲しい」とか、「あるといいよね」ということを談笑していて。同じ空間で交わって初めて分かるユーザーの温度感やニーズを、ビームスのスタッフさんたちも一ユーザーとして楽しみながらつかめたのではないでしょうか。ユーザーと企業の人たち双方にとっていい体験ができたんじゃないかと思います。

WWD:バーチャルファッションの魅力とは?

ジョネ:身長や顔の形など、リアルだと骨格が決まっていて、簡単に変えられないと思いますが、まずそこから解放されます。例えばリアルで、このパンツ、すらっとしててきれいだなと思っても、自分の体形では理想のきれいなラインが出せないといった、好きなのにそこを追求できないもどかしさみたいなものです。それが解消され、目の形や脚の長さなどを自在に変化させて楽しめるのが、バーチャルファッションの最大の魅力です。

WWD:リアルでもファッションは好き?

ジョネ:好きですね。いろんなブランドの公式LINEアカウントを登録していて、メンズと一緒にウィメンズも見ています。「これ可愛いな、自分が女だったら買うかな」とか、「こういうの合わせたらいいだろうな」とを考えたりします。

WWD:オシャレなアバターとはどういうアバターだと考える?

ジョネ:僕自身はリアルの感覚とさほど変わりません。強いて言うなら、その人が好きなものだったり、その世界観が視覚的に見て取れ、キャラクターのコンセプトや雰囲気が伝わってくるものがおしゃれだと感じます。その場その場の雰囲気にうまく合わせているというのも大事な要素です。

WWD:そもそもプラットフォームであるVRChatを最大限に楽しむにはハイスペックなPCが必要で、今回初めてBOOTHでアバターを買い、ユニティ(ゲームエンジン)をダウンロードして、VRChatにアバターをアップロードしたが、素人にはなかなかハードルが高かった。ここからさらに着替えたり、改変したりしてオリジナリティーを発揮するのは、センスも大事だが、同じくらい技術が必要だ。リアルのファッションとは似て非なるものだと感じた。

ジョネ:そこもバーチャルファッションの魅力だと思います。そのための技術力もどんどん求められてますが、そこも含めて楽しいです。普段なかなかユニティなんて触ることがないですが、楽しむ過程ですんなり技術が覚えられます。もちろん最初はいろいろな失敗もしましたが、それもいい思い出になっていますし、もっといろいろできるようになりたいです。

WWD:確かに達成感は高いし、改変上手なアバターは一目置かれそうだ。リアルなブランドはバーチャルの世界でも需要があると思うか?

ジョネ:バーチャルならではの奇抜なデザインや露出度の高いものも好きだけれど、もっと現実でも着られるような衣装が増えてほしいという声が少なくないので、リアルブランド商品のニーズは確実にあると思います。僕も「ファセッタズム」のMA-1には、「ナイキ」の“エア フォース1”を合わせてはきたいです!自分たちが楽しいと思える世界が世に広がってほしいですし、いろいろなブランドが参入して、コーディネートの選択肢やイベントなど、楽しいことが増えれば興味を持つ人も増えて、ビジネスチャンスも増えます。現状ではユーザー数がまだまだ少ないので、ブランドが収益を上げるのは難しいかもしれませんが、今後技術革新や、バーチャルでの出来事の露出が増えていくことで、人口が大幅に増える見込みはあります。バーチャル世界特有の文化がありますし、増えてから急に参入するのは大変だと思います。早い段階からのリサーチが必要で、「リアクロ集会」に参加するなど、ぜひ自分たちの目で実際を確かめてほしいです。

WWD:今後の活動計画や将来の目標は?

ジョネ:「リアクロ集会」としては、バーチャルでリアルクローズに近いファッションが好きな人が盛り上がれるように、なるべく新しい動きをして興味を持ってもらい、楽しんでくれる人を増やしていきたいです。また、今回のように、リアルなブランドとバーチャルの世界の橋渡し的なこと、ショーなどもやっていきたいです。僕個人としては、バーチャルスタイリスト。これからVRに入ってくる芸能人や著名人に対して、スタイリストをしてみたいです。盛り上がるという観点で言えば、ユーザーと同じ立場でやるのが一番親近感があります。既存のアバターを使って、今、売っているものの中からスタイリングしてという動きがあれば、ぜひお手伝いしたいです。同時にアパレル3Dモデル制作の腕も磨いて、将来的には一点モノの制作も受注できるようになりたいです。