星野リゾートは、宿泊施設の新たなサブブランドとして、「心揺さぶる山ホテル」をコンセプトとする「ルーシー(LUCY)」を立ち上げる。第一弾として9月1日に、群馬や福島にまたがる尾瀬国立公園の玄関口である鳩待峠(群馬・片品村)に、「ルーシー尾瀬鳩待」を開業する。宿泊予約の開始は6月2日。尾瀬散策の前日に宿泊し、翌早朝から尾瀬を楽しむといった旅のプランを推奨する。
「プライベートな寝室」「温水洗浄トイレ」「シャワー&パウダールーム」「充電・Wi-Fi無料」「食べ応えのある食事」「館内に24時間オープンの“ラストコンビニ”設置」といった、多くの山小屋では提供することが難しいサービスを“6つのプロミス(約束)”として打ち出し、「宿泊客の負担・不安の解消をサポートする」(発表資料から)。コロナ禍以降広がっている、アウトドアアクティビティーを気軽に楽しみたいというエントリー層のニーズを取り込む。
2人部屋で1人1万4050円から
尾瀬鳩待の「ルーシー」は、バスや乗合タクシーの鳩待峠駅の目の前に立地※。宿泊棟と日帰り客も利用できるカフェ&ショップの2棟で構成する。客室は25室で、プライベート空間を確保した1人利用のドミトリー、2人部屋、4人部屋の3タイプがある。宿泊料金は2人部屋利用時で1人あたり1泊夕食付きで1万4050円から。カフェ&ショップは、宿泊棟に先駆け8月1日に開業する。
※マイカー規制区域
尾瀬鳩待に続く「ルーシー」の開業予定は「未定。星野リゾートは宿泊施設の(所有会社ではなく)運営会社。尾瀬鳩待を見た自治体や投資家が興味を持ち、施設の運営で声を掛けていただければ、そこから取り組んでいく」と星野佳路社長。星野リゾートは富山と長野にまたがる立山の室堂ターミナルに隣接した「ホテル立山」を2024年に取得しているが、「ホテル立山が『ルーシー』ブランドになるかは未定ながら、プロジェクトは進行中」(広報担当者)という。
「山の文化に、
エントリー層も入ってきてほしい」

星野リゾートには「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO」「BEB」という5つのサブブランドが既にある。「サブブランドを新たに作ることで、単に客層を広げたいというわけではない」と星野社長。「コアな人たちが楽しんでいる山の文化に、エントリー層、次世代層にも入って来てもらう。『ルーシー』のような施設で需要を作り出すことは、そのきっかけになり得る。今までとは違うタイプの山小屋を作ることで、既存の山小屋のサービスにも変化が起きる。そうなると、過酷な労働環境による後継者難など、山小屋の世界に今後起こり得る問題にも、一石を投じられるかもしれない」と続ける。