ビジネス
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ 第68回

賃上げのためにDXで生産性を向上し続けるユニクロ

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回もファーストリテイリング最新決算のポイントを解説する。この記事は「WWDJAPAN」2024年12月2日号からの抜粋です。)


今回もファーストリテイリング(FR)の2024年8月期決算について解説します。 前回 はインバウンド需要&海外事業編でした。今回は国内ユニクロ事業の生産性の向上について見ていきましょう。

僕は著名コンサルタント、神田昌典さんが提唱する商品やビジネスのライフサイクル理論、つまり導入期、成長期、成熟期、衰退期はほぼ等期間になるという考え方が多くの事例に当てはまると思っています。

それを国内ユニクロ事業に照らし合わせると、フリースブームからが成長期、営業利益がピークアウトした2010年以降からが成熟期と考えると、12〜13年周期。近々、国内ユニクロ事業は、次の「衰退期」に突入するだろうと踏んでいました( 第3回参照 )。しかし、今回の決算は、そんな定説をものともせず、13年目にして、過去最高の営業利益を超えてしまいました。ユニクロは本当に常識を覆しますね。

なぜここまで強くなったのか?理由は3つあります。1つめは前回も触れたインバウンド需要による売り上げアップです。

次に、夏シーズンに強くなったことです。かつて、ユニクロは秋(9〜11月)が良ければ、全て良しみたいな感じで、夏(6〜8月)に至っては営業利益が赤字という期もありました。売上高も春夏と秋冬では43対57くらいで差が開いていました。しかし、24年8月期は48対52。だいぶ均衡してきています。もともとアウター構成比がそんなに高くないというのと、在庫の確保と値下げ抑制が効いていると思われます。

そして、生産性を高めることで、販売管理費をコントロールしています。今回、最も注目したのは、1人当たりの売上高、つまり生産性が格段に上がったことでした。

少ない人数で大型店を回す

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