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特集 アシックス 第4回 / 全5回

「オニツカタイガー」は欧州でブランディング&アジアで国際的な人気獲得

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「オニツカタイガー」は欧州でブランディング&アジアで国際的な人気獲得

アシックス(ASICS)は、さまざまな事業を5つのカテゴリーに分けている。パフォーマンススポーツランニング、コアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイル、アパレル・イクイップメント、そしてオニツカタイガーの5つだ(こちらの記事参照)。この中で近年急成長してNo.1の営業利益率を叩き出すのは、ファッションブランドと位置付ける「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」。1人のキーマンが参画以降、急成長を続け、アシックス本体にとってもある意味ファッション化や東南アジアでの成功の手本となっている。過去の取材や記事から「オニツカタイガー」の歩みを考察した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月4日号からの抜粋です)

アシックスにおけるファッション化
&東南アジア攻略の旗手

「オニツカタイガー」成長の立役者は、外資系のラグジュアリーブランドを経て2011年にアシックスに入社、その後「オニツカタイガー」のグローバルカンパニー長に就任して、現在はアシックスの副社長執行役員も務める庄田良二氏だ。ここでは「WWDJAPAN」の過去の取材や記事から、庄田カンパニー長が参画してからの「オニツカタイガー」の成長を振り返る。

庄田カンパニー長は、まず14年ごろ、まさに外資ラグジュアリーのように「オニツカタイガー」の卸売りをほぼ止めて直営戦略に切り替えた。当時のブランドは、クリエイティブ・ディレクターにアンドレア・ポンピリオ(Andrea Pompilio)を起用して、カプセルコレクションを発売したころ。今よりさらに値頃感がある「オニツカタイガー」の価格帯で、その後は「カナーリ(CANALI)」のクリエイティブ・ディレクターにも就任するなど頭角を表しつつあったイタリアンデザイナーのアイデアを形にした商品は、ちょうどセレクトショップに支持され始めていたが、こうしたチャンスを自ら捨てた格好だ。その理由について庄田カンパニー長は、「卸のビジネスが大きいと、パートナーに足を引っ張られて売れるモノ作りに走ってしまう。私たちは、新しいモノ作りに挑戦したかった。直営店を構えるようになって、新しいモノを次々に追求していく姿勢やスピード感を身につけることもできた」と振り返る。ここから、庄田カンパニー長の経験やノウハウを生かした、「オニツカタイガー」のファッションブランド化および「アフォーダブルブランド」としての「自慢できたり、高揚したり、満足したり、幸せに思えたりする新しいラグジュアリー」の提供が本格化する。

ヨーロッパでは大通りに路面店

その後「オニツカタイガー」はアンドレアを通して、そして彼の母国であり21年からファッション・ウイークに参加するイタリア・ミラノを通して、世界に羽ばたくためのコレクションを発信した。オリジンのスポーツスタイルにアンドレアが得意とするテーラードを融合しながら、彼が見いだす“日本らしさ”を加味することで、世界基準の日本のブランドとして勝負する。テーラードが加わることでスタイルも広がったほか、スニーカー同様の軽さや履き心地にこだわるローファーなどは、「新しいラグジュアリー」を代表する商品になりつつある。と同時に「オニツカタイガー」はミラノのほか、ロンドンやベルリン、そして来年にはパリの目抜き通りに路面店を構える。欧州では、好立地に旗艦店を構えて「新しいラグジュアリー」としてのブランディングにまい進する。

アジアではトラフィックの
多いモールで大人気

欧州が目抜き通りの路面店なら、東南アジアは交通量の多いショッピングモールの一等地にこだわり、国の成長と共に若い世代のファンを急拡大している。その人気は近年、東、南アジアにも広がるほか、母国だけではなく日本でも買いたいと来日するインバウンドを増やしている。

「オニツカタイガー」は、9代目のプミポン国王がスニーカーを履いている写真が残るほど、元来タイとのつながりが強い。そこでブランドは18年、東南アジア最大のブティックをタイにオープン。ご当地ブランドとのコラボレーションや、高温多湿な現地での生活に即したスリッポン型のスニーカーも発売してきた。「気温が高いタイでは、スニーカーに靴下を履いている人はほとんどいないし、洗濯機で靴を丸洗いする人も多い。サンダル感覚ではけるスニーカーを考案したら当たった」という。当時は多くの日本企業が中国に進出する中、「オニツカタイガー」はタイ一国に集中投資。すると、東南アジアで盛んなSNSやユーチューブ(YouTube)のおかげで、人気はインドネシアやマレーシア、そして東、南アジアへと広がった。現在ミラノ・コレクションにはアジア各国からインフルエンサーを多数招き、若い世代へのさらなる浸透を図っている。

また庄田カンパニー長が育てたスタッフは、「100周年の時の『ありたい姿』を想像しながら、お客さまからのフィードバックを感じつつ、バックキャストで今なすべきことを考える」ようになった。実際「オニツカタイガー」には外資ラグジュアリーのように、グローバル視点でブランドを継承しようと考えるスタッフが多い。アシックス社内の他の事業からの異動組もブランディングを学ぶ。

快進撃が続く「オニツカタイガー」に課題はあるのだろうか?まずは価格。「アフォーダブル」ではありつつも「新しいラグジュアリー」を目指す上では、「それでも買いたい」と思わせる付加価値を創出しながら中心価格帯を引き上げていくことが必要だ。戦略の一つとして「オニツカタイガー」は「フェラガモ(FERRAGAMO)」の販売経験者を定期的に招き、ラグジュアリーな靴の接客について学んでいる。

もう一つの課題は、イエローがシンボリックカラーのファッション・ドリブンなラインと、レッドの世界観のもとで打ち出すヘリテージスタイルの同居だ。現状、正直両者の顧客は異なっている。統合するのか、それとも住み分け続けるのか?いずれは腹を決める必要があるだろう。

「オニツカタイガー」の
売上高と営業利益率の推移

「オニツカタイガー」の売上高と営業利益率の推移

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