ファッション

「バレンシアガ」のCEOが語る、「とらや」との共通点・批判も覚悟のデムナとの「美の再定義」

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PROFILE: セドリック・シャルビ=バレンシアガ社長兼最高経営責任者(CEO)

セドリック・シャルビ=バレンシアガ社長兼最高経営責任者(CEO)
PROFILE: トゥールーズ・ビジネススクールを卒業後、2001年にプランタン・デパートでバイヤーとしてキャリアをスタートする。09年以降、「エミリオ・プッチ」「イヴ・サンローラン」といったラグジュアリーブランドでの要職を経て、16年11月に現職に就任。19年7月、ケリング執行委員会の一員となった PHOTO:EZRA PETRONIO" width="600" height="500" class="size-full wp-image-1808419" /> セドリック・シャルビ=バレンシアガ社長兼最高経営責任者(CEO)PROFILE:トゥールーズ・ビジネススクールを卒業後、2001年にプランタン・デパートでバイヤーとしてキャリアをスタートする。09年以降、「エミリオ・プッチ」「イヴ・サンローラン」といったラグジュアリーブランドでの要職を経て、16年11月に現職に就任。19年7月、ケリング執行委員会の一員となった PHOTO:EZRA PETRONIO

バレンシアガ(BALENCIAGA)」は4月27日、東京・銀座で初の旗艦店を、建て替えられた虎屋銀座ビルの1〜3階にオープンした。オープニングでは、4階に喫茶を構えた「とらや」による、「バレンシアガ」のロゴを配した和菓子などを振る舞いながら、アーカイブの展覧会を開催。来日したセドリック・シャルビ(Cedric Charbit)=バレンシアガ社長兼最高経営責任者に店舗や展覧会への思い、デムナ(Demna)「バレンシアガ」アーティスティック・ディレクターによるクリエイションについて聞いた。

「とらや」と「バレンシアガ」には、共通点
長年、クリエイションを続けながら伝統と革新に挑んできた

WWDJAPAN(以下、WWD):長らく東急プラザ銀座の店舗を「期間限定店」としながら、界隈での旗艦店オープンを目指してきた。
セドリック・シャルビ=バレンシアガ社長兼最高経営責任者(以下、セドリックCEO):旗艦店を構えたのは、生まれ変わった虎屋銀座ビル。まだビルは影も形もなかった2年ほど前、虎屋の18代目にあたる黒川光晴社長にお会いして、こうして縁に導かれた。「どうして銀座の中央通りに旗艦店を?」と尋ねられたら、「このビルが、『とらや』だから」。「とらや」と「バレンシアガ」には、共通点があると思う。「とらや」(創業は室町時代後期と言われる)は5世紀に渡り和菓子というクリエイションを続ける中で、伝統と革新の双方に挑み続けてきた。私たちも歴史あるクチュールメゾンで、ヘリテージを重んじつつも、デムナ(「バレンシアガ」アーティスティック・ディレクター)と共に革新に挑んでいる。もちろん、中央通りという、銀座の中で最もアイコニックな場所に出店する意義も大きい。銀座は、東京のハブで、日本のハブ。特に最近は多くの外国人観光客が押し寄せ、日本のショーウインドーから、世界のショーウインドーへと変貌を遂げている。私自身、度々日本を訪れているが、銀座に来ると今もワクワクして、子どものように喜んでしまう。夢とともにブランドを発信するには絶好の立地だ。

WWD:そんな銀座の旗艦店オープンを、創業したクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)によるアーカイブの展覧会で祝った。ただ店舗の2、3階に並んだのは、保存状態が良好なものではなく、長らく着用されたことで分解、酸化、変色、摩耗したもの。着る人と共に歩む洋服の歴史や、着用者の痕跡に思いを馳せるデムナらしい。
セドリックCEO:エイジングとは、美しく、面白いものだ。確かに一部のドレスは、肩の部分がほつれているどころか、完全に破けている。すでにダメージを受けているので、その保存や搬送は状態が良好なアーカイブよりも難しい。ただデムナは、たとえば「完全に破けた肩口から洋服の構造を覗き見すると、新しい発見があるかもしれない」と話す。アーカイブはどんなパターンで、どのように縫われていて、どんなオーナーに属していたのかを感じることができる。こうした好奇心が喚起するエモーションこそ、「バレンシアガ」を他とは異なるメゾンにするための手段だ。ターゲットとする“モダン”な人たちのために、我々は常に彼らの好奇心を刺激したい。

WWD:“モダン”と“若い”は、違うものなのか?
セドリックCEO:従来のカテゴライズ、特に年齢で考えることは、ほとんど意味をなさなくなっている。私自身も、あまり好きではない。実際「バレンシアガ」は、ティーンから50、60代まで、さまざまなVIP顧客を抱えている。年齢も性別も異なる顧客の共通点を挙げるとしたら、イノベイティブで、クリエイティブで、チャレンジが好きで、新しい美の捉え方に前向きで、他人と違うことを恐れず、自分自身を貫いている人。業界のゲームチェンジャーとなったデムナによるブランドだから当然とも言えるし、我々はデムナやモダンな顧客と共に今後もファッション業界を変革することに賭けている。

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