ファッション
特集 パリ・コレクション2024-25年秋冬

「バレンシアガ」で刺激を受け、「メゾン マルジェラ」で背筋がゾワッ! 2024-25年秋冬パリコレ取材24時Vol.9

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2024-25年秋冬パリ・ファッション・ウイークの現地リポートを担当するのは、コレクション取材20年超のベテラン向千鶴・編集統括兼サステナビリティ・ディレクターと、ドイツ在住でヨーロッパのファッション事情にも詳しい藪野淳・欧州通信員。朝から晩までパリの街を駆け巡り、新作解説からユニークな演出、セレブに沸く現場の臨場感までを総力でリポートします。今回は、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「アクリス(AKRIS)」のショーをはじめ、「エルメス(HERMES)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」などの展示会、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」2024年“アーティザナル”コレクションと「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」のインスタレーションをお届け!

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3月3日 10:00「アレキサンダー・マックイーン」展示会

朝イチは、昨晩もいた「アレキサンダー・マックイーン」の会場にカムバック。リシー(ショー後の展示会)はブランドのショールームなどで開催するブランドも多いですが、ショー会場をそのまま使って行うブランドもあります。ここでは、馬蹄が付いたようなシューズやメタルパーツをアクセントにしたバッグなど、新たなアクセサリーの写真をどうぞ!

11:30 「バレンシアガ」

ファッションショーを見る価値のひとつは、デザイナーが何を考えているかを知ること。特に、「バレンシアガ」のデムナ(Demna)の視点は、たとえ「バレンシアガ」に関心がなくても知る価値ありです。なぜならその発想を通じて時代の感覚を知ることができるし、刺激的だから。ということでまずは、デムナからの「ボイスメール」と題したメッセージの一部を共有します。

「私が最近よく考えている疑問のいくつかは、ラグジュアリーとは何か?ファッションとは何か、いったいなぜそれが重要なのか?コンテンツで飽和状態となった世界ではなにかが十分であることがあるのか?(中略)今、本当に貴重かつ有限に思われるものは、実際には、創造性そのものです。私は創造性が密かに新たなラグジュアリーの形となると信じています」。

ショーでは、その「コンテンツで飽和状態の世界」に没入する演出を用意しました。ランウエイを取り囲むスクリーンには、草原や氷山といった景色を映したかと思えば、突如、無表情の猫やインコに切り替わり、最後には多種多様な人物の顔をランダム・大量に投影し、観るものをその渦に飲み込みます。ショー後のバックステージでその意図を問われたデムナは「現実には美しいものがあるのに、スクリーンに向かっている時間が長すぎてそれに気づくのを忘れてしまうことが多い。コンテンツの過多は、非常に危険。重要なことに集中することができないから」と説明しました。つまり、それらのコンテンツに目を奪われることなく、ルックを見ることができるか、観客を試すような演出です。言い換えれば、「バレンシアガ」のルックがコンテンツに負けることなく観客を引き付けられるのか、自身を試す試みとも言えます。

結論を言えば、ルックとコンテンツは5分5分の勝負でした。「eBay」とのコラボやバックパックでできた服、テーラードの袖を切り落としたミニドレスやトレンチコートやシャツを首から下げてエプロン風の服、大量のブラジャーをはぎ合わせてカクテルドレスといったアイデアはこれまでも目にしてきたもの。DIY精神自体がデムナの「バレンシアガ」のスタイルになっていることから、新しいアイテムの組み合わせが出てきてもそれほど驚かないからです。目の上に下げても景色が見えるビーニーなど巧妙なアクセサリーは展示会で見て驚きましたがショーでその仕掛けに気づくことができませんでした。

オートクチュールではクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)が残したカタチの現代的解釈を追求しているのに対して、プレタポルテは「クリエイティブな表現のプラットホームとして使い、自分のパーソナルなスタイルにスポットライトを当てた」とデムナ。5分5分の結果は、「ヴェトモン(VETEMENTS)」で自身の美学を世に送り出してから10年が経過し、「バレンシアガ」でもすでに就任してから9年になる今、“デムナ”というスタイルが定着している結果でもあります。

こんな面白い話があります。昨年7月の朝、とがった細長いドレスシューズにロングコート、ワイドでぼろぼろのジョギングパンツで出勤中のデムナは、彼がデムナだと気が付いていない人に、スナップを撮られたそうです。しかも顔切りです。その瞬間、彼は自分がすでにひとつのスタイルを作り上げていることに気づいたそうです。「もう10年近く、この美学を追求してきた。そして、それは私の手の届かないところにある。街でバレンシアガを着ているように見える服を着ている人たちがいるけれど、そうではないことも多い。彼らの服の着こなし方、組み合わせ方、プロポーションは、このデムナ・スタイルそのものなんだ」。

13:00「エルメス」展示会

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