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特集 2024年春夏トレンド総決算

各都市のコレクションを盛り上げるセレブたち “メディアインパクトバリュー”が高いのは?

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昨今のファッション・ウイークは、来場するセレブリティーと、彼らを一目見ようと会場周辺に集まる大勢のファンが生み出す熱気と興奮を抜きには語れない。ここでは、2024年春夏シーズンのパリおよびミラノ・ファッション・ウイークを中心に、多額のメディアインパクトバリュー(メディア掲載やSNS上での言及などをアルゴリズムで測定しマーケティング価値を割り当てたもの。以下、MIV)を創出したセレブやブランドについてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月13日号からの抜粋です)

データテクノロジー企業ローンチメトリックス(LAUNCHMETRICS)の調査によれば、2024年春夏ミラノ・ファッション・ウイーク関連のSNS投稿で最大のMIVを創出したセレブは、「プラダ(PRADA)」のショーに来場した韓国のボーイズグループ、ENHYPEN(エンハイフン)だった。その額は700万ドル(約10億円)相当と、340万ドル(約5億1000万円)相当で2位となったモデルのピア・ウォルツバック(Pia Wurtzbach)のおよそ倍となっている。3位は“ウィン”の愛称で知られるタイの俳優メータウィン・オーパッイアムカジョーン(Metawin Opas-iamkajorn)の290万ドル(約4億3500万円)、4位はやはりタイの俳優であるプルック・パーニ(Pruk Panich)の240万ドル(約3億6000万円)、5位は米俳優のハリー・ベイリー(Halle Bailey)で170万ドル(約2億5000万円)だった。

MIV王者はパリコレと「ディオール」

ファッション・ウイーク別でのMIVを見ると、首位はパリの4億9900万ドル(約748億円)で、続くミラノは3億2900万ドル(約493億円)だった。ローンチメトリックスによるリポートではニューヨークとロンドンに関する言及はないが、インスタグラムに限定したMIVでは、パリが2億6900万ドル(約403億円)、ミラノが1億8800万ドル(約282億円)とやはり首位と次点につけており、3位はニューヨークの1億4400万ドル(約216億円)、4位はロンドンの3750万ドル(約56億円)となっている。

ブランド別で見ると、ニューヨークの首位は、4年ぶりにランウエイショーを行った「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」の1680万ドル(約25億円)で、2位は「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」の1620万ドル(約24億円)、3位は「トリー バーチ(TORY BURCH)」の700万ドル(約10億円)。ロンドンは、「バーバリー(BURBERRY)」がトップで1830万ドル(約27億円)、2位は「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」の500万ドル(約7億5000万円)、3位は「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」の330万ドル(約4億9500万円)だった。

ミラノの首位は、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)新クリエイティブ・ディレクターのデビューショーを行った「グッチ(GUCCI)」の4970万ドル(約74億円)だった。なお、同ブランドに関連する投稿でトップのMIVとなったのは、イギリス人ボリウッド俳優のアーリヤー・バット(Alia Bhatt)によるもので、110万ドル(約1億6000万円)を創出。2位は、前述のENHYPENやウィン、K-POPガールズグループのTWICEをはじめ、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)ら大勢のセレブがフロントローに着席した「プラダ」の4880万ドル(約73億円)で、3位は「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」の2280万ドル(約34億円)だった。

パリの首位は、ファッション・ウイークや大型イベントなどでMIVトップの座を獲得することが多く、もはや圧倒的王者の風格が漂う「ディオール(DIOR)」の5870万ドル(約88億円)だった。なお、MIVのうち14%はグローバルアンバサダーを務めるBLACKPINKのジス(JISOO)に関連するもので、彼女自身のインスタグラムへの「ディオール」のショーに関するポストは本稿執筆時点で427万のいいねを獲得しており、投稿単体で160万ドル(約2億4000万円)相当のMIVを稼ぎ出している。

2位は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の3820万ドル(約57億円)だった。同ブランドも、K-POPボーイズグループ、Stray Kidsのフィリックス(FELIX)や、米俳優ゼンデイヤ(Zendaya)らの“スターパワー”をうまく活用している。また、2440万ドル(約36億円)で3位となった「ミュウミュウ(MIU MIU)」も、TWICEのモモ(MOMO)やIVEのウォニョン(WONYOUNG)のほか、シドニー・スウィーニー(Sydney Sweeney)やエマ・コリン(Emma Corrin)らの若手俳優が来場し、前年の8位から一気にランクアップした。

タイなどのより幅広いアジア勢が台頭

ローンチメトリックスによれば、近年はK-POPの世界的な人気によって欧米よりも韓国の芸能人が高いMIVをたたき出す傾向が強いが、今季はそれに加えてタイやインドの若手俳優など、より幅広いアジア勢が台頭しているのが特徴だという。なお、「ディオール」は新たなアンバサダーとして、タイのドラマ「キンポルシェ・シリーズ」に主演して一躍スターとなった“アポ”ことナタウィン・ワッタナキティパット(Nattawin Wattanagitiphat)と“マイル”ことパークプーム・ロムサイトーン(Phakphum Romsaithong)を今年6月に任命。「グッチ」および「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」も、10月にやはりタイの俳優ダビカ・ホーン(Davika Hoorne)をアンバサダーに任命している。

*本文中の円換算レート:1ドル=150円

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