ファッション

「リック・オウエンス」2015年春夏パリメンズ ネオ90’sのけん引役。スポーティなムードを増して支持拡大を狙う

 1990年代に由来するレイヤードやワントーンコーディネートが台頭するにつれ、再度注目を集めている「リック・オウエンス(RICK OWENS)」。2015年春夏メンズ・コレクションは、そんなレイヤードにデニムを加え、さらに90’sなムードを強めた一方、ガウン感覚で羽織るフリュイドなチェスターコートやナイロンのようなスポーティな素材使い、太番手の糸を刺繍することで描いたSNS向きのアブストラクトなモチーフなど、今、洋服やスタイルが受け入れられるためのすべての要素を詰め込んだ。

 スタイルの基本は、まったく変わらない。貫頭衣のようにシンプルなパターンのロング丈トップスと、その裾からチラリと覗くさらに長いシルエットのインナー、そしてバスケットボールショーツにふくらはぎにまで迫るブーツタイプのスニーカー。ちなみに「アディダス オリジナルス」とコラボレーションしているスニーカーは今回、ソールに取りつけた独特のブレードが反発力を生み出す「スプリングブレイド」とのコラボレーションだ。

 台頭する90年代風のスタイルが当時と決定的に異なるのは、「重ねても軽い」や「重ねても健康的」なムードにある。そんなスタイルを生み出すため、今回はデニムとナイロンのようなスポーティな素材、それにペーパーライクなレザーを多用。デニムは、一度真っ黒に染めながらも、それを極限までブリーチし、再び白く。トレンドのヘルシーなピュアホワイトながら、随所に黒の痕跡を残しているあたりが「リック・オウエンス」らしい。エアリーな素材をハイブリッドして作ったトップスは、ブランドならではの存在感たっぷりのモードを残しつつも若干薄めた新しい選択肢になりそう。

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