「リック・オウエンス(RICK OWENS)」はこのほど、スウェーデン発オーラルケアブランド「セラハティン(SELAHATIN)」と協業し、4アイテムの限定コレクションを発売した。ヴァーベナやマダガスカル産バニラ、花椒を組み合わせた特別なアロマを採用し、ホワイトニング歯磨き粉、マウスウオッシュ、口内用フレグランス、歯ブラシに加え、ミニトラベルセットもそろえる。
デザイナーのリック・オウエンス(Rick Owens)によると、「必需品こそ特別に作るべき」という考えが基になっている。各製品は「リック・オウエンス」らしいモノクロの美学と「セラハティン」のリチュアル的な世界観を融合し、自身を見つめる感覚的な体験を促す。歯磨きは“心を落ち着かせる瞑想”のような時間となり、マウスウオッシュは五感を呼び覚ます“味覚のリセット”として機能する。
「セラハティン」を愛用しているオウエンスは、今回の協業を自ら提案したという。「雑誌の企画で日常について書いたときに、『フォントが好きだから「セラハティン」の歯磨き粉を使っている』と書いたんだ。するとインスタグラムで、僕の顔をぼかしたその引用が載っている『セラハティン』の広告を見かけた。彼らに連絡して『その大胆さ、いいね』と伝えたんだ。そしてコラボレーションを提案した」と振り返る。
「セラハティン」のクリストファー・ヴラル(Kristoffer Vural)創業者は、重い健康上のトラブルを機にブランドを立ち上げた。「脳卒中を経験し、文字通りゼロからの再出発を迫られたとき、『セラハティン』を作ることは自分を取り戻すための手段だった。日常の行為を高めようとする試みが、やがて暗闇から抜け出すための命綱となった。そしてこの歩みがリック・オウエンスとの協業につながるとは、当時は想像もしなかった」と語る。
パリのパレ・ガリエラ美術館(Palais Galliera)で6月から開催している「リック・オウエンス」の回顧展「テンプル・オブ・ラブ(Temple of Love)」で両社は初めて協業し、ギフトショップで猪毛の歯ブラシを販売。今回のコレクションは、それに続く取り組みとなる。