ファッション

「アークテリクス」丸の内店は世界で5番目のリペアセンターを併設 日本では25〜30店規模目指す

 アメアスポーツ傘下のカナダ発アウトドアブランド「アークテリクス(ARC'TERYX)」は10月7日に、東京・丸の内通りに国内13店舗目となる直営店をオープンした。売場面積は300平方メートルで首都圏最大規模となる。注目は、店内に併設した自社製品のリペアサービスを提供する「リバード サービスカウンター」だ。同社の循環型経済に向けた「リバード プログラム」の一環で、専門スタッフが在籍し製品のケアや手入れ方法について啓蒙していく。北米をはじめ主要都市では導入が進んでおり、丸の内店は世界で5番目。ディレイニー・シュバイツァー(Delaney Schweitzer)=チーフ・コマーシャル・オフィサーに、「リバード プログラム」の狙いや今後の戦略について聞いた。

WWD:丸の内店の印象は?

ディレイニー・シュバイツァー=チーフ・コマーシャル・オフィサー(以下、シュバイツァー):とても美しい店舗でチームメンバーが素晴らしい仕事をしてくれたと思う。カナダの旗艦店でも導入している新たなストアコンセプト「リバード プログラム」を持ち込み、ブランドのコンセプトをうまく体現している店舗になった。

WWD:直近のビジネスの状況は?

シュバイツァー:顧客と直接コミュニケーションが取れる店舗数の拡大に力を入れているところだ。しかし、コロナ禍で世界的に来客数が減り大きな打撃を受けた。計画していたグローバルでの出店ペースを減速せざるを得ない状況も続いた。一方でECは非常に好調で、北米の売り上げは50〜75%増で推移した。コロナが収束し始めている今でもECは昨対比50%増と堅調だ。全体の売り上げはECの伸びもあり、完全ではないもののある程度カバーされた。

WWD:グローバルの売上における、日本市場の割合は?また、日本市場のポテンシャルをどう見ているか?

シュバイツァー:日本は、中国と北米に次ぎ売り上げが3番目に大きい。特に日本の消費者は、パフォーマンスや品質、デザイン性を求め、アウトドアが好きな人が多い。私たちの提案が響く市場だと見ている。実際に他のマーケットよりも業績が伸びている部分もある。今後も年間3~4店舗のペースで出店を考えており、最終的には日本で25〜30店舗を目指す。

WWD:温室効果ガス排出量を18年度比で65%まで削減することを目標にしているが、温室効果ガス削減の観点からは出店がリスクになりかねない。出店計画とはどのようにバランスをとっていくのか?

シュバイツァー:出店がサステナビリティと矛盾するとは考えていない。なぜなら、実店舗での成功がサステナビリティの取り組みを推進するための資金につながるからだ。循環型経済を推進する「リバード プロジェクト」を実践すると同時に、ビジネスを伸ばしていくことで環境により良い行動を起こすことができるはずだ。

WWD:一つの商品を長く使ってもらうことは、新しい商品の購入の妨げにはならないのか?リペアサービスを提供することのビジネスメリットは?

シュバイツァー:例えばニューヨークのブロードウェイ店は、サービスセンターをオープンする前と後で比較すると来客数が20%増えた。すべてがリペアを目的とした来店ではないにせよ、サービスセンターを見にきたり、サービスセンターがある店舗でショッピングを楽しんだりする人が増えた。「リバード プロジェクト」のもう一つの柱である「リ・ギア」プロジェクトでは、顧客のいらなくなった商品を買い取り、修繕を加えて自社ECで再販につなげている。もちろん、新しい商品を求める顧客はたくさんいるが、そうした人たちは「リ・ギア」を利用して、すでに持っている商品を売り、代わりに受け取ったクーポンを活用して新しい商品を購入するという流れができている。再販の商品に対するニーズも一定数あるので、バランスは取れていると思う。「リ・ギア」は特にサステナビリティの意識の高い若年層に人気で、出品後即完売するものもある。新規顧客開拓にもつながっている。

WWD:「リバード プロジェクト」はグローバルでも拡大していく計画か?そのためにリペアの専門スタッフを増員するのか?

シュバイツァー:サービスカウンターは今後、主要都市には順次導入していく計画だ。特に循環型経済に関心の高い若年層にアプローチできると考えている。ジャケットの機能性を理解して販売するのとリペアをすることは全く違ったレベルの難しさがある。包括的なトレーニングプログラムを通して、リペアに対応できるスタッフを増やす。

WWD:今後の日本市場での注力課題および戦略は?

シュバイツァー:私たちの目的は、バンクーバーの「コーストマウンテン」と呼ばれる山岳地帯での体験を世界に広げていくことだ。グローバルでは山にまつわるアクティビティーを通したコミュニティー形成に力を入れており、今後日本でも実施する。引き続き持続可能なかたちで出店を続けていくつもりで、都市部だけでなく、コミュニティーベースの店舗や山の近くのロケーションなども検討しており、さまざまな顧客のニーズをカバーする。また、東京にデザインセンターを設けて日本の美しさを今後の私たちの商品に反映していく。

■アークテリクス 東京 丸の内ブランドストア
オープン:10月7日
住所:東京都千代田区丸の内2-2-3
営業時間:11:00〜20:00

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