6月13日発売の「WWDJAPAN」では、ファッション&ビューティ業界で活躍している女性たち25人の協力のもと、業界の女性活躍の達成度や女性のエンパワメントに注力していると思うブランドや企業、ロールモデルなどを聞いた。
ファッション&ビューティの大企業の経営層となると全く男女平等ではないし、完全とはもちろん言えない。しかし、声を集めた結果見えてきたのは、多様な人が、その人が追い求める幸せを実現させてきた業界の姿。社内外に女性やマイノリティーが多く関わる業界だからこそ生まれる知見や経験を生かして、ジェンダー平等・活躍において他業界をリードしていける存在になれるはずだという願いを込めて、アンケートの回答を前編・中編・後編で公開。今回は中編として、ファッションや小売りの業界で活躍する9人の回答を紹介する。
Q1 あなたの働く業界・企業の女性活躍達成度は?
Q2 自社以外で、女性のエンパワメントに注力していると思うファッションやビューティの企業、ブランドは?
Q3 あなたにとって女性活躍のロールモデルは?
宮地純/カルティエ ジャパン プレジデント&CEO
1. 50%
カルティエは世界的にも日本国内においても女性活躍度は非常に高い(女性管理職比率、国内外50%、各国の社長職も50%)。それでもあえて50%としたのは、女性活躍は女性のみの課題ではなく、社会全体で取り組んでいくべきものだから。“We need the other half!” もう半分の男性と共に社会全体を活性化させることが、今後の日本・世界にとって必須。
2. J.フロント リテイリングは、パワフルな女性があらゆる階層に多い。会話の中で笑いが溢れるような明るくパワフルな女性幹部が多いということは、組織としてもきっとエンパワメントが実現できているのではないかと思う。
3. 現バカラCEOのマギー・エンリケス
楠神あさみ/マッシュスタイルラボ取締役企画本部長兼マッシュホールディングス執行役員
1. 70%
自社内の女性エンパワメントは近年非常に進んでいる。人事や評価も性別関係なくフラットに行われ、適材適所な人材配置が行われていると感じる。ただ、業界としてはいまだ緩やかな変化にとどまっている印象。特に歴史の長い企業は、重要ポジションに男性を配する慣習があることや、そのポジションに就くのに必要な経験が女性にあまり与えられてこなかったため、急な変化が進みにくいのではないかと考える。
2. P&G、アップル。
やはり外資企業は、女性のエンパワメントの意識を社内にしっかり浸透させている。多様性&包括性への取り組みも強化している。しかし、外資でも一定のポジション以上になると男性比率が高い印象。
3. 緒方貞子
松原亜希子/大丸松坂屋百貨店執行役員 大丸東京店長
1. 40%(大丸松坂屋百貨店として)、30%(百貨店業界全体として)
大丸東京店は課長・部長級の管理職女性比率は32%を占め、百貨店の中でも先進性は高い。また、管理職を目指さず自分らしく輝ける働き方を模索している人の中でも、「大丸東京店を代表し、この分野ならばこの人」と言われるような女性が出てきており、期待を込めて40%とした。個々の挑戦を可視化することができるようになってきており、身近なロールモデル作りが進んでいる。普段から社員とのコミュニケーションを心掛け、本人の意思がどこにあるかを聞き、光を当てて育てることが大切だ。
2. マッシュホールディングス。
ウエルネスデザインを真に体現している企業としてすばらしい。社員個々の望むあり方を追求し、それが結果として女性活躍につながっている。チャンスを与えると共に、現場からチャレンジが生まれやすい風土を作っているのだと思う。
3. 2012〜20年にJ.フロント リテイリング社外取締役を務めた橘フクシマ咲江
野口麻衣子/TSIホールディングス執行役員 アルページュ社長
1. 20%(TSIホールディングスとして)、75%(アルページュとして)
TSIホールディングスは女性役員や管理職のロールモデルが存在しないため、キャリアプランのイメージがつきにくい。一方で子会社であるアルページュは女性比率が高く、管理職も女性が多い。さまざまなライフステージの幅広い世代の女性が長く働いていることで、仕事と私生活が両立できる安心感があると思う。日頃から社員全員に会社の経営状況を明確に伝えていることで、各自が役割と責任を理解しながら働くことができ、それが産後復帰率の高さにつながっていると思う。
2. ポーラ。
現場推進能力の高い女性社長が経営している。女性役員・執行役員が存在し、実際に活躍している。
3. 母親
海老沼愛/ベイクルーズ上席執行役員
1. 80%
社内や取引先には活躍している女性が沢山おり、女性活躍は日々感じている。業界的な女性活躍の達成度は比較的高い。とはいえリーダーや管理者は男性が多い点が残りの20%の理由。当社は、店長含む管理職の女性社員は570人と男性社員より多いが、役員となると男性比率が高い。リーダーや管理者に求められる役割を女性が担いづらいイメージがまだまだ強いと思う。
2. 「ロンハーマン」。
ディレクターの根岸由香里さんはバイヤーとしての審美眼はもちろん、世界情勢や環境問題への行動力などの点で、多くの女性に影響を与えている。
3. ココ・シャネル
尾原蓉子/ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション創立者、名誉会長
1. 私が大学を卒業して旭化成に入社した60年前、あるいは男女雇用機会均等法が施行された1986年当時に比べたら、大幅に進歩している。かつてのように「女にはできない」と最初から決めつけられることは今はなくなっている。社長や取締役となるとまだまだ「女にはできない」とされるが、それが変わっていくのも時間の問題だろう。育休などの法制度は整ってきているが、アンコンシャスバイアスは上の世代にいけばいくほどまだ強い。女性は30歳過ぎに昇進や結婚・出産が一気にくる。大変でどれか1つに絞ってしまいがちだが、それを乗り越えれば裁量が広がってものすごく面白くなる。その面白さを、女性が30歳になる前までに経験させてあげてほしい。
2. アダストリア、ユニクロ、高島屋、大丸松坂屋百貨店、東京ソワール、丸井、資生堂など。
3. 何もないところからやってきたため、ロールモデルを意識したことはない。
クリスティン・エドマン/ZOZO執行役員ブランド営業本部EC推進本部ZOZOVILLA本部SDGs推進委員会副委員長
1. 30%
顧客の多くが女性であるファッション業界こそ、女性のエンパワメントを推進していくための重要な原動力になれるはず。女性のエンパワメントを加速させるために欠かせないものとして、2つの重要な要素があると考える。1つ目は、1人1人の女性が、自らをエンパワメントできると心の底から信じるゆるぎないマインドセット。この強い確信が、変化に対する意識を高め、しなやかな人生を送るための原動力になる。2つ目は、職種や業界などを問わず、人生のあらゆるシーンにおいて参考にできるロールモデル。彼女らの歩みを知ることで共感し、自らの可能性を見出すことができる。社会に変化をもたらすのは女性たち1人1人の強い想いであり、それが社会において変化を起こし続けることにつながるはずだ。
2. H&Mはファッション業界において、サステナビリティを早い段階から推進してきた企業の1つ。今もサステナブルなファッションの創造における変化をリードしている。私個人としても、女性管理職が70%以上を占めるH&Mでの勤務経験は、女性のさらなる活躍が可能であり、社会に大きな影響をもたらすと確信するきっかけになった。H&Mでのキャリアは、私の人生のターニングポイントの1つ。日本において私も変化を起こしていきたいという思いにつながった。
3. キャシー松井
中村寛子/フェルマータCCO、共同創業者
1. 50〜55%
日本のフェムテック業界は、スタートアップと大企業に大別される。スタートアップは女性が多いが、大企業はまだまだ試行錯誤段階。大企業におけるハードルの1つは「女性ではない人」からの理解が難しい点。女性活躍やLGBTQ推進などは自分と「違う」人への支援と思っている傾向もある。
2. 化粧品の「イヴ・サンローラン」は、タブーとされてもおかしくない女性への性暴力についてのプロジェクトを展開しているのが印象的。
3. メディアジーンの今田素子CEO、創業者
サリー楓/モデル
1. 5%
ようやく入り口に立ったと思う。トランスジェンダー当事者の視点を生かして(建築デザイナーとして)トイレの設計をすることも多く、トイレットペーパーと同じくらい生理用品が普及しているかを男女平等の物差しの1つにしている。全てのトイレに生理用品が備え付けられていないのはおかしいと思う。
2. 自分らしさの延長で、「男らしさ」や「女らしさ」を楽しむ時代が来てもいいと思う。「ミカゲシン」はジェンダーレスを次のステージに進めてくれるのではないかと期待している。
3. 接しているすべての方がロールモデル。