
ファッションの停滞が続く中、資産価値としての期待も高いジュエリーは堅調だ。そんな状況を反映するかのように、今夏のジュエリーブランドは歴史的なルースストーンを初めてジュエリーにセッティングしたり(とはいえ非売品)、億超えどころか10億円に迫る価格の“アルティメット・ハイジュエリー”を提案したり、発表点数を例年以上に増やしたりと意欲旺盛。例年以上にクリエイティブなジュエリーも豊作だ。新作発表するブランドも増え、パリ・オートクチュール・ファッション・ウイークはほとんど、パリ・ハイジュエリー・ウイークのような様相を呈している。今夏ハイジュエリー・コレクションを発表したブランドの代表作を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月20日号からの抜粋です)
「ブシュロン(BOUCHERON)」
5種の同型ネックレスで
人間の無数の個性を表現
アーカイブに着想を得る1月に対して、7月はクレール・ショワンヌ(Claire Choisne)=クリエイティブ・ディレクターが“白紙委任状”を得て、自由な発想のもとでクリエイションに挑む。今回は、5つの素材で同じ形状のネックレスとリングを制作することを通して、人間の無数の個性を表現した。モデルが着用する“レイン”ネックレスは、滴型の空洞を開けたロッククリスタルを型として、その中に植物由来のレジンを何層にも重ねて流し込みながら、ダイヤモンドを1石ずつ配置。微粒子や気泡の混入を防ぐべく、真空の空間で4800石以上のダイヤモンドをセットした。スモーキークオーツを掘り込んだり、ピンククオーツに花柄を描いたりの後、ダイヤモンドをセットしたタイプも。
「シャネル(CHANEL)」
カメリアや星、ライオンなど
メゾンに息づくシンボルを多用
カメリアや星、太陽、ライオンなど、マドモアゼル・シャネルの世界に息づくシンボルを85のハイジュエリー・コレクションへと昇華した。シンボルをパターンとして繰り返し並べた左右対称のネックレスの先端には、20.66カラットのオクタゴンカットのブルーサファイヤをセット。2012年以降、「シャネル」のハイジュエリーを象徴するライオンは、ダイヤモンドをちりばめた顔の周囲のたてがみを色石が鮮やかに彩り、威厳を放つ。
「ブチェラッティ(BUCCELLATI)」
ルネサンスの芸術や文化と
ニードルレースのデザインを融合
芸術や文化が輝いたベネチア共和国に思いをはせた“セレニッシマ”コレクションは、ルネサンスの時代とレース作りの伝統を融合。初代のマリオ・ブチェラッティ(Mario Buccellati)が魅了されたニードルレースのデザイン様式を金細工職人が手鋸(のこぎり)を駆使して追求した。特殊なノミで多方向からの彫刻を重ねる「モデラート」技法により、花や葉などにリアルな立体感と躍動感をプラス。鑽(たがね)を用いて地金に細かな線を掘り込み、光を反射させることでシルクのような輝きを生み出す。
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