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世界一に並んだ「35期連続増収増益」のニトリ会長が決算で語ったこと

 ニトリホールディングスは2022年2月期決算で、35期連続の増収増益を達成した。上場後だと32期連続となり、世界最大の小売企業であるウォルマートの記録に並んだ。売上高は8115億円(前期比13.2%増)、経常利益は1418億円(同2.5%増)、経常利益率は17.5%。期末店舗数はニトリグループ全体で79店舗増加し、801店舗になった(うち、国内708店舗、海外93店舗)。ちなみに、30年前の1992年2月期は、売上高175億円、経常利益12億円、経常利益率は6.9%、期末店舗数は21だった。

 3月31日に行った決算会見で、白井俊之・社長兼最高執行責任者(COO)は「創業期からさまざまなチャレンジを行い、『製造物流IT小売業』というビジネスモデルを生み出したことでこのような結果を得ることができた。引き続きより多くのお客さまに豊かな暮らしを提供していけるよう取り組んでいく」と語った。

 似鳥昭雄・会長兼最高経営責任者(CEO)は「正直言って、こんなに続くとは思わなかった。運が良かった。もうダメかなと思ったら為替が円高になったりみたいなことが何回かあった。世界では(米国の)ウォルマートが上場して32年連続していて世界一で、(ニトリは)第2位の(ドラッグストアチェーンの米国)ウォルグリーンと同率だった。今回の決算で上場後でも32期連続増収増益ウォルマートに並んで世界一になった。ここまでこれたのはみなさんや社員、株主のみなさんのおかげだと深く感謝している。できれば単独で1位になり、その後も続けたいという考えを社員一同持っている。そのためにはどうするかに取り組んでいる」とコメント。

 今後、増収増益を続けるために一番大事にしている事業はとの問いに対して、「(昨年買収した)島忠の件もあるし、チャンスがあればM&Aをしていきたい。単独での取り組みには限界がある。時間を短くしていく、時間を買っていくということなら大いに結構だと思う。具体的にどこにどうやってということはちょっと言えない」と、いくつか案件が進んでいるかのような含みを持たせた。

 また、目指す姿として「総合住関連の企業になりたいなと(思っている)。ヤマダ電機が建築から家具、インテリアを含めて、住関連提案企業としているが、僕はそういうやり方も正しいと思う。我が社はホームファニシングとホームセンターの方から、家電も(強化していく)」と宣言。家電はニトリだけでなく島忠も含めて、家電専門店をテナントとして導入する一方で、自社の家電製品も拡充していく考え。

 「トータルコーディネートの大人服」と謳うアパレル専門店の「N+(エヌプラス)」は、2022年2月期末で18店舗になった。「現在、20店舗になっており、今年中に40店舗になる。50店舗になると黒字になると思う。コーディネートの提案は年々良くなっていて、今年の春も良くなっている。点数でいうとようやく50点。60点まではいかないが半分ぐらいまでいった。(コロナが終息したら)早くアメリカやヨーロッパにいって勉強して追いつきたい。日本には(カラーを軸に)コーディネートしている30~50代のファッション(ブランド・ストア)は1社もないのが現実。それをぜひ実現したい。私が今一番、というか、かなり力を入れている。今月もデザイナーを2人新しく採用した」と説明。似鳥会長が掲げていた200店舗体制に向けて態勢を強化する。

 ただし、ニトリ事業の売り上げは前々期比では5.8%増ながらも、前期比では5.3%減とマイナスに。経常利益も前々期比では26.5%増だが、前期比では0.1%増と伸び悩んだ。理由の一つは、前年の巣ごもり消費の反動減が予想以上だったこと。2つ目は、コロナ禍やコンテナ不足、物流の混乱などでASEANや中国からの商品調達が遅れ欠品が発生したこと。3つ目は、海外に出張できない分、生活者の変化に合わせた商品開発が少なくなっていることを挙げた。「今後は、商品開発部隊の主力15~20人を産地に送り込む。家電の人数も増えており、今は30人ぐらい。日本にはない商品をどんどん開発し、アイリスオーヤマみたいな商品開発を進めていきたい」と似鳥会長。

 アプリ会員数は当初目標の1300万人を達成し、1314万人となった。今期は1600万人を目指す。通販事業は、巣ごもり需要のあった前期をさらに大きく上回り、710億円に達した。リアルタイムのコミュニケーションが可能なインスタライブも開始。「継続的な関係性の構築と、買い物利便性の向上に努めていく」と白井社長。

 なお、原材料高や物流費の高騰などが続いているが、原価低減策として、原材料の自社買い付けや、カーテンやカーペットなど、自社工場での生産を本格化。前期に全社の購買部門を統合して購買コントロールを開始。共同買付け、効率化、外注から内製化への変更や、施策のゼロベースでの見直しなどを進めており、今期さらに効果を発揮するとみる。物流関連では川崎ディストリビューションセンター(DC)と五霞DCへのコンテナ輸送を開始。自社で車両を保有して、港から各物流拠点までの輸送効率を向上させコストを削減。国内物流拠点の再構築の一環として、名古屋DCや幸手DCの新設に着手した。

 2023年3月期には、5つの主要施策に取り組む。ひとつ目は「安さを追求し、客数を増やす。デスティネーションストアとして、お客さまのさらなる支持を得る」。2つ目が2032年ビジョン実現に向けて、基盤構築と成長を加速。グローバルサプライチェーンとITシステムの構築、未出店の国や地域へ出店を加速する。3つ目が島忠のホームセンター事業で「既存事業より幅広い品ぞろえを実現するとともに、シナジー効果を最大化する」。4つ目が「国・地域や事業領域の拡大を可能にする基盤構築」で、海外で、今期は41店舗を新規出店し、2025年度に280店舗とすることを目標に掲げる。そして5つ目が「ロマン実現に向けた歩みとともに、世の中の課題を解決し、より良い未来を目指す」で、「一気通貫のビジネスモデルを生かし、環境・社会・ガバナンスなどあらゆる段階で改善、改革を実行し、本質的なサステナビリティ経営を推進していく」と白井社長。

 なお、決算期を2月20日締めから、3月31日締めに変更。2023年3月期は13カ月の変則決算となるが、売上高9636億円(前期比18.6%増)、経常利益1530億円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1040億円(同7.5%)を予定する。出店は国内100店舗、海外41店舗で、期末店舗数は942店舗を予定する。前提条件として、既存店は前期比2.6%増、設備投資890億円を見込む。為替レートは9月まで114円90銭で為替予約しており、年間予想レートは115円としている。

 4月1日にはIT新会社ニトリデジタルベースを設立し、グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)をさらに加速させ、グローバル、かつ、大規模に、革新、イノベーションを目指す。東京・目黒にオープンする新店の上層階に拠点を置き、創造的な活動に集中できる働き方や、リモートワークなどを導入する。業界の垣根を超え、IT、デジタル人材、データサイエンティストを採用する。

 別会社化し、似鳥会長が自ら会長を兼務する。「情報関係は人材の取り合いだ。従来のニトリの賃金体系ではなかなか対応できない。また、うちの人間が逆にスカウトされてしまう。賃金体系も就業規則もすべて別にしなければならない。(ニトリの)初任給は今年、大卒で25万円だが、それを上回るものを提示する。フロアの雰囲気もコンテンポラリーに現代風にして、うちだったら始末書ものだが、ジーパンもTシャツもヒゲもなんでもOKにする。場所もいいところなので人も集まりやすく、採用もしやすい。(ニトリでは難しいが)、社長、役員なども目指せるなど、夢と希望が持てる」と説明。

 さらに、「ニトリのシステムは前例がない。原料を調達し、商社機能も、物流も海運も、海外もやっている。ありとあらゆる世界の一流のシステムに(開発を)お願して、結局できずに損をして、止めた経緯がある。自分たちで作るしかない。(そのシステムやノウハウなどを外部に)販売することができる。成功したらすごいこと。価値があると思う。別会社にすることでそういう集団を作ることができる。将来、500~1000人規模になり、手狭になって別のところに移っていくようなこともあるかも」と意気込む。

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