ファッション
連載 コレクション日記

「リック・オウエンス」で大量のスモークといい香りに包まれる 2022−23年秋冬パリコレ現地リポートvol.2

 ボンジュール!怒涛の取材を続けていたら、あっという間にパリコレも終了してしまいましたが、まだまだ現地リポートは続きます!今回お届けするのは、4日目の3月3日、ひな祭りです。パリに来ている友人の誕生日ディナーを楽しみにしつつ、取材に励みます!

CHLOE

 「クロエ(CHLOE)」の会場は、パリ南部のアンド・シトロエン公園にあるガラス張りの大きな温室。砂が敷きつめられた空間は自然を感じさせ、キャンプなどでアウトドア用の折りたたみ椅子が並んでいます。

 今季のキー素材は、ナッパレザー。ファーストルックのバイカートレンチコートから、コルセットディテールのシャツ、ミディドレスの数々、シガレットパンツ、スカラップラッフルをあしらったコートなど、多くのアイテムに用いられています。それらに、1年前に披露したパファーパーツ付きのニットポンチョ“パフチョ”のアップデート版をはじめ、ニットのロングドレスやセット、ハンサムなテーラリング、シアリングのように仕上げたカシミア製のコートやロングベストなど、ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)らしい提案をミックスしました。

 コレクションのタイトルは“リワイルディング(再野生化)”だったのですが、それをインターシャニットやハンドペイントのバッグで視覚的に表現。表には森林火災や溶けゆく氷河といった地球温暖化による悲劇的な風景を、裏には生命力や画期を取り戻した風景を描いています。着るか、持つかどうかは別として、活動家的な一面を持つガブリエラの強いメッセージを感じます。

 今季の招待状と共に届いたのは、天然石のペーパーウェイト。レッドジャスパーやロードライトなどの石は、スカートのウエストやクラッチバッグなどにも施されて、どこか、スピリチュアルなムードを漂わせています。

RICK OWENS

 「リック・オウエンス(RICK OWENS)」の会場に入ると、何やらいい香り。実はこれ、「イソップ(AESOP)」とコラボレーションしたフレングランスやキャンドルの香りだそう。パワフルな「リック・オウエンス」のコレクションは着こなすハードルがなかなか高いですが、「チャンピオン(CHAMPION)」や「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」「コンバース(CONVERSE)」などのコラボレーションを通して、その世界観を広げている点に感心します。それにしても、今回の「イソップ」は意外でした!

 ショーは、霧のようなスモークがランウエイを包み込みスタート。次第にスモークが濃くなり、中には、ポータブルのスモークマシンを持ったモデルもいます。ルックが煙に包まれ隠れるし、ピントを合わせづらく、何ともフォトグラファー泣かせの演出。実際、ショー中に何度かフォトグラファーからの叫び声が聞こえました。客席から撮った写真も結構ピンボケでした(笑)。

 ただ、この幻想的な演出は、結果的に今季のコレクションの魅力を高めています。提案するのは、体を包み込むウールコートやマント、肩の尖ったレザージャケット、ボリュームのあるパファーベストなどに、フィッシュテールのロングドレスやスーパープラットフォームのブーツサンダルを合わせたスタイルが中心。一目で「リック・オウエンス」と分かるスタイルでありながら、いつもよりもエレガントでしっとりとしたムードが漂います。BGMに使われたグスタフ・マーラー(Gustav Mahler)による「交響曲第5番」も、そんなムードにぴったり。すべてのルックがきちんと見えずとも、その美しさが存分に伝わってくるコレクションに、大満足で会場を後にしました。

おまけ:今日のワンコ

 今日はあんまりワンちゃん見かけないな〜と思っていたら、「クロエ」のショーに向かう途中でランチを食べている時に目の前にいました。ジャーナリストのマスイユウさんが着ていたフーディーにプリントされた、スヤスヤ眠る犬とその上に乗っかる猫です。今日はこれでご勘弁を!


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登壇者:向 千鶴/WWDJAPAN編集統括 兼 サステナビリティ・ディレクター
藪野 淳/WWDJAPAN欧州通信員
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