ファッション

「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「クロエ(CHLOE)」は、社会的影響の測定ツール「ソーシャルパフォーマンス&レバレッジ(Social Performance & Leverage、以下SP&L)」の開発に取り組む。2023年を目処に最終版をオープンソース化する予定だ。労働環境に関する具体的なデータを業界全体に提供し、各ブランドの素材調達や商品デザインの意思決定時に活用してもらう狙い。

 オード・ヴェルニ(Aude Vergne)=「クロエ」チーフ・サステナビリティ・オフィサーは米「WWD」の取材に対し、「ファッション業界が環境に与える影響は大きく、多くの企業がその課題に取り組んでいる。一方で、社会的な影響については後回しにしがちだ。しかし、世界の8人に1人がファッションおよびアパレル産業に従事しており、間違いなく重要なトピックである」と話す。

 「クロエ」は、フランス・モード研究所(Institut Francais de la Mode)とフランス国立工芸院(France’s Conservatoire National des Arts et Metiers)と共同で1年半前に「SP&L」の開発に着手した。環境損益計算(EP&L)と同様の設計で、ジェンダー平等、生活賃金、ダイバーシティー&インクルージョン、職業訓練、福祉、仕事の質の6つの指標で構成し、サプライチェーン全体で測定する。

 「クロエ」は昨年Bコープ認証を取得。また1年半前にサステナビリティ戦略を見直し、「より公平な未来のための、女性の前進(Women Forward. For a Fairer Future)」をミッションに掲げ、女性主導のフェアトレード企業へのシフトを進めている。

 例えば、ユニセフとは2019年に3年間のパートナーシップを結び、少女たちへの職業訓練の提供を目的としたプログラム「ガール フォーワード(Girls Forward)」に取り組む。「クロエ」と約15年間の付き合いがあるマダガスカル拠点のフェアトレード団体のアカンジョ(Akanjo)は昨年学校を設立し、地元の女性たちにクロシェ編みなどの職人技を教えた。「クロエ」2022年春夏コレクションでは、いくつかのルックで彼女たちの技術を採用した。

 ヴェルニ=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「すでにコンプライアンスに関する厳格なシステムはあるが、こうしたポジティブな社会的影響を測定するツールがなかったので、自分たちで作ることを決めた。プロジェクトをはじめて以来、サプライヤーとのコミュニケーションの取り方が変化し、社内の意識向上に貢献している」という。

 現在、同ツールはコンサルティング企業のプライスウォーターハウスクーパース(PRICEWATERHOUSECOOPERS)による検証段階で、今後業界全体で試験的に導入される予定だ。ヴェルニ=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「すでにいくつかのメゾンが興味を持っており、6〜8社と協力して改良を重ねていく」という。

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