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仕事や趣味に没頭する“離れ”としてのシェアオフィスが急増 ウィズコロナで進化する幸せ産業

 2022年が始まってから早くも1ヵ月が経過。今年のテーマは?野望は?と、仲間同士で飲みながら抱負を語るのが常だったが、この1月はそんな機会もなかった。ただ最近の傾向として、郊外と2拠点生活を続ける人や、自宅環境を整える人が増えている。リモートワークが定着し、趣味や仕事に没頭できる“離れ”をみな求めているのだ。

 という私も自宅ではなかなか作業が進まないタイプ。フリーランス歴は20年以上になるが、カフェで作業することも多く、根を詰めたいときは時間貸しのシェアオフィスにこもる。都心にはコピー機や資料がそろった、カフェとシェアオフィスを兼ねたような施設も増えている。

 モダンリビング編集部が発行しているインテリア誌「MLW」で木造SE構法の住宅を140軒以上取材してきたが、コロナ禍以降は書斎、アトリエや音楽室など趣味のスペースを望む声が目立った。それぞれの時間を過ごせる個室やコーナーは、豊かなおうち時間を過ごすための条件となった。

 とはいえ、そんな場所を今から簡単には増設できない。私のように、自宅と切り離した場所のほうが気分転換できるという人も多いだろう。それゆえ“離れ”となるシェアオフィスの需要が高まっているのだ。特に“ユニークな”オフィス空間が!

下北沢駅直結の複合施設をみんなのラウンジに

 2022年1月に開業したばかりのラウンジ複合施設「テフラウンジ(tefu)lounge」は自由度が高い。下北沢駅の南西改札口直結という最高のロケーションに加え、カルチャーの街、下北沢らしく、シェアオフィス以外にミニシアターやショップ、カフェなどを併設。必要な時に必要なだけ、というこれからのワークスタイルを考慮して、コンパクトな専有空間と、ゆったりとした共有空間を組み合わせた作りだ。

 例えば、フリーランスや個人事業主向けには個室の「ブース(booth)」、企業向けには広さの異なる「ルーム(room)」を設定。ミーティングができる会議室やキッチン、イベント用スタジオを必要に応じて利用できる。木製の家具でコーディネートされた共有スペースのラウンジは、広々としていて、目にも優しい。開放的なテラスもあり、シェアオフィスにありがちな閉塞感とは無縁の心地よさだ。共有ラウンジは仕切りがない空間だが、フロアに段差をつけ、それぞれのデスクから視線が重ならないように設計されているという。ラウンジ内にはオンライン会議に適した「ウェブ ミーティング ルーム」もある。

 月契約せずにラウンジ利用という選択肢もある。この場合、カフェ席や1名用の個室ブース、シェアオフィスの共有ラウンジを自由に使える。1時間750円で、9時から21時までの1日だと2500円、1カ月の場合は4万円というように、頻度や気分に合わせて選べる。しかも滞在中はドリンクが飲み放題。専用アプリでドリンクやフードのオーダーや支払い、空席状況を踏まえたスペース予約もでき無駄がない。

 「テフラウンジ」は小田急電鉄が推進する下北線路街プロジェクトの一環であり、東北沢駅から世田谷代田駅の約1.7キロの線路跡地での再開発事業。イベントスペース「空き地」や同じくシェアオフィスを併設した「ボーナストラック(BONUS TRACK)」など、ユニークな施設が次々開業している。商業施設だけでなく、保育園や学生寮、教育施設、温泉旅館やホテルも含まれ、地域全体が活気づいている。そんな芽吹く街に身を置くだけで、刺激を受け、創造力は高まるだろう。

コンテナハウスを活用すれば起業や開業も夢じゃない

 西武線沿線にはこんな物件もある。コンテナハウスそのものが“離れ”になる「エミキューブ(Emi Cube)」だ。コンテナを一棟まるごと賃貸で借りることも、ビジターとして時間単位で利用することも可能。9.9平方メートルのコンテナには、トイレやエアコン、洗面台、シェードが標準装備されており、内装を自由に変更できるのが特徴だ。オフィスはもちろん、趣味のアトリエやプライベートカフェ、さらには看板を置き、サロンやショップとして開業することもできる。この時期だからこそ、地域に根差した、あるいはオンラインで世界につながるスモールビジネスに挑戦してみるのもいい。

 賃料月額は7万円~、時間貸しの場合はインスタベースのアプリより予約でき、1時間550円~。現在は西武池袋線武蔵関駅と、西武池袋線桜台駅にあり、今後も西武線沿線の高架下などの休遊地を活用しながら各地に展開予定だという。

いっそ日本橋のオフィスビルに住み込むという選択肢も

 仕事と暮らし、そして学びをシームレスにリンクさせ、1日を30時間に拡張するような効率化をねらったのが日本橋のレトロビルをリノベーションした「ソーホーサーティー(SOHO30)」だ。住居を兼ねたSOHOスタイルのオフィスで、デスクやソファなどの家具がすでにコーディネートされているのが特徴。デスクとベッドだけのコンパクトなタイプから、オフィスと居住空間を分け、ミーティングスペースもあるタイプまで、全67部屋から用途に合わせて選べる。顔認証のオートロックでセキュリティー面も安心。設備の整ったマンションと長期滞在用ホテルを兼ね備えた施設なのだ。デュアルライフの東京での拠点にしてもいいだろう。

 1階には、おむすびやお惣菜と、世界各国の郷土料理を展開するカフェラウンジ「おむすびとせかいのごはん」が入る。ここは近隣の人にも開放された憩いの場としてテイクアウトも充実し、居住者へのルームサービスも可能だという。

 そして、本格的なマシンがそろうジムも完備。施設内なので外出もおっくうにならず、トレーニングを習慣にできる。キッチンスタジオにもなる多目的ルーム、ミーティングルームなどもあり、1階にはコピー機も設置。「ソーホーサーティー」を拠点に快適な作業環境が広がりそうだ。

 またほかのシェアオフィスと異なるのは、「学び」を重視している点だ。1階にはインターナショナルアカデミー、レッジョ デザイン(REGGIO DESIGN)を開校し、多国籍なスタッフによる語学や料理、文化を学ぶクラスを開講予定。子供から大人まで、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが学び、成長できるコミュニティーを目指している。

究極の“離れ”は家具職人によるミニマムな小屋

 私の夢の“離れ”は、家具職人が施工する延べ10.8平方メートルのコンパクトハウス「ネスト(NEST)」だ。北海道旭川に本社がある北の住まい設計社が昨秋にリリースした商品で、庭などの空きスペースに在宅ワーク用の空間などを設置することを想定している。

 延べ10.8平方メートルの平屋にはベッド、洗面台、デスクと棚、トイレ、シャワールームを標準としている。床材は道産ナラ、外壁材には道産スギを使用。家具職人の技術により、0.1ミリメートルd単位で調整する端正な仕上げで、手仕事ならではのカスタマイズも可能だ。中でも、備え付けのウッドスプリングベッドが素晴らしい。スノコ状の無垢材の板を並べ、適度にしなり、通気性もよく、心地よいのだ。確かにリモートワークには元気をチャージするための昼寝は必要……というか、ここに永住したくなる!

 北海道の家具会社ならではの発想で、トリプルガラスのサッシなど断熱・気密・防露性は抜群。“小さな小屋=夏は暑く、冬は寒い”という心配も不要だ。

 そしてなんとコンテナで運搬でき、現地でも組み立てるというから、もはや大きな家具と考えてもいい。近い将来、冬はスキー、夏はサーフィンなど季節によるライフスタイルに合わせて、家ごと移動することも可能になるのではないだろうか。

 2022年は働き方を見直す年——私はそう思っている。より快適に、より効率的に、そしてより自分が機嫌よく過ごせる作業環境や仕事との向き合い方を探りたい。

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