ファッション

H&M、21年は6%増収と回復基調 コロナ禍前には届かず

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)の2021年11月通期決算は、売上高が前期比6.3%増の1989億6700万スウェーデンクローナ(約2兆3876億円)、営業利益は5倍近く(同392.2%増)の152億5500万スウェーデンクローナ(約1830億円)、純利益は9倍近く(同785.7%増)の110億1000万スウェーデンクローナ(約1321億円)だった。

 19年の業績が売上高2327億5500万スウェーデンクローナ(約2兆7930億円)、営業利益173億4600万スウェーデンクローナ(約2081億円)、純利益134億4300万スウェーデンクローナ(約1613億円)だったことを踏まえると、まだコロナ禍以前のレベルには戻っていないものの、順調に回復基調にあるといえるだろう。

 地域別に見ると、アジア・オセアニアの売上高が同7.9%減の263億400万スウェーデンクローナ(約3156億円)、欧州・アフリカは同3.1%増の1324億3400万スウェーデンクローナ(約1兆5892億円)、南北アメリカは同34.0%増の402億2900万スウェーデンクローナ(約4827億円)だった。ECも順調で、売上高は同24%増となり、売り上げ全体の32%を占めている。

 ヘレナ・ヘルマーソン(Helena Helmersson)最高経営責任者(CEO)は、「難局に直面したものの、業績は力強く回復しており、収益性はコロナ禍以前よりも良くなっている。財政基盤も強固であり、今後は再び成長戦略に注力していく」と語った。同社によれば、定価販売を増やす努力が奏功したことも業績回復の一因だという。

 21年11月末時点での店舗数はグループ全体で4801店と、前年同期の5018店から217店減少している。ヘルマーソンCEOによれば、22年度は欧州を中心に120店を閉める予定だが、これは「欧州以外の地域にも大きな事業機会がある」ためだと説明した。

 ファッション業界は、コロナ禍の影響による生産工場や物流施設の閉鎖などにも苦しめられたが、「最悪の状態からは脱したと思う」と同氏。「サプライチェーンの多様化は極めて重要だ。今後さらに柔軟に対応できるよう、いっそうの多様化を進める」。

 同社はまた、22年度におよそ100億スウェーデンクローナ(約1200億円)と昨年度の2倍の資本的支出(設備投資)をすると発表。主要ブランドである「H&M」やその他のブランドへの投資を中心に、サステナブルな素材開発や再生可能エネルギーへの移行にも30億スウェーデンクローナ(約360億円)程度を使用するという。

 ヘルマーソンCEOは、「世界中の顧客が(衣類を購入する際に)サステナブルな選択ができるようにしつつ、“プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)”を侵害せずに成長したいと考えている。30年までに売り上げを倍にすると同時に、二酸化炭素排出量を半分にすることが目標だ」と述べた。

 同社は循環型経済を推進する一環として、リセール市場にも参入している。15年には地元スウェーデンのリセールプラットフォーム、セルピー(SELLPY)の少数株主となっており、19年には1300万ドル(約14億円)を投じて持ち分を70%程度まで増加。19年4月には傘下の「アンド アザー ストーリーズ(& OTHER STORIES)」がセルピーと提携して自社ブランドの中古品販売に乗り出している。

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