ファッション

非接触で“エデュケーショナル”なグランピングが人気 ウィズコロナで進化する幸せ産業

 密を避け、大自然の中でゆったり過ごす豊かさが見直され、空前のキャンプブームが起こっている。車に宿泊するオートキャンプや自分と向き合うソロキャンプなど、スタイルも多種多様だ。外出を控えている今、自宅のベランダでアウトドア気分を満喫する“ベランピング”なる言葉も生まれた。手ぶらで、気軽に、グラマラスにキャンプを楽しむグランピングもすっかり定着し、全国各地に屋外でBBQが楽しめて、快適に宿泊できるグランピング施設がオープン。中には、ウィズコロナ時代に適応したユニークなスタイルも登場している。

完全な非接触を実現 全棟から浅間山が望める「あさま空山望」

 群馬県北軽井沢に4月26日にグランドオープンした「あさま空山望」は、外部から遮断されたヴィラリゾート。北軽井沢は、長野県軽井沢町の中心地からさらに標高が高く、大自然に囲まれた静かなエリアだ。6万平方メートル以上の広大な敷地にスパ・ダイニング棟やラウンジ棟を除く16棟のヴィラが点在し、隣の棟の音が気にならないほどディスタンスが保たれている。

 チェックインも非接触。事前に知らされた暗証番号で開錠し、室内にある端末で到着を伝えればOK。レセプションには人はおらず、フロントとして予定していた棟は、宿泊者が自由に寛げるラウンジとなっている。無人とはいえ、設備の使用方法などは端末から解説され、必要な場合はスタッフが対応してくれるので安心だ。要するに、望まない限りは完全な非接触。タオルや歯ブラシなどのアメニティセットはビニールで密閉された状態で提供され、食事も各ヴィラの広々としたテラスでのBBQ。朝食はスパ・ダイニング棟だが、ごはんもロボットが盛り付けてくれる徹底ぶりだ。

 棟の種類は、ポラリス、シリウス、カシオペアの3タイプ。デザイナーのコシノジュンコが監修した、シンプルでシックなデザインだ。全ての棟から浅間山が望め、全室キッチンと和室付き。テラスにはゆったりとしたアウトドアリビングもある。1棟1泊18万円(定員8名で利用の場合)のポラリスに至っては、ジャグジーやサウナ、プライベートシアターも完備。

 ヴィラの天井には、東京ドームにも採用されている丈夫なテント生地を採用。太陽の光を透過するので、朝日に包まれながら心地よく目覚めることができる。和室とベッドルーム以外は全棟ドッグフレンドリーで、ポラリスには専用のドッグランが併設された棟もある。自分の別荘で滞在するように、家族や仲間だけで過ごせる“非接触型グランピング”だ。

駅から徒歩数分 アクセス抜群の「スノーピーク ランドステーション京都嵐山」

 グランピングでもうひとつ重要なキーワードは、アクセスのよさだろう。キャンプというと、車でしかたどり着けない山深い地をイメージするが、最近では電車で気軽に行ける立地のグランピング施設も増えている。2020年開業の「スノーピーク ランドステーション京都嵐山(Snow Peak LAND STATION KYOTO ARASHIYAMA)」にいたっては、まさに駅前。嵐電嵯峨駅から徒歩1分、JR嵯峨嵐山からも徒歩3分だ。築100年の日本建築を生かしたショップや、カフェの奥にある庭には、建築家の隈研吾と共同開発したモバイルハウス「住箱―JYUBAKO―」が3棟並び、宿泊も可能だ。大型のシェルターやタープをはじめ、「スノーピーク」のアイテムを実際に使ってアウトドア体験ができる。

 白馬や三浦海岸にあるスノーピークの施設でも住箱の宿泊プランはあるが、嵐山では京の町家をイメージした黒塗りの外装に、京畳を敷き、白和紙張りの壁に。中川竹材店の竹籠や和傘屋辻倉の蛇目傘、開花堂の茶筒など、京都の伝統工芸とアウトドアの融合はユニークだ。無料で貸し出している「スノーピーク」の“アウトドア キモノ(OUTDOOR KIMONO)”を装っての嵐山散策も楽しい。夕暮れ時や早朝など、行動時間をずらせば、絶景を独り占めできるだろう。

 ちなみにこの住箱そのものが商品となっており、購入して自宅の敷地内に設置すれば日常的にキャンプ生活ができる。いつでも行けるアクセサブルなアウトドアは、まさに究極の「アクセス重視型グランピング」と言えるだろう。

公園活用の新形態 真の豊かさに触れる「スモール プラネット キャンプ&グリル」

 そして、今後グランピングにも欠かせないコンセプトが“エデュケーショナル”だ。稲毛海浜公園内に4月22日にオープンした「スモール プラネット キャンプ&グリル(small planet CAMP&GRILL)」は、真の豊かさとは何かを考え、サステナブルの本質を学ぶことを目的としたグランピング施設。公園の緑豊かな環境をできるかぎり生かしたランドスケープや、虫が生活できるように石を積み上げただけの看板の柱など、サステナブルな視点で設計された。人間も、植物も、鳥も、虫も生命全てが快適に過ごせる公園を目指す。

 ごみを出さないアウトドアも課題のひとつだ。残った食材はごみとして廃棄せず、食後に自分でコンポストへ運び、堆肥土にする。千葉の海や山、里で育まれた旬の食材を使ったBBQは、地産地消ならぬ、“千”葉の“千産千消千巡”のBBQだ。さらに、動物性の食材を使用しないヴィーガン対応のBBQも提案。地場野菜のグリル&ローストやワカモレ、ソイミートのから揚げ、炊き込みご飯などのコースで、デザートもバターではなくココナッツオイルを使用している。

 エシカルな暮らしの追求はともすればストイックになりがちだが、「スモール プラネット キャンプ&グリル」では、スタイリッシュな空間でサステナブル(循環、持続可能)なライフスタイルを体感できる。食事はフレンチの技法を取り入れたアウトドアメニューを、洗練されたテーブルセッティングの森の中のダイニングで味わう。プロジェクターも完備したラグジュアリーなテントでの宿泊を夕・朝食込みで1泊1万7600円から体験できるのもうれしい。

 今後、稲毛海浜公園は海上へせり出したウッドデッキの建築や、市民プールをレトロモダンにリブランドするなど、コミュニティー開発にさらに注力する予定だ。本来の価値を生かしつつ、サステナブルに発展させる試みは、全国各地にある公園活用の指標となるだろう。

「リソルの森」のウェルネス合宿で、健康的な日常へとシフト

 同じく千葉県で“千”葉の“千産千消千巡”によるヘルシーな食事を提供しているのが、「スポーツ&ドゥ リゾート(Sport & Do Resort) リソルの森」だ。同施設では、通常の滞在プラン以外に、豊かな食や専門家によるセッションを通じてウェルネスな生活を学ぶ3泊4日のウェルネスリトリートプログラム「森のサーカディアンリズム」も展開している。東京ドーム70個分に相当する広大な敷地には、ラグビーやサッカーなどのグランドやテニスコート、アーチェリー場やプール、ゴルフコースまであり、クリニックも併設。オリンピック選手も合宿に集うというMTC(メディカルトレーニングセンター)には、多目的体育館や室内プールも。森に囲まれた絶好の環境の中で心身を整えることができる。

 4日間の滞在は、グランピングでありながらまるでウェルネス合宿。まずは体成分分析装置InBody470を用いた体組織の分析や、筋力、バランス力をチェックしてカウンセリングを行う。その後、各自の健康状態や目的に合わせたトレーニングメニューを組む。1日に3時間以上のエクササイズのセッションがあり、森の中でのウォーキングやサイクリングなどを楽しむとともに、プログラム終了後も自宅で継続できるエクササイズもレクチャーしてくれる。

 地元の食材を生かしたヘルシーなメニューは、1日あたり2300キロカロリー前後。新鮮なハーブサラダと豆乳のポトフなど、朝ごはんからしっかりいただく。プログラムの料金は、13万7850円(税込/1室2名利用の場合)。3泊4日分の食事と、カウンセリングや座学、スポーツメニューなど920分のプログラム、アロマトリートメント60分が含まれる。宿泊は、アウトドアリビング付きのテラスハウスか、16階建ての「ホテルトリニティ書斎」内のモダンスイートなど、好みの部屋タイプを選択可能。森の中で心と体をリセットし、より健康的な日常へとシフトしていくためのキャンプだ。

 ラグジュアリーなだけではなく、安心安全を約束する“非接触”、移動のロスとリスクを防げる気軽な“アクセサブル”、サステナブルやウェルネスな生き方へと導く“エデュケーショナル”の3つがキーワードとなる最新のグランピング施設。自然や静寂に囲まれた豊かな時間を求めて、この夏はさらに注目が集まりそうだ。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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