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ウィズコロナで進化する幸せ産業 アウトドア編 手ぶらで来ても大丈夫!白馬で誰でもアウトドア

 大自然の中でのんびりと――それが真の贅沢になった今、アウトドアも多様化した。例えばグランピング。身一つで出かけても、テントも食事も全てセッティングしてくれ、グラマラスにキャンプを楽しめるアウトドアリゾートだ。グランピングという言葉が定着した今、全国各地にラグジュアリーなグランピング施設がオープンしている。

  一人で自然と向き合うソロキャンプもこの夏は話題になった。ネガティブな自虐ネタでブレイクした芸人ヒロシはたった一人で山にこもるソロキャンプの第一人者となり、自分の山まで購入したという。私が一番驚いたのが、ヴィクトリア系列のアウトドア専門店「エルブレス(L-BREATH)」の店内放送でソロキャンプを勧めていたことだ。一部の変わり者の酔狂な“修行”だったソロキャンプは、ちょっと哲学的な“趣味”へと進化した。

 自粛期間中は外の空気を求めて、庭やベランダなど自宅でアウトドアを楽しむベランピングも流行ったという。かくいう私も、この夏はインテリア誌の撮影用に購入した折り畳みチェアを置き、朝夕はキャンプ気分で猛暑をしのいだ。やっぱり自然の風に勝るものなし!ベランダで飲むビールは最高だ。朝のコーヒーも一味違う。そんなより身近になったアウトドアを、テントもギアもウエアも持たずに、身一つで満喫できるスポットが白馬にできたという。しかも車がなくても大丈夫。バーベキューもテント設営もいつも人任せだった私が、より進化したアウトドアを体験してきた。

手ぶらで行くというメリットを生かしバスや自転車やゴンドラで身軽に動く

 東京から長野県白馬村はかなり遠い。軽井沢あたりまでは日帰り圏内だが、日本海にも近いこのあたりは気軽には行けない。それでも特急あずさなら新宿から1本で白馬駅に。また北陸新幹線の長野駅からはバスでも1時間程度で着く。長距離バスで新宿から白馬の各キャンプ地に直行という選択肢もある。つまり電車やバスを使えば、現地まではラクにたどり着く。移動中には飲むのも眠るのも自由だ。

 さて、ご存じの通りアウトドアとは大自然の中で楽しむもの。現地に着いてからが問題だ。ところが白馬はスキーゲレンデを生かしているので、登山未経験者でもゴンドラやリフトで一気に山頂近くまで連れていってくれる。そこからのトレッキングなら初心者でも無理なく歩け、最近はSNSで発信したくなる“映えスポット”も次々とオープンしている。

 例えば白馬八方尾根ゲレンデの中腹にあるうさぎ平テラス。去年オープンした「白馬マウンテンビーチ(HAKUBA MOUNTAIN BEACH)」は山の上のビーチリゾートだ。白馬村を見渡すスタイリッシュなデッキがあり、ハンモックに揺られながらリフレッシュ。なんとジャクジーや、ゴンドラを再利用したサウナも!さらにリフトを乗り継げば標高2060mの神秘の池、八方池までのトレッキングコースなど。かなり険しい山道だが、往復約2時間、3.3㎞のルートなのでビギナーにも挑戦しやすい。ゴンドラでワープできるちゃっかり登山だ。

 隣のゲレンデ、白馬岩岳マウンテンリゾートに2018年にできたのが「白馬マウンテンハーバー(HAKUBA MOUNTAIN HARBOR)」。標高差1200m、目の前に北アルプスが迫る天空の「ザ シティベーカリー(THE CITY BAKERY)」やアウトドアブランド「スノーピーク(SNOW PEAK)」監修のマウンテンリゾート空間「イワタケ グリーン パーク(IWATAKE GREEN PARK)」など絶景スポットが各所にある。またWi-Fiや電源も完備の「森のオフィス」などもあり、合間に仕事を進めるワーケーションも可能。8月にオープンしたばかりのブランコ「ヤッホー!―スウィング」でハイジ体験もしてきた。ゴンドラは11月8日まで営業し、秋には山の頂の冠雪、中腹の紅葉、山麓の緑の三色の絶景「三段紅葉」が見られるという。ちなみにこのゴンドラには自転車が積めて、MTBで一気に下る初心者でも楽しめるコースもある。山頂にドッグランがあり、スキーゲレンデとして営業していない“グリーンシーズン”は愛犬とともにゴンドラに乗ることもできる。全ての層にフレンドリーなアウトドア空間なのだ。

 ちなみに各所への移動は白馬駅前の白馬山麓ツアーズで自転車をレンタル。電動アシスト自転車もあり、1時間から1日まで設定もさまざまなので、それぞれのプランに合わせて活用できる。エリア内にはシャトルバスも回っているので、荷物をコンパクトにすれば移動もラクだ。

駅から徒歩圏内の距離にオープンした「スノーピーク ランドステーション白馬」へGO!

 はっきり言ってここにいるだけでアウトドア欲求はすべてかなえられてしまうのでは?というほど充実した施設だったのが「スノーピーク ランドステーション白馬(SNOW PEAK LAND STATION HAKUBA)」。白馬駅から歩いて約10分のここは今年7月にグランドオープンしたばかりの、まさに山の駅。アウトドアをより身近に感じるための体験型複合施設だ。隈研吾設計の建物にはアウトドアブランド「スノーピーク」のショップ、地元の食材を堪能できる「レストラン 雪峰」、野遊び×コーヒーを楽しめる「スターバックス コーヒー(STARBUCKS COFFE)」や白馬観光局インフォメーションなどが入っている。広々としたイベントエリアにはテントやアウトドアチェアが並び、毎週末には地元の人と交流できるマルシェも開催。隈研吾氏と「スノーピーク」が共同開発したモバイルハウス「住箱―JYUBAKO」や、キャンプサイトでテントに宿泊できる野遊びエリアも奥にある。しかも敷地内には温泉「みみずくの湯」も!

 施設内のショップにはウエアやギア(食材からテントまで!)が全てそろう。「スノーピーク GO」という体験サービスではスノーピーク製品のレンタルに加えて、「レストラン 雪峰」の特製ランチや電動アシスト自転車、温泉入浴、リフト券等をパッケージにしたプランも。白馬の絶景を巡るポタリングなどもあり、自然と一体になる心地よさを全力でサポートしてくれる。ちなみに山岳リゾートとして世界的に人気を博してきた地だけに、駅前には「パタゴニア(PATAGONIA)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「好日山荘」などのショップもあり、なんでも現地調達できるので心強い。まさに身一つで行ける山なのだ。

テント宿泊からグランピングまで自然を感じる宿の選択肢も大

 山奥で、自分たちだけでテントを設営するのは不安だけれど、キャンプ気分は味わいたい。ならば、「スノーピーク ランドステーション白馬」内の宿泊プランを利用するのもいいだろう。キャンプの醍醐味であるたき火もできる。

 また非日常を体験するグランピングを体験するなら、2019年にできた白馬北尾根高原の「スノーピークフィールドスイート 白馬北尾根高原(SNOW PEAK FIELD SUITE HAKUBA KITAONE KOGEN)」へ。ここはなんと1泊一人7万円~の滞在費を想定して造られたというオーベルジュスタイルの全8室だけのリゾート。標高3000m級の北アルプスの前にテーブルを出し、星空を見上げながらのアウトドアレストランなど、この地ならではのグランピングは格別だ。

 白馬の里山を体感したいなら、白馬岩岳のゴンドラからほど近いせせらぎの里にある「ハルタ白馬(HALUTA HAKUBA)」がおすすめだ。北欧のビンテージ家具の輸入販売や住宅設計を、断熱と空調設計により、夏でも冬でもエアコン不要のサステナブル住宅を体感するのも宿の目的で、共有のリビングやキッチンも快適。“本来の自分に返る場所”がコンセプトだけに、日本の原風景のような里山で過ごしつつ、健やかな一日を過ごせる。

 オートキャンプも魅力的だが、思いついたらひょいと車なしでも行けて、キャンプ初心者だけでも安心なアウトドア施設が今増えている。各アウトドアブランドが参入し、新しい施設が次々とオープンしている白馬はその最たるエリアだ。

 このコロナ禍で自然と一体化する贅沢に皆が気付き、アウトドア人口も増加した。アウトドアの在り方も多様化し、野遊びのハードルは低くなってきている。その人気を支えているのはアウトドアブランドの新たな取り組みなのだ。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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