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ウィズコロナで進化する幸せ産業 年末年始の過ごし方編

 早いものでもう師走。思いがけない展開に世界中が震撼した2020年が終わろうとしている。そしてどこでも話題になるのが「年末年始をどう過ごそうか問題」。クリスマスや忘年会はどうするのか、年越しは?そして実家に帰省すべきなのか、等々。Go Toキャンペーンで巻き返した観光業界や飲食業界も、徐々に感染が拡大している今、前に進むべきなのか、とどまるべきなのか、皆が決めあぐねている。いつもと違う年末年始になりそうだ。

いつもと違う年末年始を、「食」で晴れやかに

 クリスマスケーキやおせちの発表会はお盆明けに早くも始まっていたが、今年はこのコロナ禍を反映したコンセプトが目立った。外出できない分、「お家でぜいたく」は変わらぬコンセプトで、30万円を超えるような超高級おせちも好調だという。今年は個々で楽しむようなおせちも登場。例えばおせちもみんなでシェアするのではなく、高級弁当のように個別に詰められた一人用おせちや2、3人で食べ切れる小ぶりなお重だ。それぞれ一人用おせちを食べれば、シェアしない分、感染リスクも減るだろう。

 「ホテル椿山荘東京」による自宅用おせちと贈答用おせちのセットでの販売も画期的だ。「With You おせち『絆』」は2人前2セットの今年ならではのおせち。自宅用と離れた家族の2カ所に配送される。実家の両親に送れば、リアルで会えなくても、同じお重を囲んで、オンラインで孫と会話し、帰省した「気分」で遠隔でも時間を共有できるというわけだ。限定20セットは即、完売になるほど人気だったという。

 通常ではお取り寄せを展開しない高級レストランもコロナ禍ではお取り寄せやテイクアウトを開始した。自粛期間が始まってすぐの時期に話題となったのが、東京都港区麻布十番の名店「中国菜・老四川 飄香(ピャオシャン)」によるお取り寄せ「飄香デラックスBOX」(2、3人前で1万5000円)。有識者が選ぶ麻婆豆腐ランキングで1位に輝いた麻婆豆腐をはじめ、フカヒレ煮込みや黒酢の柔らかスペアリブなどの名物料理を自宅で再現できるというもの。毎週金曜日に冷蔵で発送され、週末には本格中華のコースを堪能できる。加熱するだけのメニューがほとんどだが、中にはよだれ鶏や麻婆豆腐などのソースが届き、自宅で調理する一皿も。それぞれの家庭で同じBOXをお取り寄せし、オンラインでつなげば、同じ味を共有しながらの遠隔大宴会も可能だろう。10月から本格的にテイクアウトを開始した「飄香小院」六本木ヒルズ店でもホリデーシーズンに向け、前菜からメイン、ウニ入りフカヒレあんかけご飯などの〆までコース仕立てで構成されたお持ち帰りセットを販売。盛り付けイメージをお手本にすれば、見目麗しい宮廷料理に。(四川名物よだれ鶏も入ったCセットは2人前で1万800円)

 800坪の敷地の庭園、80年以上の歴史を誇る料亭「つきじ治作」でも15年ぶりにおせちを販売。即、完売するほどの人気だったという。この老舗でも春からお取り寄せを展開し、「ごちそう箱」と一子相伝の名物「水たき」とのセットが話題となった。そのまま食べられる折詰と、玉ねぎを加えて煮込むだけで料亭の味に仕上がる鍋との組み合わせで、手軽でありながら、調理する手応えもあり、自宅でごちそう気分になる。

旅行はバーチャルで! 行った気分ツアーが新定番に?

 旅行商品では現地コーディネーターとオンラインでつなぐなど、バーチャルツアーが浸透し、さらには行った気分になれる周遊フライトツアーも登場して話題となった。全日空ホノルル便の機体を利用した、成田を離陸し成田に戻る遊覧飛行ツアーには定員の100倍を超える応募があった。あまりの反響に次のツアーでは、フライト時間を倍にしたという。アロハシャツやフラダンスの衣装を着た乗客もいて、ウミガメのデザインの世界最大級の旅客機エアバスA380型機でのフライトは盛り上がりにぎわった。こういった遊覧飛行には、旅客機の整備上の事情もあるという。コロナ禍での大幅な運休や減便という状況でも定期的に整備を行い、性能を維持するために一定期間飛行する必要があるのだ(飛行せず駐機したままの場合、20本以上の巨大タイヤを全て交換しなくてはならないのだとか!)。

 ジャルパックでもJALのチャーターフライトを利用したさまざまな遊覧飛行ツアーを展開。12月5日開催された「チャーターDE海外旅行気分を満喫!~シンガポール~」では実際のシンガポール便と同じ国際線ボーイング767-300ER(A44)の機材を使用し、参加者は成田空港発着の約3時間30分の遊覧飛行を楽しんだ。

 シンガポール料理が機内食で提供され、搭乗前にはシンガポール政府観光局の協力による模擬入国審査も実施。搭乗ゲートのシンガポールの景色のフォトブース、シンガポールの魅力を学べる謎解きゲーム、フライト中の抽選会など、シンガポール旅行に行く「気分」を盛り上げるためのコンテンツが満載だ。

 エコノミークラスは1席1万9000円から、ビジネスクラスは通路側1席4万3000円からで、いずれもフライト、飲み物や機内食、記念品代などが含まれている。今後もバーチャルな渡航先を「台湾」にするなど継続予定の人気ツアーだ。飛行機好きとしては機窓からの風景、エンジン音やフライト中の揺れさえ懐かしく、100倍以上の抽選に勝利し、プラチナチケットを手に入れた人がうらやましい!

 佐賀県観光連盟はバーチャルツアーと特産品のお取り寄せを組み合わせたプランを発表。ディアンドデパートメントプロジェクト(D&DEPARTMENT PROJECT)の企画・監修による「サガ トリップ パック(SAGA TRIP PACK)」はお取り寄せ商品と産地を訪ねるオンライン体験がセットになった商品。生産者や識者とオンラインでつながるセミナー(ウェビナー)に参加でき、届いた商品と併せて、リアルな五感で佐賀の旅気分を楽しめるのだ。佐賀の海苔や米などがセットで送られ、海苔の味わい方やおいしいおむすびの作り方も学べる講座や、実際に味比べしながらの利き酒講座などそれぞれ。工房見学など現地を訪れるバーチャルな体験も。個人的には唐津で感動した「川島豆腐店」の豆腐鍋セットの講座が気になる!あの味を自宅で再現できるなら、ぜひ試したい!

 これからのバーチャルツアーは五感に訴えるリアルとのミックスが主流になりそうだ。我慢、我慢の年末年始は、宴会した「気分」、旅行に行った「気分」で乗り切るべし。もともとこの時期は旅をせず、地元にこもる自分にとっては、楽しみ方の選択肢が広がってわくわくする。2021年はここへ行くぞ、これを食べるぞ、と妄想を繰り広げながら、自宅でぬくぬく過ごすのもいい。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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