PROFILE:(まい)1984年生まれ、北海道出身。千葉県内のインポートショップ、大手専門店チェーン、外資系ファストファッションブランドで販売員や店長を歴任。個人的な興味から東洋占星術、西洋占星術、数秘術、タロットなどを学び、2020年4月に独立。独自メソッド「カロット占い」と販売の経験から、占い結果に沿った色の提案やパーソナルスタイリングを実施 PHOTO:SHUHEI SHINE
Maiさんはアパレルの販売員や店長を経験した後、現在は占い師兼パーソナルスタイリストとして活動している。西洋占星術などを基にした独自の手法でその人が今必要とする色を導き、アパレルの経験を生かして希望者にはその色に沿ったスタイリングも提案している。骨格診断や“イエベ、ブルベ”診断はここ数年ですっかりファッション接客の定番になったが、買い物に悩む人の背中を押すという点で、Maiさんの占いもそれらと共通するものがある。Maiさんに占いとファッション販売について聞いた。
―アパレル業界で仕事をされてきた経験があるとのことですが。
Maiさん(以下、Mai):アパレル業界では12年くらい働きました。最初は千葉県内にある個人経営のセレクトショップで、その店の雰囲気が好きで働き始めました。この時は販売からバイイングまでいろんな仕事をしました。さらに販売職を極めたいと思い、大手専門店チェーンに転職して約8年間勤務しました。その後VMDの仕事がしたいと思い、声をかけていただいた外資系ファストファッションに転職したのですが、結局はマネージャー(店長)職しかできず、さらにコロナも重なり、アパレル業界を引退しようと決めたのが2020年3月頃です。
―販売員のキャリアからなぜ占い師になったのでしょうか。
Mai:マネージャー職は売り上げや店舗運営、人間関係など、悩みが多かったんです。スタッフの悩みを聞いているうちに「この子をどうにかしたい」と感情移入してしまい、自分自身の悩みはスタッフには相談できず、大きく膨らんでいきました。当時、私は自分の悩みはある占い師さんに相談していて、その影響で自分でも占いを勉強するようになりました。自分で占った内容を仕事にも生かしてみたら評判が良かったのです。自分のことを占った際に「36歳で独立すると上手くいく」と結果がでていたので、それを信じてみました(笑)。
―パーソナルスタイリングと占いを融合した経緯は。
Mai:実は占いとファッションが結びつくとは思ってもいませんでした。アパレルで働いていた頃は「販売のキャリアは次につながらない」と思っていましたが、今ばっちりつながっています。最初は一般的な恋愛や仕事の相談を受けていたのですが、「カロット占い」という西洋占星術と数秘術をベースにした独自のメソッドを使ってその方が今必要とする色を導き出して提案するようにしたところ、お客さまから「色をどう活用したらいいか分からないから、アパレルにいたんだし、ファッションのアドバイスもしてよ」という声を多くいただいて、スタイリング提案や買い物同行もするようになりました。
―数ある要素の中でも、色の提案を取り入れたのはどんな考えからですか。
Mai:占いをしただけでは、お客さまの運命や運勢的な時期は変えることができないのです。その結果を元にお客様が行動を起こさないと運命は変わっていきません。そこでお客さまが手っ取り早く変えることができるのは何かと考え、「身に付けるものの色を変えればいい」と思いつき、お客さまのことを後押ししてくれる色を提案するようにしました。
買い物同行の前に、好きなテイストを聞き取り
―独自メソッドの「カロット占い」とはどういうものでしょうか。
Mai:西洋占星術では12星座を火・水・風・土の4つのエレメントに分けて考えるのが一般的ですが、他にも活動・固定・柔軟の3つの行動パターンで分ける「3区分」というものがあります。洋服は行動に伴って変わるものなので、この3区分がスタイリングのベースになります。さらにホロスコープと数秘術を使い、その方にどういう天体のエネルギーが働くかを見てみます。3区分にはベースとなる色、各天体にはイメージカラーがあり、その組み合わせからスタイリングに落とし込みますが、必ずこの色の服を買いましょうというものではありません。あくまでも、この色のものを持っていると良いですよ、というものです。
―色からスタイリングには具体的にどう落とし込みますか。
Mai:1時間でしたら、最初の30〜40分でカウンセリング(占い)をして、残りで色の説明をします。オシャレが好きな方でしたら、色をお伝えしただけでイメージが湧き、「この色のもの、持っていたかな?」となります。そこまでファッションに詳しくない方は「それなら私には何が合うの?」とお話しされることが多いので、ご要望に応じて買い物同行をします。買い物同行は基本的にカウンセリングとは別日にしていますので、お好みのテイストやブランドをおたずねして、お客さまの年齢、お仕事、カウンセリングの時に身に付けていたものや体形、イメージなどを元にお似合いになりそうなものをピックアップして、お店に行きます。料金は、占いのみの場合は1時間1万円です。
―緻密な計算や考えによって導き出されているのですね。そこにスタイリングを組み合わせるところは、骨格診断や“イエベ、ブルベ”のパーソナルカラー診断にも似ているように感じます。
Mai:私もそう感じています。骨格診断やパーソナルカラー診断では似合う形や色を提案しますが、カロット占いで導き出されるのは持っていただきたい色になります。骨格などの診断も私の占いでの色の提案も、ファッションに迷っていたり、自信がなかったりする方には助けになるもの。診断結果だけではそれに合致する服やスタイリングが分からないので、私のようにスタイリング提案や買い物同行ができる存在が求められているんだと思います。
自宅のクローゼットまで把握している顧客も
―今は月に何人くらいカウンセリングしていますか?
Mai:占いは月に50~60人くらいで。男性・女性の比率は半々くらいです。カロット占いによる色のアドバイスは全ての方にしています。スタイリング提案を希望される方は月によって変動しますが、10~15人くらい。その半数が買い物同行も希望されます。春夏秋冬で年4回のアドバイスをする顧客は12人いらっしゃって、自宅のクローゼットを見せていただいている方もいます。基本的にスタイリング提案やショッピング同行を希望されるのは女性ですね。
―男性のスタイリングやショッピング同行はされないのですか?
Mai:希望される方はいますが、ショッピング同行は恥ずかしいようでお断りされます。私は全くかまわないのですが(笑)。女性はショッピング中に「Maiさん、実は……」と本音を出される方も多くて、そこからお悩みの相談につながっていくこともあります。女性の相談内容は仕事や恋愛、人間関係、家族関係、お金の事など、多岐に渡ります。お子さまのお受験の面接に着て行く服について相談されることもあります。男性は起業や転勤、転職についてなど、仕事の悩みが圧倒的に多いですね。男性も月に2回など、定期的に来られる方がいます。
―占い師に転身して1年がたち、今はファッション誌「ストーリィ(STORY)」のイベントなどでも活躍されています。
Mai:「ストーリィ」は、4月の同誌主催のイベントに客として遊びに行った際に編集部の方と知り合って、そのご縁で誌面や7月のイベントにも出させていただくようになりました。「ストーリィ」をきっかけに来てくださるお客さまは多いです。テレビや雑誌の星占いは見る人でも、占い師に相談するとなると「なんだか怪しい」と感じるケースは多いと思います。でも、ネイルやエステが外見を磨くことで内面の美や健康につながるように、占いもうまく活用することで心の健康につながると私は考えています。私自身、仕事でたくさん悩んできた経験があるから、今度は私が後押しできる存在になりたいのです。
―最後に、今後のファッションを占い師としてどう見ていますか。
Mai:今年から来年にかけて、グリーンが一般的にトレンドの色だと言われています。グリーンは再生・愛・平和がコンセプト。そして、五感を司るといわれています。その中でも触覚・感触に縁がある色なので、今のサステナブルやSDGsとの概念にとても合う色です。私個人は、来年はマゼンダが人を救うラッキーカラーになると思っています。マゼンダは見えないもの・心・感覚をより深く追求するという意味があるので、トレンドと西洋占星術から見る色の組み合わせであるグリーン×マゼンダは、21~22年にかけてのファッションを代表する色になるのではないでしょうか。