ファッション

2022年春夏ミラノコレ現地リポート Vol.4 「グッチ」でビンテージ愛に触れ、「マルニ」に心が震えた4日目

 こんにちは!ヨーロッパ通信員の藪野がお届けしている、ミラノコレ現地リポートもこれで最終回。「グッチ(GUCCI)」や「モンクレール(MONCLER)」のイベントから、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「マルニ(MARNI)」のショーまで盛りだくさんのスケジュールです。若干寝不足気味ですが、張り切って行きましょ〜!

10:00 GUCCI VAULTプレビュー

 「グッチ」がオンラインコンセプトストア「ヴォールト(VAULT)」を記念したイベントを開くということで、朝一はそのプレビューへ。貴重なものの保管場所を意味する「ヴォールト」では、「グッチ」のビンテージアイテムを修復・カスタマイズして販売。それだけでなく、新たな価値観を持った若手デザイナーズブランドのアイテムも扱います。ポップなカラーで彩られた会場では、取り扱いアイテムの一部が蚤の市のようなセットで展示されていました。詳細は別の記事でアップしていますので、ぜひこちらをご覧ください!

10:40 JIMMY CHOO

 「グッチ」で若手デザイナーと話していたら、あっという間に時間がたってしまい、駆け足で「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」のプレゼンテーションにお邪魔しました。エントランスを抜けると、そこには鏡と水を使ったセット。そんな会場からも分かるように、今季のコレクションは輝きや透明感がカギになっています。キラキラ光るクリスタルやミラー加工のレザーのほか、中が見えるネットやPVCも多用。中にはホログラムのように輝くPVCも。色は白黒に加え、ピンクやイエロー、オレンジ、パープルなど、ここでもビビッドカラーがたくさん見られました。

11:00 ERMANNO SCERVINO

 「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」は、“遊びのあるコントラスト”に着目し、テーラリングとハイパーフェミニンや、スポーツとクチュールといった相反する要素を融合。ブランドを象徴するレースや華やかな装飾を生かしながらも、アノラックやアウトドアジャケット、膝下まで捲り上げたカーゴパンツなどを取り入れ、若々しく仕上げています。ブラトップに超ミニ丈のボトムス、そして、その上にガバッとスポーティーなアウターを羽織るのは、まさに今季のトレンドスタイル。仕立ての良さは折り紙付きですが、とは言え、コントラストの大きさに少しチグハグ感を覚えました。

12:00 MSGM

 「MSGM」は、会場自体が再開発された近代的なビル街にある公園でしたが、コレクションも“公園で陽気にピクニック”といったムード。今季の主役は柄。ネオンやアシッドカラーの大小さまざまなギンガムチェックをはじめ、道端に咲いていそうな素朴な花のパターン、イチゴやレモンなどのフルーツモチーフがウエアを彩ります。スタイルは、ポップなガーリーとレトロスポーティーのテイストミックス。再び動き出した世界にふさわしいポジティブなエネルギーを感じるコレクションを見せてくれました。ボクシーなジャケット、ブラトップ、バギーパンツなど、トレンドアイテムも満載です。

13:00 MONCLER

 前日に続き、またまたミラノの西から東への大移動!「MSGM」のショー後、最短で辿り着けるようにドライバーと事前に打ち合わせ、オンタイムに到着できました。会場には、巨大なスクリーンとステージ、そしてクレーンカメラがあり、生中継の公開収録といった感じ。会場ではアリシア・キーズ(Alicia Keys)がホストを務め、上海にいるヴィクトリア・ソング(Victoria Song)と中継をつなぎながら、各コラボコレクションの映像を次々に紹介していきます。個人的に気に入った作品は、「1 モンクレール JW アンダーソン(1 MONCLER JW ANDERSON)」。イタリア人映画監督ルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)と共に制作したという映像は、エモーショナル。今回初参加の「ハイク(HYKE)」の映像には、俳優の福士蒼汰さんと杏さんが登場しました。

14:30 SALVATORE FERRAGAMO

 「夏の物語」と名付けられた今季は、日差しが眩しい南イタリアの夏といった雰囲気です。ポイントは、ブラウン系のグラデーションと白黒のコントラスト、オレンジやブルーといった彩度の高いアクセントカラーのミックス。ニットのセットアップやミニ丈のショートパンツ、たっぷりとしたマキシドレス、爽やかなシャツなど、メンズもウィメンズもリラックス感のあるスタイルが中心です。フィナーレに登場したのは、これまでメンズのみを手掛けていたギヨーム・メイアン(Guillaume Meilland)。ウィメンズを手掛けていたポール・アンドリュー(Paul Andrew)は5月に退任したので、今季はウィメンズも彼が担当したようです。

 そんな「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」は、過渡期を迎えているブランドの一つ。時期は未定ですが、リカルド・ティッシによる「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「バーバリー(BURBERRY)」、フィービー・ファイロによる「セリーヌ(CELINE)」をデザイナーと共に盛り上げてきたマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)=バーバリー最高経営責任者(CEO)が、CEO兼ジェネラル・ディレクターに就任することが決まっています。入社したら、きっと改革に着手するはず。新たなクリエイティブ・ディレクターを連れてくるかもしれません。今後の動向が気になります。

16:15 GUCCI VAULT記者会見

 「グッチ」のイベント会場に戻ってきました。その目的は、アレッサンドロ・ミケーレ=クリエイティブ・ディレクターによる記者会見。約30人のジャーナリストやエディターのみが呼ばれ、親密な雰囲気の中で行われました。会見は終始イタリア語のため、イヤホンで英語の同時通訳を聞くのですが、やっぱり説明は本人の言葉で聞きたいもの。こういうとき、イタリア語ができたらいいな〜と感じます。

17:30 TOD’S 展示会

 「トッズ(TOD’S)」の展示会では、ショーに登場したシューズやバッグを中心にチェック。気になっていたプラットフォームのローファーは、思ったより軽量で、好印象。バッグは、アーカイブを蘇らせたというTの金具が特徴的な“T タイムレス”シリーズのバリエーションが広がっています。

19:00 GIORGIO ARMANI

 「ジョルジオ アルマーニ」は、アルマーニ / テアトロが完成するまでショーを開催していた本社の地下会場でショーを開催。テアトロに比べると、かなり小規模な会場には親密なムードが漂います。ランウエイに現れたモデルは、優しい笑顔を浮かべながら、ゆっくりとウォーキング。最近はモデルが無表情で歩くショーが多いので、懐かしさを感じるとともに、なんだか温かい気持ちになりました。

青い海と空の映像を背景にしたショーは、白と紺を基調としたマリンスタイルのテーラードルックでスタート。ロープを編んだベルトやバッグがアクセントになっています。全体的にリラックスした雰囲気を生み出すのは、柔らかな素材でバルーンのようなシルエットを描いたパンツやスカート。一方で、ジャケットは細身で長めのデザインが多く登場しています。終盤は、空と海の映像も青からマジックアワーを想起させるピンクや紫に。チュールを重ねたドレスにも、そんな絶妙な色合いが反映されていて、うっとり。

20:00 MARNI

 今季のミラノコレのショー取材を締めくくるのは、「マルニ」。以前からフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)は、デザイナーというよりもアーティストだと思っていましたが、まさにそれを確信する体験でした。会場は、真ん中の小さな舞台を中心に渦を描くようにスロープになった円形デザイン。そこにいる来場者もスタッフもほとんど全員が、ストライプが描かれたアップサイクル素材の服を着ています。これは、一人一人に事前にフィッティングを行い、準備したものだそう。色やアイテムは違えど、一体感を生んでいます。

 3部構成のショーにまず登場したのは、その場にいる皆と同じ服を着た合唱団。讃美歌のように神聖なコーラスが会場を包み込み、モデルは男女問わず、巨大なジャケットやニットからドレスまで、さまざまなストライプやボーダーを使った服をまといます。

 そして、ボーダーのジャケットに花柄のパンツを着た男性が登場し、エモーショナルに詩を朗読し始めると、第2部がスタート。その着こなしからも分かるように、デザインにデイジーの花が加わります。その方法は、ストライプの上に異なる色のストライプでデイジーモチーフを重ねたドレスから、インターシャで描くレトロな水着のようなニットアイテム、工作するようにピースを組み合わせて作るドレスまで。シューズやバッグは、クラシカルなデザインをニットのトロンプルイユで表現しています。

 第3部は女性歌手のソウルフルな歌声と弦楽器の音色で開幕。フランチェスコ流のイブニングスタイルを披露しました。そこからは一気にクライマックスへ。観客から大きな拍手が巻き起こる中、モデルが中央のステージに集まり、ハグしたり、語り合ったり、拍手したり。年齢、性別、人種、体型を問わずあらゆる人の存在をたたえ、再び集えることの喜びを分かち合う儀式のようなショーに、ただただ心が震えました。

9/26 9:30 PRADA 展示会

 パリに移動する前に、朝一で「プラダ」の展示会へ。デジタルで見たショーはミラノと上海での同時開催という見せ方に目が行きがちでしたが、実際に服を見たり、説明を聞いたりすると違いますね。コルセットのメタルバーや編み上げ、ブラカップ、トレーンなどの要素を取り入れ、削ぎ落としたスタイルで官能性やフェミニニティーを表現しているのは、さすがです。コレクションの詳細は、ライターの井上エリさんによる展示会リポートをご覧ください。

 今回はワンちゃんが見つからなかったので、「今日のワンコ」はお休みです。

 さて、それではパリに飛び立ちます。チャオ〜!

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

盛り上がる”スピリチュアル消費“を分析 「心に寄り添ってほしい」ニーズに向き合う

「WWDJAPAN」10月25日号は、“スピリチュアル消費”特集です。ここ1〜2年、財布の開運プロモーションや星座と連動したコスメやジュエリーの打ち出しがますます目立つようになっています。それらに取り組むファッション&ビューティ企業と、その背景にある生活者の心理を取材しました。 スピリチュアルと聞くとやや怪しさがありますが、取材を通して見えてきたのは「心に寄り添ってほしい」という女性たちの普遍的な…

詳細/購入はこちら