ファッション

人はギャップに萌える。“ちょい悪”男子とぬいぐるみの「ルイ・ヴィトン」 エディターズレター(2020年9月8日配信分)

※この記事は2020年9月8日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

人はギャップに萌える。“ちょい悪”男子とぬいぐるみの「ルイ・ヴィトン」

 「ルイ・ヴィトン」2021年春夏メンズコレクションが9月2日に東京で発表されました。先に上海で発表した内容を東京仕様にアップデートしたショーは、メンズのアーティスティック・ディレクターであるヴァージル・アブローのアイデアとこだわりが詰め込まれていてさすがでした。ヴァージル本人は当然来日せず、他国間で密なオンライン打ち合わせを重ねて作り、打ち上げた花火の色や形までヴァージル自身がこだわったそうです。

 今回、改めてメンズっておもしろいな~と思いました。なぜか?それはギャップがあるからです。メンズ服はそのルーツがミリタリーやスーツなど仕事着、制服、機能服に由来するものが多く、何をどう着るかの規則・ルールがウィメンズ以上にありますよね。そのルールを知ることも面白いですが、同時にそれをどう崩すかも面白い。ウィメンズの服はスカートもパンツも楽しみますが、メンズのスカートはいまだ極少数。それだけメンズの方が、社会・自己規制が強いのだと思います。だからこそ、その規制の中でのアイデアと同時にそれを外したときのギャップが魅力です。

 などとショーを見ながら考えてました。だって、丹精なスーツの袖にはでっかいぬいぐるみが縫い付けられているのですよ!ギャップ萌え、です。

 同時に発表されたデジタルコレクションでは、ナイジェリア出身の英国人詩人カレブ・フェミと三池崇史監督による映像も公開されました。映像にはところどころに三池監督・浅野忠信主演の映画「殺し屋1」がインサートされています。映画に登場する徒党を組むエグくて色っぽい日本の不良と、ランウエイに集団で登場したモデルがオーバーラップして進みます。“徒党を組むってちょっと悪い男子の世界共通のストリートカルチャー(!?)なんだな”と妙に納得します。

 ベースにはあくまで「ルイ・ヴィトン」のラグジュアリーがあり、さらにそこにヴァージルのルーツであるガーナの文化も絡まり、アップサイクルでもある。そんな2重3重に意味がある世界観をまとめあげるのが……ぬいぐるみ!なのです。これでもか!と仕掛けてくるギャップに萌えました。萌えるって言葉、時代遅れかもしれませんが、他に適切な言葉が浮かびません。

 それにしても一番すごいのは、これだけのスケールの屋外ショーであるにもかかわらず、雨天時の “プランB”は用意していなかったらしい、という話です。ショーの数日前に台風が発生して東京へとぐんぐん近づいていましたが、関係者いわく「心配していなかった」そうですから、やはりその度胸が一番すごいかも(笑)。ランウエイを飾ったカラフルな巨大バルーンキャラクター(や富士山)はねぶた祭の山車級の大きさ。夏祭りも花火大会も相次ぎ中止で“ロストサマー”だった日本に最後の最後に夏祭りがやってきた。そんな印象のショーでした。

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