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NYコレが完全デジタル化 ブランドや消費者、プレス、バイヤーなど誰でも使えるプラットフォームを開設

 アメリカファッション協議会(COUNCIL of FASHION DESIGNERS of AMERICA以下、CFDA)は、国内のファッション業界向けのビジネスツールを兼ねた総合デジタル・プラットフォーム「ランウエイ360(Runway360)」を立ち上げる。公開はニューヨーク・ファッション・ウイーク(9月14〜16日開催予定)の開幕前だ。

 「ランウエイ360」は、コレクション発表やPR、販売、消費者への働きかけといったブランドビジネスにおけるツールを網羅しており、デザイナーが業界関係者や消費者と直接つながることができる。デザイナーはバーチャルのプレスカンファレンスの開催や参考資料の配布、ファッションショーやプレスキットのリリースができるなど、販売の促進や米国ファッションにおけるクリエイティビティーを披露する場として機能する。また世界中の小売業者やプレス、消費者を対象に、AR/VRを駆使した360°の動画やライブ配信、ECおよびSNSとの連係やショッピング機能が提供され、9月のファッション・ウイーク終了後も永続的に利用することができる。

 ブランド、消費者、プレス、取引顧客など誰もがアクセス可能な「ランウエイ360」では、各ユーザーのプロフィールに合わせたサービスが提供される。例えば、デザイナーは50人限定でコレクションを公開することができたり、各自のページにBtoB向けのデジタル・マーケットプレイスのニューオーダー(NuORDER)や卸売りシステムを設置したり、またユーザーはそのページからデザイナーのプロフィールページにアクセスし、360°の拡張現実を用いたコレクションの閲覧やプレスキット、プライベートイベント、AR/VR体験といったソーシャルメディアを通じたコミュニケーションを行うことができる。

 「ライブ ナウ(Live Now)」というページでは、ウィメンズ、メンズ、新人、サステナビリティの4つのカテゴリー別に、ファッション・ウイークの公式スケジュールとブランド、コレクションを紹介。期間中はライブ配信されているコレクションが特集される。ユーザーはお気に入りのショーを登録し、SNSを通じてシェアすることもできる。またデザイナーは、過去のコレクションを公開することも可能だ。CFDAは今回イベントを開催しないが、どの場所で行われるショーも「ランウエイ360」でライブ配信する。

 スティーブン・コルブ(Steven Kolb)CFDAプレジデント兼最高経営責任者(CEO)は、「デジタル・プラットフォームを駆使してファッション・ウイークを現代風にまとめた。ニューヨーク・ファッション・ウイークでのコレクション発表のベースとなるだろう。また年間を通じて、ブライダルおよびジュエリー・ウイークやプレ・コレクションといったその他のマーケットにも適用できる。誰でもアクセスが可能で、年間を通じてデザイナーのコレクションをサポートするという点は、ミラノ・デジタル・ファッション・ウイークでの取り組みと似ている。今シーズンはどのデザイナーも、これまでのような本格的なランウエイショーをリアルタイムで行うことはないだろう。全てがデジタルで行われるはずだ」とコメントした。

 「ランウエイ360」はECサイトとしての機能はないが、消費者やバイヤーはお気に入りアイテムを登録し、プレオーダーや購入が可能だ。デザイナーはこうした情報をeメールなどで情報が共有され、人気の高いルックやコレクションを知ることができる。「コンテンツは私たちではなくデザイナーが作成する。私たちはそれをプラットフォームにつなげるだけだ。デザイナーはルックブックの写真や動画を投稿することもできる。これはデザイナーをサポートするためのビジネスツールだ。柔軟性が高く、各ブランドの需要に合わせてカスタマイズできるプラットフォームにしたい」とコルブ=プレジデント兼CEO。なお、ブランドは「ランウエイ360」に無料参加が可能で、CFDAはこれによる収益化を考えていないという。
 
 また、BtoBパートナーであるニューオーダーは、新人デザイナーや有色人種のデザイナーによるビジネスのサポートを目的とした、バーチャル販売ショールームを含む一連のサービスを提供する。ヒース・ウェルズ(Heath Wells)=ニューオーダー共同創設者兼共同CEOは、「新しい世代のデザイナーやブランドに技術やツールを提供することで、彼らの将来の成功をサポートできることをうれしく思う」とコメントした。
 
 コルブ=プレジデント兼CEOは、「ファッション業界が変革の時にある今、革新的なビシネスツールが必要だ。ソーシャル・ディスタンシングや移動制限がある世の中で、『ランウエイ360』は画期的な存在だと言える。デジタル・プラットフォームは新型コロナウイルスの影響を受けた今だけでなく、将来的に従来のようなファッションショーが行われる場合にも役立つ」とコメントした。将来的に従来のランウエイショーが行われた場合は、ブランドはプラットフォーム上でショーの動画を配信もでき、ショーのコメントやコレクションのインスピレーション源などの投稿も可能だ。

 なお、「ランウエイ360」はニューヨークの総合デザインスタジオ、デ ヤン(De-Yan)が開発。モバイル版にも対応している。

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