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米英のファッション協議会が共同声明 サイクルの見直しなどを提言

 アメリカファッション協議会(Council of Fashion of Designers of America以下、CFDA)と英国ファッション協議会(British Fashion Council以下、BFC)は5月21日、「ファッション業界のリセット(The Fashion Industry’s Reset)」と題する共同声明を発表した。

 これはCFDAのトム・フォード(Tom Ford)会長とスティーブン・コルブ(Steven Kolb)最高経営責任者(CEO)、そしてBFCのステファニー・フェア(Stephanie Phair)会長とキャロライン・ラッシュ(Caroline Rush)CEOの長年にわたる親交から実現したものだという。

 この共同声明は「ファッション業界は、あらゆる面で新型コロナウイルスの影響を受けている。事態の収束はいまだ見えないが、業界の慣例やコレクションのスケジュールなどを見直して再検討する機会でもある」と序文がつけられており、8つの項目で構成されている。以下、各項目の要旨を紹介する。

・ファッション業界のシステムを、あらゆるレベルで変える必要がある。以前から言われていたことだが、新型コロナウイルスの影響で、これを優先的に考えていくべきだという気運が高まっている。

・ファッション業界の目まぐるしいスピードに慣れているブランドやデザイナー、そして小売店に、スローダウンすることを促したい。長年にわたる過剰生産の結果、在庫は積み上がる一方だ。デザイナーや小売店はコレクションのスケジュールを見直し、どのような商品を作るのか、またそれをいつどのように販売するのかなどの戦略を考え直す必要がある。

・商品が店頭に並ぶ時期と、顧客が実際にそれを着用する時期に大きな隔たりがある。実際の季節に合わせて商品が入荷するようにするべきだろう。

・デザイナーには、年に2回のメインコレクションに注力するよう強く勧める。これによって、クリエイティビティーをいっそう発揮するために必要な時間が取れるようになるだろう。またペースをスローダウンすることでデザイナーや関係者のストレスが軽減され、業界全体の健康や幸福度にプラスの効果があると思われる。

・プレ・コレクションが商業的に必要であることは理解しているが、本来は「そのブランドらしさを表現しているものの、ショーを開催するほど特徴的ではない」アイテムを消費者に届けるためのものだった。外出規制などが解かれ、実際にショーを開催できるようになった際にはその基本に立ち返り、以前のようにショールームでプレ・コレクションを発表することを勧めたい。

・コレクションのショーを、ファッション業界の中心的な都市で、かつ通常のファッションカレンダーの期間中に開催することも勧めたい。現在のシステムではバイヤーやメディア関係者が常に世界中を飛び回らなければならないため負担が大きく、二酸化炭素排出量の面からも推奨できない。

・サステナビリティも重要なトピックだ。質とクリエイティビティーをいっそう高め、より少ない量を生産することで、商品はさらに長く愛される価値のあるものとなる。そうして消費者からさらなる敬意を得ることによって、われわれの商品はいっそう喜ばれるものとなるだろう。

・現在の状況を踏まえると、21年春夏コレクションを通常通りに行うことは不可能だと思われるが、CFDAとBFCは引き続きスケジュールの設定に尽力しつつ、バーチャルでの開催なども支援する。

 なお、共同声明は「ファッションはクリエイティビティーを核とした、新しいアイデアを歓迎するビジネスだ。またこうした危機的な状況には、イノベーションを促す役割もある。われわれはメンバーやパートナーの皆さんとともに、業界のあり方に想像をめぐらせて再構築し、将来的にますます発展していけるように尽力する」と締めくくられている。

 こうした動きはファッション業界で広がりを見せており、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は4月3日に米「WWD」に公開書簡を寄せて、衣料が過剰に生産されている現状や、実際の季節とはかけ離れたスケジュールで販売されていることに疑問を呈した。またドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)らも、同様の提言をするウェブサイト「ファッション業界への公開書簡(Open Letter to the Fashion Industry)」を5月12日に立ち上げている。