シャネル(CHANEL)は7月1日、フランス最古のシャツメーカー「シャルべ(CHARVET)」の全株式を取得した。また、「シャルベ」がパリ・ヴァンドーム広場に構える本店の建物も併せて買収した。いずれも金額は非公開。
ガブリエル・シャネル時代からの縁
「シャルベ」は1838年にパリで創業。1965年に生地の輸入会社を経営していたデニス・コルバン(Denis Colban)が買収し、現在はその子どもであるジャン・クロード・コルバン(Jean-Claude Colban)とアン・マリー・コルバン(Anne-Marie Colban)が経営。最高品質の素材使いと仕立てで知られており、その顧客リストはシャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)元仏大統領やウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)元英首相ら政財界の大物をはじめ、詩人のシャルル・ボードレール(Charles Baudelaire)や小説家のエミール・ゾラ(Emile Zola)、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)らと錚々たる顔ぶれだ。「シャネル」の創業デザイナーであるガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が恋人に「シャルベ」のシャツをよく贈っていたという逸話があるが、25年4月に就任したマチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)「シャネル」アーティスティック・ディレクターが26年春夏パリ・ファッション・ウイーク中に披露したデビューコレクションで「シャルベ」と協業したことが、両ブランドを再び強く結び付けたという。その後、26-27年クルーズ・コレクションでも「シャルベ」とコラボレーションしたシャツが登場している。
買収の目的は「この宝石のようなブランドの未来を守ること」
シャネルのブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントは、「縁も深いしそろそろ結婚しよう、と互いに決断した。『シャネル』は主に女性を、『シャルベ』は主に男性を対象としているが、最近はそれぞれ逆の性別の顧客も増えている。この宝石のようなブランドの未来を、当社が守り維持していくのは理にかなっていると考えた」と語った。
取引後はパブロフスキー=プレジデントが「シャルベ」のプレジデントを兼任するが、同ブランドのクリエイティブ上の独立性を尊重する。同氏は「世界中に『シャルベ』の店舗を開いて事業を拡大しようとは考えていない。取引の目的は、この美しいブランドを長きにわたって存続させることだ」と説明した。