毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月2日号からの抜粋です)
藪野:長丁場の取材お疲れさまでした。本橋さんは今回で2回目のメンズ・ファッション・ウイークだったけれど、一番印象に残ったショーは?
本橋:うーん、悩みますが……ミラノのトップバッターだった「ラルフ ローレン」でしょうか。カジュアルな「ポロ」から、イブニングの「パープル レーベル」へと世界観がグラデーションのように移り変わっていく構成が見事でした。
藪野:メンズは、ウィメンズと比べるとアイテムの制約が多い。シャツの重ね方や、タイドアップにあえてカジュアルなブルゾンを合わせるバランス感など、「どう着るか」というスタイリングの提案が、今まで以上に重要になってきています。
本橋:藪野さんはいかがでしたか?
藪野:ジョナサン・アンダーソンの「ディオール」は、批判やリスクを恐れずにメンズウエアの既成概念を壊そうという気概のクリエイションが印象的でした。ジョナサンは5シーズン目までは毎回異なる一面を見せるらしく、次回も楽しみです。また、ジュリアン・クロスナーの「ドリス ヴァン ノッテン」も、「愛着」という今季を象徴するキーワードを若者が故郷から旅立つストーリーを通して表現していて、エモーショナル。ショー音楽が日本語だったのは、びっくりしましたけど(笑)。
本橋:今回、パリメンズには日本人デザイナーが計15人公式スケジュールに参加しました。3回目となった「シュタイン」などは、存在感を確実に高めていますね。
「サカイ」はやっぱり別格
藪野:ただ彼らの持ち味である「繊細さ」や「ミリ単位のこだわり」を、ショーだけで世界の観客に理解してもらうのは、なかなかハードルが高いとも感じます。その点、「サカイ」はやっぱり別格。クリエイションの強さも、メッセージの打ち出し方も、完全にグローバル基準です。
本橋:個人的には、(魅力が)「伝わりづらい」服は大好物なんですが(笑)。僕は37年にわたり「エルメス」のメンズを率いたヴェロニク・ニシャニアンのラストコレクションに「変わらないこと」の凄みを感じました。
藪野:彼女は時代の空気や顧客のニーズを汲み取りつつ、少しずつスタイルを深化させてきましたよね。
本橋:トレンドや話題作りが加速する今のラグジュアリーファッション界。だからこそ、腰を据えたメゾンの姿勢が素敵に感じられました。