ロレアル(L'OREAL)とケリング(KERING)が10月19日に発表した40億ユーロ(約7160億円)規模の戦略的提携が、ビューティ業界に大きな衝撃を与えている。高級フレグランスとウェルネス分野への長期的協業を軸にした今回の取引は、香水ビジネスに依存する各社の戦略を大きく揺さぶるものだ。M&Aストラテジストのネンナ・オヌバ(Nnenna Onuba)氏は「この取引によって業界全体に下方圧力がかかり、小売業者から投資家、ブランド創業者にまで影響が及ぶだろう」と語る。(この記事は「WWDBEAUTY」2025年11月24日号からの抜粋です)
ロレアル、香水・ラグジュアリービューティで世界最大の座を確立
ロレアルは取引完了後(2026年前半予定)、ケリング傘下のケリング ボーテ(KERING BEAUTE)が手掛ける「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」と「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の香水・ビューティ製品の独占ライセンスを50年間取得し、さらに「グッチ(GUCCI)」についても現行のコティ(COTY)との契約終了後の28年から独占契約に移行する見込みだ。加えて、英高級フレグランスブランド「クリード(CREED)」を買収することで、同社は“世界最大の香水メーカー”の座を確かなものにする。ドイツ銀行(DEUTSCHE BANK)のトム・サイクス(Tom Sykes)=アナリストは「この取引によりロレアルはラグジュアリービューティ分野のポートフォリオをさらに強化し、競合に対する優位性を確立した」と指摘する。
ロレアルのニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は、「この取引はラグジュアリービューティ市場におけるわれわれの世界No.1の地位をさらに強固にするだけでなく、4ブランドそれぞれに大きな可能性を感じている。ライセンスブランドを“ビリオンブランド”に育て上げてきた実績があるからだ」と自信を見せる。
他社が直面する構造変化
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
