ケリング(KERING)とロレアル(L’OREAL)が19日(現地時間)に発表したビューティおよびウェルネス分野における長期戦略的パートナーシップ締結のニュースに、市場やアナリストらが続々と反応している。40億ユーロ(約7040億円)を現金で支払う本契約により、ロレアルはケリング ボーテ傘下のフレグランスブランド「クリード(CREED)」を獲得するとともに、「グッチ(GUCCI)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のビューティおよびフレグランスの50年間の独占ライセンス権を得る。2026年前半に取引が完了した後、発効する予定。「グッチ」については現行のコティ(COTY)との契約が28年に満了した後に開始する。発表翌日の20日、ロレアル株は1.2%高の395.35ユーロ(約6万9186円)で取引を終え、ケリング株も4.8%高の324.50ユーロ(約5万6787円)に上昇した。
内製化戦略からの急転換に驚きの声
ケリングの財務改善に寄与の指摘も
JPモルガン(J.P. MORGAN)のセリーヌ・パニュティ(Ceine Pannuti)欧州生活必需品・飲料リサーチ責任者は、「今回の取引はロレアルにとって“決定的”なものだ。同社史上最大の取引であり、世界のフレグランス市場やニッチブランド分野での主導的地位を一段と強化する」と指摘。シティ(CITI)のトマス・ショーヴェ(Thomas Chauvet)=アナリストは、「ケリングは10年前に内製化したアイウエア事業の成功例をビューティ事業で再現する方針だった。このような急転換を見せたことは驚きだ」と話す。業界筋によれば、ケリングはアイウエア事業の売却も検討しているとされる。「とは言え、ロレアルのライセンスブランド育成力は確かだ。08年以降、ケリングからライセンスを受けて成功を収めてきた『イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)』がその好例と言える。『グッチ』も将来的に“メガ級のフレグランスブランド”へ成長する潜在力を秘めている」と付け加えた。
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