ケリング(KERING)のビューティ部門、ケリング ボーテ(KERING BEAUTE)はこのほど、英国のラグジュアリーフレグランスブランド「クリード(CREED)」の最高経営責任者(CEO)にナタリー・ベルジェ・デュケンヌ(Nathalie Berger-Duquene)を任命した。5月6日付で就任する。
デュケンヌ新CEOは、2024年10月末に退任したサラ・ロザラム(Sarah Rotheram)前CEOの後任となる。就任までの間はラファエラ・コルナッジャ(Raffaella Cornaggia)=ケリング ボーテCEOが高級ニッチフレグランスのブランドを管理してきた。デュケンヌはケリング ボーテの執行委員会のメンバーとなり、ロンドンを拠点にコルナッジャ=ケリング ボーテCEOの直属となる。
デュケンヌはコルナッジャ=ケリング ボーテCEOと同様、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)からケリングに加わり、22年から「バルマン ビューティ(BALMAIN BEAUTY)」のグローバル・ジェネラル・ブランドマネジャーを務めていた。
ナタリー・ベルジェ・デュケンヌの経歴
デュケンヌはフランスのビジネススクールESSECを卒業後、「ゲラン(GUERLAIN)」でキャリアをスタートし、05年にロレアル(L’OREAL)に入社した。「ビオテルム(BIOTHERM)」「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」「ランコム(LANCOME)」などのブランドでさまざまな役職を歴任した後、リュクス事業本部のフレグランス担当ジェネラルマネジャーに就任。19年に「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」と「キリアン パリ(KILIAN PARIS)」のEMEAジェネラルマネジャーとしてELCに入社し、その後「トム フォード ビューティ」のグローバル・マーケティング・シニアバイスプレジデントに任命された。
ケリング ボーテは23年に「クリード」を買収
ケリング ボーテは23年6月27日、推定38億ドル(約5548億円)相当の取引額で「クリード」を買収すると発表した。この買収は、同年2月3日にケリングがビューティ部門を設立した後、初めての大型買収となった。買収後、「クリード」は“カーミーナ”や“クイーン オブ シルク”を発表し、女性用フレグランスのポートフォリオを拡大。24年に3億ユーロ(約480億円)以上の売り上げを記録し、「米国での業績が好調だった」とジャン・マルク・デュプレ(Jean Marc Duplaix)=ケリング オペレーション・財務担当副CEOは述べた。
「クリード」とは
メゾンの歴史は1760年までさかのぼり、イギリス国王ジョージ3世の時代にジェームズ・ヘンリー・クリード(James Henry Creed)が設立した。カルト的ベストセラーの男性用フレグランス“アバントゥス コロン”“ヴァイキング”“ヒマラヤ”“グリーン アイリッシュ ツィード”など、長年にわたり200種以上の香水を生み出してきた。パリを拠点とし、フォンテーヌブローの工場で伝統的な抽出技法を用いて多くの自家製エッセンスを製造している。
ケリング ボーテは香水カテゴリーに注力
ケリング ボーテはフレグランスブランドとして「クリード」のほかに、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」「ポメラート(POMELLATO)」「キーリン(QUEELIN)」を所有している。デュプレ=ケリング オペレーション・財務担当副CEOによると同社は流通や生産、物流の面で「クリード」を高級フレグランス市場へのさらなる参入に活用しているという。昨年は「ボッテガ・ヴェネタ」からフレグランスを発売し、今年は「バレンシアガ」からローンチ予定だ。フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOは、「今後数年間、ケリング ボーテは香水カテゴリーに注力する」と語った。
本文中の円換算レート:1ドル=146円、1ユーロ=160円