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4社に聞く秋冬のフレグランストレンド 進化するグルマンやエモーショナルなインテンスに注目

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4社に聞く秋冬のフレグランストレンド 進化するグルマンやエモーショナルなインテンスに注目

フレグランスはファッション同様、個性を表現するアイテムとして若年層を中心に広がりを見せている。コロナ禍を機に日常的に香りを楽しむ層が増えて、フレグランス市場が拡大。ニッチブランドも増え、コスメ売り場だけでなく、セレクトショップなどでも販売されるようになった。市場の多様化が進み、以前のような大ヒットは生まれにくく、日本で“売れる”香りは季節に左右されやすい。今年の秋冬は、昨年に続き人気のグルマンやウッディのバリエーションが豊富だ。フレグランスを輸入販売する4社に秋冬のトレンドや傾向、業界の動きについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年11月4日号からの抜粋です)

BLUEBELL JAPAN / ブルーベル・ジャパン

グルマンや奥行きのある
インテンスに注目

ブルーベル・ジャパン(BLUEBELL JAPAN)香水・化粧品事業本部の丘依子マーケティング部シニアマネジャーは、「昨年に続き、グルマン系が人気。中でもバニラを配合したものが多い」と話す。「バーバリー(BURBERRY)」の“ゴッデス”や「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」の“デヴォーション”などが代表格。バニラは大人にとっては甘くて難しいという印象があったが、爽やかなものも登場してつけやすく進化。「バニラの解釈や表現が広がり、若い層に受けている」。

同じくグルマン系で人気が出てきているのが、お酒をイメージさせるものだ。「ペンハリガン(PENHALIGON'S)」や「キリアン パリ(KILIAN PARIS)」はウイスキーをテーマにした新作を発売。「お酒が苦手でも、香りで楽しむという新たな切り口が受けている」。また、香りの持続性があるインテンスが増加。“ゴッデス”“デヴォーション”共にインテンスが登場した。濃度が高くても合わせる香料や配合などにより香りの構造が軽やかになっている。「インテンスは香りに奥行きを持たせたり、まろやかにしたり、より長く香りを楽しめる。賦香率や時間軸という数値だけではなく、エモーショナルな部分に訴えるものだ」。注目のブランドは「マティエール プルミエール(MATIERE PREMIERE)」。原料の魅力を伝えるべく一つの香料にフォーカスして一つのフレグランスを制作している。「自社のオーガニック農場で収穫した原料を使ったものもある。シンプルに原料の魅力を伝えるアプローチが新鮮だ」。

KAWABE / 川辺

ウッディやローズを
ジェンダーを超えて提案

ファッションおよびニッチフレグランスの輸入販売を行う川辺の坂内大典フレグランス本部マーケティング課課長は、この秋冬の傾向について「ウッディ系アンバーのバリエーションが増えている」と話す。季節柄、落ち着いた深みのある香りの需要が高まる。「より複雑な香りがトレンドで、ウッディの良さが見直されている」。「クリード(CREED)」の新作“ケンタウルス”や“デルフィナス”は、ウッディ系アンバーベースで、グルマンやスパイス、レザーなどによりアレンジされた今までにない香りだ。

もう一つはフローラルの代表格であるローズだ。「生産地にこだわったりひねりをきかせたり、より表現の幅が広がった」。ローズというと女性の香りというイメージが強いが、ジェンダーを超えた提案が見られる。「ローズが持つ高いポテンシャルを、調香によって男性でもつけられるようにしている」。ブルガリアンローズにシトラスなどを配合した「アクア ディ パルマ(ACQUA DI PARMA)」の新作“ルーチェ ディ ローザ”や「ブルガリ(BVLGARI)」のタイフローズを使用した “レ ジェンメ サハー”などが代表例だ。いずれも、性別を問わない香りであると同時にローズの産地にもこだわっている。トレーサビリティやサステナビリティの観点からも、原料の生産地にこだわる香りが多く登場。「ジェンダーレスな提案はファッションと同じ流れ。モノ作りの姿勢が問われるようになり、原産地へのこだわりが重要視されている」。

NOSE SHOP / ノーズショップ

“甘い”から
“おいしい”ネオグルマンへ進化

世界各国から数々のニッチフレグランスを輸入販売するノーズショップ(NOSE SHOP)。同社が挙げる今年の秋冬の香りの傾向は、ネオグルマンだ。グルマン=甘いお菓子のような香りという定義に変化が見られるという。中森友喜NOSE SHOP代表は、「スイーツだけでなく野菜や果物もグルマンの一環になり、おいしい香り=ネオグルマンに進化しつつある」と語る。その背景には、ニッチブランドが香料会社による野菜などの新しい香料を積極的に使用する傾向がある。「季節的にも秋冬にはグルマンが合う。一ひねりしたフローラルグルマンなど、グルマンと何かを組み合わせるジャンルの広がりが見られる」。「アムアージュ(AMOUAGE)」の“ラブ ディライト”は、ハニーグレーズドパイとヘリオトロープというフローラル系の融合がコンセプト。「ジェロボーム(JEROBOAM)」の“インスロ”や「ニーラ ヴェルメール(NEELA VERMEIRE)」の“ボンベイ ブリング”は、バニラにジャスミンや果物でひねりを加えている。「ネオグルマンの認識が広まったら、ジャンルとして確立する可能性もある」。

各社、若年層を取り込む施策を積極的に行っている中で、最近増えているのがオランダ発「フガッジ(FUGAZZI)」やスペイン発「27 87」などのZ世代による同世代に向けたフレグランスだ。「“ワーカホリック”や“ハッシュタグ”といったユニークなネーミングも特徴の一つ。香りを通して、Z世代に刺さるメッセージを発信している」。

ART EAU / アールオー

果物や野菜などの新香料で
ナチュラル志向広がる

アールオー(ART EAU)は、ヨーロッパのニッチフレグランスを輸入販売している。白石謙アールオー代表は、「秋冬の傾向は、トレンドのグルマンを意識したウッディとフルーティを組み合わせた香り」と話す。「アトリエ マテリ(ATELIER MATERI)」の新作“バーガンディーウード”はカシス、「オブヴィアス パフューム(OBVIOUS PARFUMS)」の新作“マルファ ウォールズ”は、カシスリキュールやマンダリンを使用した果実感のあるウッディな香りだ。「フルーツを組み合わせることで親近感が湧き、新しい表情がプラスされた」。

果物や野菜などの新しい香料を使用したフレグランスが増えている背景については、「ライフスタイルのナチュラル志向がフレグランスへ派生。香料会社が今までなかった野菜などの香料をつくり始めている」と話す。香料は、ファッションでいう素材や色と同じ。斬新さを追求するニッチブランドがそれらを採用し、結果として新しい潮流が生まれる。注目の香りは、「ヴェルサティル(VERSATILE)」の新作“ラ・フォンスダル”だ。食事とパーティーの楽しみを表現したという香りは、ビールとローストクリスピーチキン。「ニッチの中でも、これほど遊び心があり、攻めている香りはない」。もう一つの傾向として挙げられるのがインテンス(エクストレ)の増加だ。「香りの構造がしっかり感じられ、持続時間が長いので秋冬は需要が伸びる。ブランドが増えて、各社ステータスアップを図るために出す傾向にある」。

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