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オーダースーツ好調の「カシヤマ」が新業態で“ライフスタイル提案”に踏み込むワケ

オンワードパーソナルスタイル(関口猛社長)が展開するオーダーメイドブランドの「カシヤマ(KASHIYAMA)」はこのほど、関東エリア初となる“ライフスタイル一体型”の新業態店舗「カシヤマ 流山おおたかの森S・C店」をオープンした。ブランドの主力であるスーツのオーダーサービスに加え、カジュアル、アウトドア、ゴルフといった幅広いアイテムを扱う複合ブランド店舗となる。

店舗面積は191平方メートル。メンズ・ウィメンズのオーダースーツをはじめ、フォーマルスーツ、日本製オーダーシャツやブラウスなど、多様なニーズに対応するラインアップを展開し、仕上がりイメージを直感的に確認できる豊富なサンプルを揃える。

その他のゾーンでは、オンワード樫山傘下の「J.プレス オリジナルズ(J.PRESS ORIGINALS)」「ジョセフ アブード マウンテン(JOSEPH ABBOUD MOUNTAIN)」「ピー ダブリュー サーキュラス(PW CIRCULUS)」の3ブランドを取り扱う。ビジネスから休日、アウトドアやゴルフなど趣味の時間まで、オンとオフを横断してトータルなライフスタイルを提案する。

「カシヤマ」は2017年10月、オーダースーツ業態として事業を開始。中国・大連の自社工場を軸にしたSPAモデルで、企画から製造・販売までを一貫管理し、体型に合わせたスーツを3万円台から提供してきた。店頭ではデジタルによる顧客管理と1時間の密な接客を組み合わせ、きめ細やかなサービスを実現。コロナ禍以降も2ケタ成長を継続し、25年2月期の売上高は前期比37%増の62億円に達した。さらに今年8月には、大連工場と同規模の第2工場を新設し、生産能力を拡大。26年2月期は同21.5%増の75億円を見込む。

なぜライフスタイル業態?

現在、全国に約70店舗を展開し、オーダースーツ業態としての基盤を築いてきた同ブランドが、なぜ“ライフスタイル型”へチャレンジするのか。その背景には、現場で蓄積してきた顧客の声がある。

「カシヤマは比較的手の届きやすい価格帯ながら、平均1時間を超える接客を強みとしている。その中で、オン(仕事)の相談だけでなく、オフ(プライベート)に関する悩みも多く寄せられる。『ゴルフやアウトドアが趣味だが、どこで服を買えば良いか』『自分の体型に合うカジュアル服が少ない』といった声だ。お客様から得たパーソナリティーや体型、趣味などの情報をビジネスにつなげたいと考えた」(関口猛社長)。

「J.プレス」や「ジョセフ アブード マウンテン」は既に百貨店チャネルで展開しているが、新業態ではショッピングセンター(SC)の客層に合わせて商品構成を再構築。よりリアルな生活圏に近い場で、日常に寄り添うウエアを提案する。

SC事業拡大の布石、男性を取り込む

オンワードグループは近年、百貨店依存から脱却し、SCチャネルの拡充に注力している。郊外型の大型業態「オンワード・クローゼット・セレクト」は、ブランド集積と利便性を兼ね備え、都心へのアクセスが難しい層や短時間で買い物を済ませたい女性に支持を得て成功を収めている。今回の「カシヤマ 流山おおたかの森S・C店」は、こうした成功モデルを男性顧客に拡張する試みでもあるだろう。忙しく働く男性に向けて、オーダーを軸とした日常のスタイル提案を深化させる。

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