「WWDJAPAN」は10月4日、サステナブルな社会の実現を目指したカルチャー体験型イベント「WWDJAPAN REUSE MARKET 2025」を開催した。“捨てずに、循環させよう(Circulate, Don’t Discard)”をテーマに掲げ、使わなくなったモノをリユース、リメイク、リペアなどを通して循環させるライフスタイルを提案した。小山田孝司や高橋愛をはじめ、有名スタイリストやモデル、アーティストなど、ファッション業界を代表するリーダーたちが21ブースを出店した。私物販売のほか、トークショー、リペア体験、DJパフォーマンスなど、多彩なコンテンツが1日を通して行われた。来場者は約1200人にのぼり、開始時間の11時を待たずに会場外に行列ができるほどの盛況ぶりだった。世代を超えたファッション好きが集い、出店者と来場者の双方が“循環の担い手”としての意識を高める機会となった。
業界人の愛用品が登場 専門職人によるリペアも
会場には個人ブースのほか、タレントの岸谷蘭丸や、「フェティコ(FETICO)」デザイナーの舟山瑛美、写真家の服部恭平など「WWDJAPAN」と関わりの深い人たちの愛用品を預かり販売する、“クリエイターズブース”“One Week Selfieブース”“「WWDJAPAN」ブース”や、“数珠繋ぎスナップブース”“リペアブース”も登場。トップスやアウター、ジーンズなどのアパレルから、サングラス、プラダのネックレス、話題のラブブまで、多彩なアイテムが並んだ。
「セカンドストリート(2ND STREET)」も特設の買取ブースを設置し、来場者の注目を集めた。井澤拓也ゲオホールディングス セカンドストリート事業部営業企画課は「リユース市場が拡大する今、同業他社とともに市場をさらに開拓し、リユース品の魅力をさらに発信していきたい」と語った。
“リペアブース”では、“ロングウエア”をコンセプトに活動するクリエイターユニットごっこ(GOKKO)が登場。来場者の似顔絵ドローイングやその場で購入のアイテムにカスタム刺しゅうを行い、「洋服を楽しむ選択肢の一つとして“直す”文化を伝えたい」と話した。また、金継ぎアーティストのKintsugi _Konekoは日本の伝統技法である本漆を用いた金継ぎの実演をしながら、「モノを大切に使う」という意識を来場者に呼びかけた。
出店者のお気に入り品とメッセージ
出店者たちはそれぞれ、ファッションやリユースへの思いを込めたアイテムを販売した。モデルの萬波ユカは、愛着のあるノーブランドの古着を中心に出品し、「大学時代に買ったユニクロのパーカーがお気に入りだ。ファストファッションのアイテムも大事にしてほしい」と語った。
モデルのTSUGUMIは人生初のフリマに挑戦した。「古着文化が好きで、大切にしてきた服を次の人につなげたい」との思いから、高校時代に購入したプラダのレザージャケットを出品した。
モデル・映像作家の安井達郎は、「消費そのものの意味を見つめ直す機会にしたかった。販売や交流を通して新たな発見があった」とコメントした。
ビームスのメンズカジュアルバイヤー・「セットイン(SETINN)」ディレクターの新井伸吾は、「古着はブランドの歴史を遡れるもの。『アディダス(ADIDAS)』の薄底ランニングシューズのように、長い時間をかけて磨かれたブランドの力を感じる」と話した。
ほか、俳優・モデルの高橋愛、中国人インフルエンサーのCAKE、スタイリストの平健一、JUEMIデザイナー・DJの滝口樹理らも出店し、ファッションとリユースの楽しさを国境を越えて発信した。
サステナビリティの推進に“楽しさ”がカギ
ゴールドウィンとパナソニックによる共同開発のダウンジャケットコース付き新モデル洗濯機を背景に、サステナビリティをテーマにしたトークショーが開催。山屋光司ゴールドウィン総合企画本部マーケティング部長、國司有香パナソニックドラム洗商品企画課、向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターが登壇し、開発の背景や「楽しみながら環境を良くする」取り組みの重要性を語った。「環境に悪いことをやめようと言うのは簡単だが、行動に移すのは難しい。リユースイベントのように、楽しみながら体験することが意識変化につながる」と山屋部長。また、「お客さまの衣類を長く使っていただきたいを徹底追求し開発を続ける」というパナソニックからの秘話も、会場に集まる人々のサステナビリティへの意識を高めた。
当日は、クリスピー・クリーム・ドーナツのスイーツも登場。“オリジナル・グレーズド”や“キャラメル・アーモンド・クランチ”などの定番に加え、新作のハロウィン限定の“キャラメル・パンプキン・ジャック”や“スイート・ポテト・ゴースト”などが並んだ。