
多くのデザイナーたちは、常に自分たちの生きる世界や社会を見つめ、感じたことをコレクションに反映している。それはショーを通して伝播し、時に大きな力を生み出す。ここでは、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の川久保玲や「ミュウミュウ(MIU MIU)」のミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)ら、4人のデザイナーが服に込めた思いや願いを読みとく。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月20日号からの抜粋です)
「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」
DESIGNER/川久保玲
完成された服を傷つけることで表す
“異様な”世界への思い
目指したのは、完成された服にダメージを与えることで、新しい感覚や価値観、ポジティブな気持ちを生み出すこと。麻袋に使われるようなジュートや粗布といった素朴な素材とクロシェやレース、人工ファーなどで作ったオブジェのような服を、丸ごと大きな機械に入れて洗いをかけることでシワやほつれ、使い古されたような風合いを生むという新たなアプローチを見せた。そこに込めたのは、今の世界に対する切なる思い。「これまで取り組んだことがない手法でありハードな仕事であるが故に、とても大きな決心が必要だった。それでも、自由やお互いを思いやることがなくなりそうな異様な世界の中で、何か強いことをしなくてはならないと思い決断に至った」と川久保は明かす。
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