ファッション
特集 パリ・コレクション2026年春夏 第5回 / 全6回

パリコレデザイナーたちが見つめる世界の今 「コム デ ギャルソン」や「ミュウミュウ」が26年春夏の新作に込めた思い

有料会員限定記事

パリコレデザイナーたちが見つめる世界の今 「コム デ ギャルソン」や「ミュウミュウ」が26年春夏の新作に込めた思い

多くのデザイナーたちは、常に自分たちの生きる世界や社会を見つめ、感じたことをコレクションに反映している。それはショーを通して伝播し、時に大きな力を生み出す。ここでは、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の川久保玲や「ミュウミュウ(MIU MIU)」のミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)ら、4人のデザイナーが服に込めた思いや願いを読みとく。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月20日号からの抜粋です)

「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」

DESIGNER/川久保玲

完成された服を傷つけることで表す
“異様な”世界への思い

目指したのは、完成された服にダメージを与えることで、新しい感覚や価値観、ポジティブな気持ちを生み出すこと。麻袋に使われるようなジュートや粗布といった素朴な素材とクロシェやレース、人工ファーなどで作ったオブジェのような服を、丸ごと大きな機械に入れて洗いをかけることでシワやほつれ、使い古されたような風合いを生むという新たなアプローチを見せた。そこに込めたのは、今の世界に対する切なる思い。「これまで取り組んだことがない手法でありハードな仕事であるが故に、とても大きな決心が必要だった。それでも、自由やお互いを思いやることがなくなりそうな異様な世界の中で、何か強いことをしなくてはならないと思い決断に至った」と川久保は明かす。

ヴァレンティノ(VALENTINO)

DESIGNER/アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)

服への愛は変わらず
デザインはより現実的に

周囲で多くの変化が起こっている今、立ち止まる必要があると考えたアレッサンドロの提案は、演出もコレクションもこれまでより地に足のついた印象。ただ、そこに服を通して喜びを広めたいという純粋な願いを込めた。ウィメンズはパフスリーブブラウスやペンシルスカート、メンズは折り目をつけたテーラードジャケットがカギ。卓越したクチュール技術を生かしながらも過剰な装飾やレイヤードは抑え、現代にふさわしいバランスを探っている。

「ミュウミュウ(MIU MIU)」

DESIGNER/ミウッチャ・プラダ

エプロンに込めた女性たちへの賛美

「私にとってエプロンは、工場から家庭まで歴史の中で女性が経験してきた困難な生活を象徴するもの」とミウッチャ。そんな女性たちの「仕事」や「努力」をたたえるため、エプロンをレトロな小花プリントのコットンからギャバジン、レザーなどで作り、時にはメタルスタッズやフリルで飾った。ワークブルゾンやレザーのジャケット、スキッパータイプのニットポロなどと自由にスタイリングする。右腕は「ヴェルサーチェ(VERSACE)」に移籍したが、方向性は変わらない。

アンリアレイジ(ANREALAGE)

DESIGNER/森永邦彦

へラルボニーと協業
“異彩”を認めたたえる

今季は、「異彩を、放て。」を掲げて知的障がいのあるアーティストを支援するヘラルボニーとコラボ。同社の契約作家18人が描いた作品を生地に落とし込み、中に仕込んだセンサーによって海洋生物のように自在に動く服を発表した。協業に際し、森永は作家全員に会いに行ったという。見ている世界は異なるが、その境界を越えることに挑んだコレクションからは、1人1人異なる存在を認めたたえるような温かなメッセージが感じられる。

TOPICS:
酷暑に向き合う日本人デザイナーたち

年々長く厳しさを増す夏を体感している日本人デザイナーたちは、酷暑の中でいかに快適に過ごせるかということを考えながら、春夏コレクションの制作に取り組んでいる。以前からシアー素材や素肌を見せるデザインなどを取り入れて暑さに向き合ってきた「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は、今季も薄く透け感のある素材を多用。黒をベースにしながらも、巧みな布使いで軽やかな印象のアシンメトリースタイルを打ち出した。「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI)」も、今季はシアーアイテムのレイヤードが中心。長野にある祖父母の家で過ごしたパーソナルな記憶と和ガラスに見られる独特の質感や色柄を融合し、繊細で涼やかなコレクションに仕上げた。「シーエフシーエル(CFCL)」は透明な編み糸を随所に使い、これまでよりも軽さを意識。アイコニックな“ポッタリー”シリーズを内側のパステルカラーが透けて見えるドレスへとアップデートしたほか、ニットドレスにメタリックな糸のタッセルできらめきと動きを加えた。そして、「ウジョー(UJOH)」も空気を含むギャバジンやビスコースをブレンドしたコットンやリネンを用いることで、シグネチャーのテーラリングを軽やかに表現。セーラーカラーやビーチを想起させるストライプ、漁網からヒントを得たレースの長いフリンジなど、海にまつわる要素は、今シーズンのトレンドにもマッチする。

PHOTOS:ADRIEN DIRAND(DIOR FINALE)、CELINE、CFCL INC.、CHANEL、CHLOÉ、DIOR、KOJI HIRANO(ANREALAGE)、PEGAH FARAHMAND(DIOR BACKSTAGE)、ANDREA ADRIANI(CECILIE BAHNSEN)、COURTESY OF BALENCIAGA、COURTESY OF LANVIN、COURTESY OF THE ROW、ESTHER THEAKER(GANNI)、FILIPPO FIOR(HERMÈS)、FRÉDÉRIQUE DUMOULIN-BONNET(ISSEY MIYAKE)、GIO STAIANO(UJOH)、GORUNWAY(DRIES VAN NOTEN)、MOLLY SJ LOWE(LOEWE BACKSTAGE)、YANNIS VLAMOS(JEAN PAUL GAULTIER)AND DELPHINE ACHARD(CHANEL RUNWAY, CHLOÉ BACKSTAGE)、SWAN GALLET(CHANEL RUNWAY SIDE)/ WWD © FAIRCHILD PUBLISHING, LLC、REX/AFLO(BALENCIAGA ARCHIVE, DRIES VAN NOTEN BACKSTAGE)

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2026-27年秋冬メンズコレ特集Vol.1   時代を超えて愛される服の価値とは

2月2月号の「WWDJAPAN」では、1月の2026-27年秋冬メンズ・ファッション・ウイークを速報します。当号では“BUILT TO LAST 時代を超えて、愛される服 ”というタグラインを掲げ、単なる流行の消費ではなく、着る人の人生に寄り添い、時間の経過とともに価値を深めていく服のあり方について考えます。最大のトピックスは、37年にわたり「エルメス」のメンズを牽引してきたヴェロニク・ニシャニア…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。