9月12日に開業する「ニュウマン高輪」では、ファッションブランドが主に3、4階に集結する。中でも注目すべきは、ユナイテッドアローズ、ビームス、ベイクルーズ、トゥモローランドといったセレクト系企業だ。新業態や初出店に加え、高輪エリア向けの別注品も多彩にそろえるなど、各ブランドは“未知”の商圏に挑むと同時に、大きな期待も寄せている。
カルチャーに特化した新業態に挑戦
「音楽」と「アート」を融合させた売り場づくり
ビームスは、アートやカルチャーの面白さを発信するプロジェクト「ビームス カルチャート(BEAMS CULTUART)」初の単独店として「ビームス カルチャート 高輪(BEAMS CULTUART TAKANAWA)」を出店する。
ニュウマン高輪に出店するにあたって「服屋では面白くない。新しい街だからこそ、新しいことをしよう」(広報担当者)と新業態を出すに至った。同店は現代アート、グラフィックデザイン、音楽、飲食などビームスならではの視点でさまざまな日本カルチャーを紹介し、「8人の社員が集まってそれぞれ注目しているカルチャーをベースに商品をセレクトした」。
特徴的なのは「音楽」と「アート」を融合させた売り場だ。ビームスの店舗では初めて中古レコードコーナーを設け、幅広いジャンルから約500枚をセレクト。試聴が可能で、プレイヤーやスピーカーなどの音響機材も販売する。さらに「Rotten Donuts」による"ART Digging"コーナーを常設し、レコードを“ディグる”ようにアート作品が購入できる仕組みを用意する。店内奥にはギャラリースペースがあり、定期的に企画展を開催予定している。ほか、完全予約制の書店「Hi Bridge Books」が選書したカルチャー誌やアートブックも並び、店内で自由に閲覧できる。店舗の入口には、東京都を中心にミルクティーをケータリングサービスで提供する「ミルクティーサービス(MILK TEA SERVICE)」の初常設コーナーも登場する。1杯770円(店内の場合)で、店内・テイクアウトの両方に対応する。
ベイクルーズグループ4業態出店
ポップアップスペースで旬を発信
ベイクルーズグループは「スピック&スパン(SPICK & SPAN)」「ル タロン/グリーズ(LE TALON)」「ジャーナルスタンダード ファニチャー(JOURNAL STANDARD FURNITURE)」「エーピー ストゥディオ(AP STUDIO)」の4業態を出す。ニュウマン高輪の中でファッション企業としては最多の店舗数になる。ベイクルーズの小峯正佳社長は「新しく作ろうとしている街だけに(集客など)読めない部分もあるが、港区だけにポテンシャルは大きいだろう」と話す。既存店舗に比べて格上の商品を手厚くそろえ、目の肥えた客の期待に応える。
「スピック&スパン」は標準店の2倍の100坪の売り場を構える。今月デビューしたばかりの新ブランド「グリフ(GLYPH)」の世界観を見せるインショップを設ける。また通路に面したガラス張りのポップアップスペースでは1カ月単位で旬のブランドを誘致したイベントを開く。第1弾はバッグブランド「ピエニ(PIENI)」で、レタリングカリグラファー本秀也氏が1点1点手描きで仕上げたロゴ入りのバッグやウォレットも数量限定で販売する。「スピック&スパン」の池田彰ディレクターは「お客さまが訪れるたびに新しい発見がある店舗にしたい」と語る。
ユナイテッドアローズから2店舗
働く女性を意識した商品提案
ユナイテッドアローズは、総合店として「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)」のメンズ・ウィメンズを展開する店舗と、「ドゥロワー(DRAWER)」を2店舗出店する。
「ユナイテッドアローズ」は横に長い区画を生かし、連続したガラススクリーンを配した内装を採用する。入口を複数設け、自然に店内に導かれる広い間口を設計している。店内はウィメンズが約7割を占め、長いラックで洋服やムードの変化を楽しめる陳列に配慮した。働く女性をイメージし、仕事、育児、オケージョンなど多様なシーンに対応する商品を取り扱う。「近隣(高輪や品川)で人に会ったり行事があったりするお客さまに、隙間時間を活用して店を楽しんでもらいたい」と浅子智美 ウィメンズ商品部ブランドディレクター。目の肥えた人が多い高輪エリアに向けて「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」やパリ発の「ルル デ セゾン(LOULOU DE SAISON)」、カラー別注品もそろえる。
「ドゥロワー」は日本国内10店舗目で、同ブランドとして初のルミネ出店となる。英国の上質さを軸に、同じ「ニュウマン高輪」に出店する「CFCL」「プラダ ビューティー」「エルメス ビューティー」などの親和性や湾岸エリアの特性に合わせ、フェミニン、コンサバティブ、ラグジュアリーをテイストとして提案する。新規顧客獲得を見込み、オリジナル商品を8割用意するほか、「マックス マーラ(MAX MARA)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「マルニ(MARNI)」などの仕入れ品や高輪店限定のレザーブルゾン、素材別注品も展開する。平均価格帯は約10万円前後だが、パーカやニットなど5万円以内のエントリー品も取りそろえる。インバウンドも見据え、多言語対応スタッフが多数在籍する。
関東エリア最大規模の「キャバン」
トゥモローランドが手掛ける「キャバン(CABAN)」は、関東エリア最大級の広さを誇る新旗艦店をオープンする。深緑色の壁に囲まれ、自然光が差し込む店内はまるでギャラリーのような雰囲気だ。木やレンガを使用し、洗練されつつあたたかみのある空間で、ゆったりとショッピングを楽しむことができる。
店内では、「キャバン」の色彩豊かなウエアやグッズのほか、「ボーディー(BODE)」や「テクラ(TEKLA)」をはじめ、国内外から厳選したウエアやジュエリー、ライフスタイルアイテムも幅広くラインアップし、上質でありながら遊び心を兼ね備えたアイテムが揃う。トゥモローランドは現在、神奈川県・葉山に「キャバン」の名を冠したホテル「カーサ キャバン」を建設中で 「この店舗で『キャバン』を知ったお客様に、12月にオープンするホテルにも足を運んでもらうのが理想」と広報担当者は話す。
オープン記念として、税込3万円以上の購入者には数量限定で「キャバン」のオリジナルTシャツと限定カラーのトートバッグをプレゼントする。さらに9月17日まで、通常ポイントに加えてプラス5%分のポイントを付与する「プラスポイントフェア」も実施。
三陽商会「ラブレス」が5年ぶりの新店舗
三陽商会はセレクトショップ業態「ラブレス(LOVELESS)」をノース(北館)4階に開く。新店舗は5年ぶりだ。2023年に刷新されたストアコンセプトに基づき、「お客さまが自由に交流できるコミュニケーションスタジオ」(同社)として設計した。「ヨシオクボ グランドフロア(YOSHIOKUBO GROUNDFLOOR)」「メゾンミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」「オールモストブラック(ALMOSTBLACK)」「ミカゲシン(MIKAGE SHIN)」「ウジョー(UJOH)」「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」といったデザイナーブランドほか、オリジナルブランド「ラブレス」も充実させる。オープンを記念してメンズ・ウィメンズの8ブランドによる別注アイテムも用意する。「ニュウマン高輪では新しいお客さまにアプローチし、認知を上げていきたい」(同社)と言う。
同社はニュウマン高輪に「ラブレス」のほか「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY))」「エコアルフ(ECOALF)」の計3業態を出店した。